小説『百獣の王』
作者:羽毛蛇()

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”アイザワ・タクミの憂鬱”



〜Side タクミ〜



 ダメだやっぱり出来ない。俺は自分の今後を考えて憂鬱になる。


 俺は自分のことを「生命帰還特化型六式」使いだと認識している。悪魔の実の力はパワー的な補助にしかなっていない。このスタイルにしたのはいくつかの理由がある。

 一つ目は俺と同じ肉食獣の能力者で「六式」使いのルッチが、動物系は鍛えれば鍛えるほどとかいっていたが、ただの「六式」使いを目指しても指導者がいない以上「六王銃」へは行き着けないと思ったからだ。

「六王銃」はできれば習得したかった。「覇気」でも「衝撃貝」でもなさそうなのに、ゴム人間のルフィにダメージを与えていたから、打撃無効の能力者を相手どる際に便利だと思ったんだが、それなら後に「覇気」を習得した方がよさそうだ。たぶん「覇気」の方が教えてくれそうなキャラ多いからな。

 他の理由は、まず、このスタイルなら「生命帰還」さえ極めれば複数の能力を同時に鍛えられるから。基本的にどこにいても修行が可能な「生命帰還」をスタイルの根源にすれば何かと都合がいい。

 そして理論の異なる「六式」を使う俺は、おそらく多くの「六式」使いを困惑させることが出来るはずだ。対「六式」使いを入念にシュミレーションするのは、もちろん「CP9」との戦いに備えてだ!! ココばかりはロビンの為にも無双させてもらう!!


 …………そのつもりだったんだが、最近伸び悩んでる気がしてならない。このままでは無双は無理だろうな。原作キャラはゾロ以外修行してるのを見たこと無いのに、何であんなに次々と新技を繰り出していたのかかなり謎だ。

 みんな隠れてやってたのか? 深夜に一人でクルクルと回るサンジを想像してしまった。

 とりあえず落ち着いたらゾロのトレーニングに付き合ってみよう。長い間、純粋に力を鍛えるようなトレーニングをやっていないから、何か新しい発見があるかもしれない。


 さっきから煙草ばかり吸っているのだが、実はこれも修行のつもりだ。精一杯煙を吸い込んでそれを体に馴染ませ、煙と一体化するイメージ。吐き出した煙を何とか操れないかと思っているのだが、今のところ無理みたいだ。

 いや、イメージは大切だ。出来ると思ってなきゃ出来ないだろう。この身体が煙草に馴染んでくれば使えるかもしれないので銘柄は変えないようにしよう、自分に制約をつけるとイメージは固まりやすいハズだから。

 スモーカーの煙のような物理的拘束力が無くても、相手の顔にまとわりつかせたりすれば、小技として意外と使えるだろう。

 そんな小技を努力して習得するのはバカみたいに思えるかも知れないが、煙草吸ってる時間の有効活用だ。

「生命帰還」の修行になって、能力開発できて、リラックスできる。俺は一石三鳥の名案だと思っている。


 しばらく修行に集中しているとウソップがやってきたので、適当に相手をしてやってたら、最後にナミがウソップにツッこんだ。


 ……このままでは一味全員がお笑いキャラになってしまうかもしれない。


 麦わらの一味の今後が少し心配になった。
 
 
 
 
 
〜おまけ〜



「お前、煙草吸いすぎじゃねェか?」

「あぁ、正直しんどい」


「つらかったのかよ!!? 何で無理して吸ってんだ!!?」

「(出来なかったらカッコ悪いし、修行とは言えないよな)…………カッコイイかなって」


「(コイツ案外バカなのかもしれない)……そっか」

「タクミって残念なとこあるのね」

「うっ……」


「ズバッと言いすぎじゃァ!!!」

「あ……ごめん」

「ウソップにフォローされた……鬱だ……イソトゲクマムシになりたい」


「大概にしろやコラァ!!!!」



〜Fin〜
 
 
 

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