”三刀流 VS 六刀流”
〜Side ゾロ〜
なに考えてんだ? アイツらは?
タクミはトチ狂ったみてェに牛を追っかけていっちまったし、ウソップのやつは不意打ちかまして逃げていった。
……まぁ、二人とも先にこの島で戦略を立ててたんだから、心配する必要はなさそうだな。
”一人一殺”、おれはこのタコ助を仕留めるだけだ。
この体じゃ、そう長くはもたねェ!!
「おいタコ助!! おれが相手をしてやる」
「ニュ!! ロロノア・ゾロ!! おれ様を魚人島で一人を除けば?1の剣豪”六刀流のハチ”と知っているのかァ!!!」
六刀流か、くだらねェ。
「ようは?2ってことだろ? 小さな島の?2と、この最弱の東の海の?1、どちらの剣が上なのか勝負してやろうじゃねェか!! 九体満足で入られると思うなよ」
「ニュ〜〜〜〜ッ!!! 生意気な!! 貴様ら人間など、天地がひっくり返ってもこのオレには勝てねェんだぞォ!!!」
ふざけたヤツだが、おれは別にコイツを舐めちゃいねェ。”鷹の目”と同じグランドラインからやってきた剣士。
関節がないその六本の腕は、確かに人間には出来ない剣術を可能にするんだろうが、”鷹の目”を見据えてこの先を歩いて行くおれからすれば、コイツは瞬殺出来なきゃいけねェレベルなんだ。
「御託はいい。見せてみろお前の剣を!!」
「人間には決して越えられねェ壁をみせてやる!!!」
タコ助は眼前で六本の剣の切っ先を合わせて構えを取る……意図が読めねェな。取り合えず見だ。
「”六刀流”……『タコツボの構え』……」
タコ助はそのまま突っ込んでくる……この程度か?
「”新・春”」
六本の剣の切っ先を二本の剣で受け止める。中々の圧力を感じるが、パワーはおれの方が若干上。
「”蛸・開げ”」
!!? やられたっ!! おれの剣は六本の剣に弾かれ、タコ助の前に無防備な体をさらけ出す。
くそっ!! やっぱ借り物の剣じゃダメだ!! あわてて口の刀を首の捻りだけで振るい、返しを狙うが間に合わない。
「”体壊”!!!」
!!!!?……おれの返しを避け、タコ助はおれの傷跡の上に体当たりをかましやがった。
こんなのは到底、剣技と呼べるようなものじゃねェが、言い訳はいってられねェ。吹き飛ばされながらも、おれはなんとか意識を保った、落下するその先には、高速回転する剣がミキサーのように待ち受けていた。
おれはその剣の上を、ヤツの手を切りつけながら順回転し威力を掻き消す。
「痛ェ!!! 斬られた!!!?」
無事とはいえねェが、なんとか着地をして、ヤツの様子を確認したが、一本も指が落ちねェとはどんな身体の作りをしてやがんだよ!?
タコがまたさっきの構えで突っ込んでくる。おれはこんなヤツに負けてる暇はねェんだ!!
「鬼……斬り!!!」
先ほどとは剣圧のまるで違うおれの一撃を受け、ヤツの六刀流の構えは、剣の破壊と共に崩れ去った。
「もう気が済んだか? タコ助!!」
「ニ゛ュ!!! タコ焼きパーンチ!!!」
もはや剣士ですらなくなったってェのに、ただのパンチの弾幕で対抗しようとするタコに、おれは勝負の終わりを告げる技を放つ。
「”龍”……”巻き”!!!」
回転による遠心力まで加えられ、胸を深く斬りつけられたタコは、そのまま吹き飛んで、動かなくなった。
「おれはお前ごときに、負けてやれるほど暇じゃねェんだ。黙って寝てろ!!!」
おれは役目を終え、その場に倒れこんだ。早く刀買わねェとな……
〜Side クロオビ〜
「首肉!!! 肩肉!!! 背肉!!! 鞍下肉!!! 胸肉!!! もも肉!!!」
「ちょっ!!? おまっ!!?」
おれが口上を述べる間も無く、金髪の男は怒涛の蹴りを放ってくる。とてもじゃないが人間の身体能力じゃない!!!
攻撃が一瞬止んだかと思えば、ヤツはおれに背を向けた。バカめ!!!! アレで勝ったとでも思ったか!!!!
おれは必殺の”千枚瓦正拳”を放つ為に構えを取ろうとしたんだが……
「”羊肉ショット”!!!!」
そのまま強烈なソバットを食らったおれは、麦わらと戦っていたアーロンさんの傍まで吹き飛ばされた。
「おい、アイツ、ホントに?2なのか?」
…………最後にそんな声が聞こえた。