”麦わらと銀獅子”
〜Side ルフィ〜
「何だよ、イイじゃねェか一つぐらい!!」
「だめだ!! ココはナミさんのみかん畑!!! このおれが指一本触れさせねェ!!! ナミさん♪ 恋の警備万全です!!」
「んんっ!! ありがとサンジくん♪」
おれはナミが村から積んだみかんを、一つだけ食べようとしたんだけど、サンジに邪魔された。
「まーイイや、おれは今うれしいから」
おれ達はココヤシ村を出て、ローグタウンって場所に向かっている。おれはこのままグランドラインに向かおうかと思ってたんだけど、タクミが装備を整えたいっていうし、ゾロも刀を買いたいらしい。
でも、おれがローグタウンに行くのを決めたのはナミの言葉。
『グランドライン近くの島には、ローグタウンって有名な町があるの、別名”始まりと終わりの町”かつての海賊王G(ゴールド)・ロジャーが生まれ、そして処刑された町……行く?』
…………海賊王が死んだ町…………行ってみてェ。
声に出したかどうかも覚えてねェけど、タクミとウソップがローグタウンの話題で盛り上がってたから、大丈夫だろ。
海賊王が見た景色、おれもそれを見てみたい。
もうすぐ着くって言うから楽しみにしてたら、ナミとウソップが叫び声を上げた。一緒にいたタクミまで固まってる。
なんだ? タクミが、甲板に落ちてたチラシみてェなのを拾い上げて見せてくる。
「!!!?……なっはっはっは!! おれ達”お尋ね者”になったな!!」
そこには二枚の手配書「”麦わらのルフィ”(モンキー・D・ルフィ)懸賞金 3000万ベリー」「”銀獅子のタクミ”(アイザワ・タクミ)懸賞金 1900万ベリー」
タクミより額がデカかったから、俺の喜びは二倍だ!!
タクミは興味が無くなったみたいで、海を眺めて煙草を吸ってる。ゾロはこんだけ騒がしくても寝てて、ナミは心配してるみてェだな。ウソップがはしゃいでる理由はよくわからん。サンジは『?2を倒したのはおれなのに』とかブツブツ言ってた。
みんなの反応はそれぞれだけど、おれ達は仲間だ。この懸賞金は一味に懸けられた懸賞金。誰が狙われても守れるように、おれはもっと強くなる。
〜Side タクミ〜
…………ネズミのヤツ、俺の事まで賞金首にしやがった!!
賞金額とネズミの行動から見るに、俺がアーロンに負けたときの為に、懸賞金を懸けてたんだろう。アーロンより金額が上だと、勝ったアーロンが機嫌を損ねるかもしれないからな。
もうネズミには関わりたく無い!!……二度と!!
原作ではあんなに無能に見えたのに、悪魔の実の弱点をついて艦隊から砲撃してくるなんて、しかもあれは人質を取ってたのと一緒だ。
ルフィはこれからどんどん強くなっていくけれど、頭脳戦はさっぱりだからな。
副船長なんかに就任してしまったことだし、俺も強くならないと……もっと、もっと。
まあ、とりあえずはローグタウンで狩りに必要な物でも買い揃えよう。今回の一味の航海は、クロの賞金があるから、貧乏航海じゃないからな。
でも、ゾロには”三代鬼徹”との出会いの為にも10万ベリーしか貸さない。どっちみちタダで手に入れるんだろうが、流石に無一文で武器やに行けとは言えないからな。
「ウソップ、ローグタウンは一緒に見て回らないか? 狩りに必要なモノで、お前に作ってほしいモノがあるんだ。鋼鉄の網とかイロイロとな。武器開発部長としての力を貸してくれ」
「お前……ほんと調子イイ男だな。おれが言うのもアレだけど。ま、いいぜ。このウソップ様に任せな!!」
本来ならフランキーに頼みたいところだが、アイツと出会うのはまだまだ先だからな。それまではウソップに頼る他ないだろう。
「助かるよ。暇な時にはちゃんとボケてやるから、コレからも頼む」
「別にボケる必要性はどこにもねェよ!! キリッとした顔で言ってんじゃねェ!! なんかイラッとすんだよ!!」
ああ、ウソップと話すと落ち着く。このどうでもイイ感じが最高だ。
「島が見えたぞ」
ゾロ起きてたのか。ウソップが五月蝿すぎたのかもしれないな。
「ウソップ、取り合えずゾロに謝っておけ」
「なんで!? 意味わかんねェよ!! おれがいったい何をした!!?」
「取り合えずうるせェ」
ゾロの言い方にウソップは憤慨していたが、俺たちのそんなやり取りを見てナミは笑っていた。
ルフィは到着前にと、サンジに食べたい物をリクエストしていた(主に肉料理)。
そんな賑やかな一行を乗せ、メリー号はローグタウンへと到着した。