彼女は、昼休みに遅れて学校に来た。
いつもどおりの彼女。
髪の毛も、手入れされていて、さらさらだ。
目も腫れてはいなかった。
だが、泣いているように、寂しがっているように見えるのは、僕だけだろうか?
彼女は、席につき文庫本の表紙を開いた。
そんな彼女に、冷酷な噂がのしかかる。
半分本当のことだけれども、半分嘘が混じっていた。
噂っていうものは尾ひれがつくものだから。
例えば・・・・・そうだ。
こんなのがあったな。
ー彼女は、サイボーグである。
ありえねぇよ!!!(っていうか、これ冷酷な噂じゃねぇじゃん!)
っていうか一部のバカなやつらは、その噂を信じている。
でも、もしあいつに『私ってサイボーグなんだ』って言われたら信じてしまうかもしれない。
だって、めっちゃ強いから。
僕、死にかけたし。
って、話がどんどん変な方へ行ってる気がする。
とりあえず、話を戻そう。
・・・で、なに話してたっけ?
・・・忘れたな。
ま、いっか。
とりあえず彼女と話してみよう。
うん、そうしよう。
僕は、下校時間になってもまだ話しかけられないまま、彼女を追いかけていた。
なんかストーカーみたいだけど・・・。
だが、彼女は気付かない。
ずっと、うつむいたまま歩いている。
通りすがったチャラ男が彼女に声をかけた。(またチャラ男かよ!!)
でも、今度はあの雨の日のチャラ男じゃない。
っていうか、なんであいつはチャラ男によく話しかけられるのだろう?
僕が、他の人に話しかけられるのを見てないだけかな?
まぁ、そんなことはどうでもいいや。
ここから(電信柱の陰)では聞こえないので、代弁してみた。
『ねぇねぇ、彼女。どっかあそびにいこーよ』
彼女が、顔を上げて笑う。
『いいよ』
手を絡めあう二人。
・・・っておい!!
危ない人には、ついていかないってお母さんに習わなかったのかぁあぁあ?!!
そんな僕の問いを知るはずもなく彼女とチャラ男は楽しそうに話している。
・・・なんかムカつく。
最終的には、二人で歩いてどこかへ行ってしまった。
僕は、呆然と立ち尽くすしかなかった。