小説『百獣の王』
作者:羽毛蛇()

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”本当に怖い船上の医学”



〜Side ジョニー〜
 
 
 
「しっかりしろっ!! ヨサク!!……大丈夫だから……きっとだいじょうぶだから!!」


 おれはジョニー。相棒のヨサクと共に、小舟で海を流離う賞金稼ぎだ。

 現在、おれと相棒は岩山の下で休んでいる。いや、休まざるを得なかった。ヨサクは、ほんの数日までピンピンしてやがったのに、突然青ざめて気絶をくり返し、昨日は口から血が滲み出して歯が抜け落ち、ついさっき古傷が開いた。

 ヨサクは死ぬのか? いや、そんなわけねェ!! 何年も一緒にユニット組んでやってきたんだ!! 大切な相棒なんだ!! ヨサクが死ぬわけねェ!!!!

 頭を抱えていたおれは、何かが飛来する不吉な音を耳にした。


「!!?……何だァ!!?」


 突然の轟音に周囲の海を見渡すと、ふざけた船首を付けた船の大砲から煙が上がっていた。どうやらおれ達を狙って砲撃してきたみてェだ。

 身動き一つ取ることが出来ないヨサクを頼ることも出来ねェから、おれは慌てて錨をあげて、一人で舟を出す準備を始めた。

 そこに再び襲い来る砲撃音!!!


「くっ!?…………っおい!! ヨサク!! 大丈夫かヨサク!?」


 さほど間を置かずに放たれた二発目の砲弾が岩山に直撃して、おれ達の休息拠点だった岩山はバラバラに吹っ飛んだ。

 砕けた岩石がヨサクに降りかかってきたが、おれが必死に庇った甲斐あってかヨサクは無事みてェだ……紙一重だ。

 この距離からの砲撃、二発でココまで合わせてきたって事は、かなりの腕の砲撃手が乗ってると見て間違いねェ!!! 早くこの場を離れねえと、ヤベェ!!



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 …………!!!? いつまで経っても3発目を撃ってこねェ所をみるに、あの海賊ども遊んでやがったんだ!!! 赦せねェ!!! 遊びでおれの相棒を殺す気か!!!

 おれは怒りをあらわに、今は静かな羊の船首の海賊船へと向った。


「出て来い海賊どもォーっ!!! てめェら全員ブッ殺してやる!!!」


 船を横付けしたおれは、羊船の手摺りを壊しながら船にあがり、声の限りの叫びをあげた。


「ジョニーか!!? 久しぶりだな!!……こんなとこで何やってんだ? この船には、まだ賞金首は一人もいねェぞ?」


 ”必ず殺す”そう決意をしていたハズのおれは、甲板にいる一人の男に声を掛けられて固まっちまった。


「…………えっ!!?」


 羊船のメインマストそこにはゾロのアニキが背中をあずけて座っていた。



〜Side ヨサク〜



 おれは賞金稼ぎのヨサク。いやー今回は本当に死ぬかと思った。ヤバすぎて記憶も曖昧だなんだが、突然貧血みてェになって、しばらくは休んでたんだが、それからはその繰り返し。

 何度も気絶を繰り返すうちに、口の中に血の味がしだして、歯まで抜けた。その後で腹の傷が開いてからは、何にも覚えてねェ。

 気がついたら麦わら帽子を被った男がでかいジョッキでおれにライムジュースを飲ませていた。ライムジュースっつうかライム生絞りみてェなもんで正直しんどかったが『飲め、飲めば治る』と言われたから我慢した。

 飲んだら貧血みたいな感じがちょっと良くなった気がする。オレンジの姐さんの話を聴くに、要は栄養不足だったらしい。相棒も心配してるみてェだし確りしなきゃならねェな!


「栄養全開、復活だーっ!!!」

「おお、やったぜ相棒−−−!!!」

「そんなに早く治るかっ!!!」


 手厳しい姐さんの言う通り、まだふらふらで口からは血が滲んでる。タバコも血の味しかしやしねェが、自己紹介をすませてお礼を言っておいた。


「!!? ブヘェッ!!…………」

「ぬあっ!!!? 相棒ォーーー!!!」

「いいから黙って休んでろ!!」


 やっぱまだ無理みてェだな。ゾロのアニキの言う通りにおとなしく休んでから話を聞くと、アニキ達はあの海上レストランに向かってる途中らしい。あそこは”鷹の目の男”が現れたって話もある場所だ!! こりゃぁ、ゾロのアニキと”鷹の目の男”の頂上決戦が見られるかも知れねェ!!!

 ジョニーに”鷹の目の男”の話を聴いたアニキは武者震いを起こしてるみてェだし、おれ達はこの船と一緒に海上レストランに向かうことにした。



〜Side ルフィ〜



「着きやしたっ!!! 海上レストラン!!」


「ゾロの兄貴!! ルフィの兄貴!! ウソップの兄貴!! ナミの姐さん!!」


 海上レストランが見えてきて騒いでるコイツらはヨサクとジョニー!! ウソップの村を出た次の日から一緒に付いて来てるおもしれェヤツらだ!!


「でっけー魚!!」

「ファンキーだな、おい!!」


 レストランに夢中になってたら、いつの間にか海軍の船が近づいてきて、ヨサクとジョニーは隠れやがった。


「見かけない海賊旗だな……おれは海軍本部大尉”鉄拳のフルボディ”……船長はどいつだ。名乗ってみろ」


 海軍船の甲板に出てきた、手に螺子みてェなのを付けた偉そうなヤツが、その拳を見せ付けながらおれ達に聞いてきた。


「おれはルフィ!! 海賊旗はおととい作ったばっかりだ!!」

「そうか、おれは今日は定休でね、駆け出しの弱小海賊にかまってやる気は無いんだ。次に会ったら命はないと思え」


 ムカつくことを言われて文句でも言ってやろうかと思ったけど、ナミに止められたちまったから、ココはおとなしくしとこう。


「おい、やべェぞ!!! あの野郎大砲でこっち狙ってやがる!!!」

「「何ィ!?」」


 海軍船の様子を伺ってたウソップの声を聞いて、みんなが騒ぎ出した。船の砲身は確かにコッチを向いてやがる。別に大砲なんか怖くねェし、来るなら来いって感じだな。


「撃ちやがったァ〜〜〜〜〜っ!!!」


 砲撃を確認したおれは、素早く手摺りの上に立った。


「任せろっ!!! ゴムゴムのっ……」


 真っ直ぐに向ってくる砲弾を見据えて、おれは大きく息を吸い込んだ。


「おい、ルフィ!!何やってんだ!!!?」

「……風船っ!!!」


 おれは膨らんだ腹で砲弾を受け止めて、そのまま……


「返すぞ砲弾っ!!!」


 …………適当に撃ち返したらレストランに当たっちまった。


「どこに返してんだバカッ!!!」

「…………お前ら何やってんの?」

「タクミ!!!?」


 おれが砲弾を撃ち込んじまったレストランの扉からは、タバコをくわえたタクミが出てきて、心底呆れた表情でこっちを見ていた。
 
 
 
 
 
〜おまけ〜



「ぐはっ!!!?……」

「相棒が血を吐いた!!!?」

「アホかァ!!! 壊血病で吹き出すほど血が出るわけないでしょ!!!」


「でも原作じゃ「メタ発言するなァ!!!」ウソップの兄貴まで!!?」

「壊血病の事を適当に調べた尾「そのメタは危険すぎるわァ!!!!」……ごめん」

「ナミがウソップに謝っただと!!!?」



〜Fin〜
 
 
 

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