”海賊 ネフェルタリ・ビビ”
〜Side ビビ〜
「……ココは何処???」
イマイチ記憶がハッキリしないんだけど、何かに負けてココまで逃げてきた気がするわ。
「ゾロ〜〜〜〜!!! 皆〜〜〜〜!!!……誰も居ないの? どうしよう、ゾロと逸れちゃった!!?」
森に向かって走り出したとき、ゾロが追いかけてきてくれてた気がしたのに、わたしの気のせいかしら?
悩んでいても仕方ないし、取りあえず南に向かって……そういえばコンパスを持ってないわ!!?
これじゃあどっちに歩いたらイイのかも解らないじゃない!!!
……さっきまで静かな森だと思ってたのに、いろんなとこから物音が聞こえるような……
「この森……一人だと不気味に感じるわね」
「(メ〜〜〜〜……メ〜〜〜〜)」
「??……微かに山羊の鳴き声が聞こえたような……森なのに山羊?「メーーーー!!!」きゃぁぁああ!!! 何なの!!? ビックリしたじゃない!!!」
わたしの目の前には突然、”それ、山羊のつもり?”って感じな格好の男が現れて、剣も持ってないのにわたしの体を真っ二つにしてきた。
当然そんな攻撃はわたしには効かないから、斬られた体は一旦雨水になって、すぐに元通りになったんだけど……
「”斬撃貝”が効かない!!? 何だその体は!!?」
山羊モドキさん(仮)は、自分の攻撃がわたしに効かなかった事にそうとう驚いてるみたいね。
でも、そんな事より!!
「”激流葬”!!!!「めぎゃぁばぼぅぶぶぶぶぶ……」名乗りもしないで斬りつけるだなんて非常識だわ!!」
山羊モドキさん(決定)は、わたしが生み出した激流(トニー君お仕置き時の7割増)に呑まれて、流されて流されて最終的に大木に激突して気絶したわ。
「これは可愛いお嬢さん……神兵を倒すとはなかなかの能力をお持ちのようだ……メ〜〜〜〜〜〜〜!!!」
山羊モドキさんを倒してちょっと休憩しようかと思っていたら、今度は太ったイガラムみたいな大男がやってきた。
「ココまで走ってきて疲れてるの。少しは休ませてよ。だいたいその『メ〜〜〜』って何なの?? 空島では流行ってるの??」
「何!!? 青海人は『メ〜〜〜』を知らないのですか!!? この場合の『命』とは、お命頂戴するという意味ですぞ!!?」
なるほど!! そういう意味だったのね!!……バカみたい。
「無知なお嬢さんは、戦いにおいて名乗りを重んじるご様子。私は神兵長”ヤマ”!! あそこで伸びている下っ端とは格が違います。お嬢さんには10連”斬撃貝”の餌食になっていただきますぞ!! メ〜〜〜〜!!!」
え〜と、やっぱりおバカさんなのかしら? さっきの戦いを見てなかったの?? その”斬撃貝”とかいうのはわたしには効かないんだから、10連でも100連でも意味が無いと思うんだけど……もしかして、技の瞬間しか見てなかったとか? 水を生み出す能力者なら自然系だって解りそうなモノだけど。
自慢の攻撃が通用しなかった時の、驚いた顔が目に浮かぶわね。それにしても、斬撃を蓄える貝だなんて、タクミさんの集めた情報には無かったわよね? ひょっとしてコレって!!?……お小遣いチャ〜ンス♪
「わたしは”シトシトの実”を食べた雨人間、ネフェルタリ・ビビ!! アナタの攻撃はわたしに通用しないわ!!! 武器をコチラに渡して、大人しく降参するなら見逃してあげてもイイわよ?」
水に濡れて”斬撃貝”が壊れちゃったら最悪だもの。それに、ヤマさんはちゃんと名乗りをあげてくれたしね。
…………?…………ヤマさんは何処??
「!!? ウソ!!? もしかして逃げた!!?」
わたしが”礼儀正しい敵に情けを懸けてあげれるわたし”に酔っている間に、口上を聞いて瞬時に諦めたヤマさんは、何処かに逃げてしまったみたい!!
「ヤマさんってイガラムに似てると思ったけど、そういえば髪質はパパに似てたわね。あの髪質には碌な人間がいないんじゃないかしら?……逃がすくらいならいっそ……八つ当たりに利用するべきだわ!!」
ヤマさんを見て、アラバスタの恥としか言いようの無い”ヘンタイ国王”を想起してしまったわたしは、何が何でも叩きのめすことにしたわ。
「”大津波”!!!」
まずはヤマさんの位置を探さなくちゃね。わたしが生み出した雨水はわたしの一部。少しでも接触すればすぐに感知できるわ!!
本当なら”索敵豪雨”っていう捜索用に考えた技があるんだけど、残念ながらこの鬱蒼とした森の中じゃ使えなさそうなのよね。
こんな時には”大津波”!! 集団制圧用に考えた技なんだけど、名前負けしない範囲に展開しようとしたら、今のわたしの実力じゃもの凄く薄っぺらい波になってしまうの……結果オーライよね!! こういう入組んだ場所での捜索にはピッタリの技だわ!!
「……見つけた!!! 逃がさないわよ〜〜!! ”美々突撃”!!!」
両手からのジェット噴射による推進力で、すぐさまヤマさんに追いついたわたしは……
「ぬごほっ!!!」
水の体でただ思い切り体当たりをした。
「……軽〜いわたしの体重でも、時速約100kmで激突すれば、結構堪えるでしょ?」
この方法ならタクミさんが言うみたいにワザワザ体を鍛える必要なんか無いと思う。
正直大砲よりは威力があると思うのよね!!
「ヤマさん?……一撃で気絶しちゃったみたいね。それじゃあ早速……」
わたしは気絶したヤマさんから、ご自慢の10連”斬撃貝”を勝手に譲り受け……
「お小遣い、ゲットかも!!!」
一人で決めポーズをとってみた。
「……何だか虚しいわね。さ〜て、ゾロでも探しに行こうかしら!!」
わたしはコンパスが無くて南がどっちか解らなかったから、取りあえず温かそうな方に行ってみることにした。
〜おまけ〜
「雪の〜国の〜愚王は〜♪ 雪で滑って頭打て〜♪ 砂漠の〜国の〜愚王は〜♪ 砂に埋もれて蒸し焼きだ〜♪……アレ? ルフィさ〜ん!!」
「おう!! ビビじゃねェか!! ゾロは一緒じゃねェのか?」
「ゾロは迷子になってるみたいで、近くを探っても見つからなかったの」
「しょうがねェヤツだなァ。ま、おれ達は先に南に行ってりゃイイだろ」
「きっとゾロもそのうちやって来るわよね。ところでルフィさん、南はコッチであってるのかしら?」
「あたりめェだろ? だって温かそうじゃねェか!!」
「そうよね!! わたしもそう思ってコッチに歩いてきたらルフィさんに会えたの!!」
「そっか!! ビビも意外としっかりしてんだな!!」
「でしょ?」
……二人は目的地に辿り着けるのだろうか?
〜Fin〜