小説『最強彼女』
作者:櫻井音羽(音羽.Com)

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教室に入ると、「おはよ〜!」と、とびきり甘い山ノ内さんの声が聞こえてくる。

それはいつもと変わらない。

でも・・・

「軽山田は?」

「あいつぅ〜?知らない。登校拒否なんじゃなぁい??」

「登校拒否?なんで?」

「ほら〜ダーリンが首締められたんじゃん??そのあと、皆にひかれて先生にも怒られて、教室でてっちゃったよ〜」

そうか・・・そうだったな・・・。

皆にばれたのか・・・。

前までは、早くばれろって思ってたのに・・・。

「って、なにげにダーリンってよぶなぁああああああ」

「だって、ダーリンでしょ?」

「いつ、お前の彼氏になった!!!?」

「なってないけどぉ、ダーリン私の事好きでしょ??私の事もハニーて呼んでいいよぉ」

絶対呼ぶもんか!!

山ノ内は、髪の毛をいじりながら言う。

その発言に周りは、どよめいた。

「お前!翔子様の事を好きなのか?!」

僕の元へすがりついて来たのは、山ノ内のファンクラブの部員である。

「やめぇええい」

教室中に響き渡る声を放ったのは、山ノ内のファンクラブ部長・南藤好男(みなどうよしお)である。

彼は、ナルシストな事で有名だ。

「でも!本当の事を確かめ・・・いてっ!」

南藤はハリセンで部員達を叩いた。

「翔子様がたとえ彼氏ができたとしても!!愛すと誓ったのを忘れたのかぁあああ!!」

「忘れてません!」

「よし!それでこそ僕たんの部下だ!!」

一人称僕たんって・・・。

っていうか熱ぃーな。

面倒くさそうだから、なるべく関わらない様にしておこう・・・。

僕はそっと離れようと後ろを向いた。

「西山和也!!!この僕たんが何度アピールしても振り向かなかった翔子様が振り向いた

っていうことはお前に何かあるってことだ!!翔子様を大事にしたまえよぉぉぉおぉぉぉっぉぉおおお」

声が震えている。

最終的には、号泣しやがった。

部員達もそれにつられて泣き出す。

あぁ、なんでこんなのが同じクラスなんだ。




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