出逢ったのは、今から4ヶ月前の6月だ。
その日は学校帰りに突然、大雨が降って、僕は仕方なく近くの建物に、雨やどりしていた。
だが、厚い雲は去る気配もなく、果てしなくどこまでも、広がっている。
雨は、いつまでたっても降り止まない。
雨の日は嫌いなんだ。
良い事なんてあったことがない。
天気予報は外れるし・・・傘を持っていくのは忘れるし。
僕は、憂鬱と苛立ちを胸に抱えて、雨が降り止むのを、ただ待つ。
「あれ?西山・・・君?」
女の子のきれいで澄んだ声がした。
顔をあげる。
そこには、軽山田美夏の顔があった。
あいも変わらず、今日もきれいだ。
「雨やどり?」
「う、うん」
僕は、一度も話したことがないので、戸惑いながら頷く。
軽山田さんは、いつも友だちに囲まれている。
その点、僕は一人、はやく休み時間が終われと願いながら、机に顔を伏せるているだけだ。
こんなカタチで、喋ることになるとは・・・。
「傘、いる?」
軽山田さんは、少し微笑みながら、鞄から水色の傘出した。
僕は、コクンとぎこちなく頷く。
胸がドキンドキンと高鳴り、今にも破裂しそうだ。
「どうぞ」
「あ、あり・・・が・・と・・・」
僕は、必死に言葉を紡ぎながら、傘を受け取った。
「そんなに、緊張しなくっていいよ〜」
彼女は、あははっと可愛らしく笑った。
「あれ?やんだ?」
彼女は、瞬きして、空を見上げる。
空は、いつの間にか、 青く澄み渡っていて、虹が架かっていた。
「うわ!見て見て!きれ〜〜」
彼女が、虹色の橋を指す。
このあと、衝撃的な事実を知ることになるとは、思いもしなかった。