小説『最強彼女』
作者:櫻井音羽(音羽.Com)

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「美夏?」

今度は聞こえるように言うと、やっと彼女は我にかえった様だ。

「カズ・・・?」

彼女は、僕を見てゆっくり首を傾げる。

「うん。っていうかこんな時間になんでいんの?」

「まぁ・・・」

彼女は、言葉を濁した。

「それよりさ、あれほんと?」

「あれって?」

彼女は、まっすぐ前を見たまま言った。

「翔子とつきあってる事」

「な、なんでっ、それっ!!」

情報いくの、はやすぎだろっ!

「まぁ・・・ね?」

今度は僕が言葉を濁した。

「やっぱ、翔子の事好きなんじゃん・・・」

「や、でも・・・」

「私も彼氏作るしっ!じゃあね、お幸せに」

「へ・・・?」

彼女は、立ち上がってそそくさと教室に出た。





彼女に『彼氏』が出来たのは、その次の日だった。

「美夏ちゃん、来てるよ。めずらしいね」

ふと耳に入ったクラスメイトの談話。

「そういえば、アノ子彼氏で来たらしいよ?」

えぇえ?!!

「よく、あんな子とつきあおうと思ったね、美夏ちゃんの彼氏。で、誰なの?」

僕は耳を澄まして次の言葉を待った。

「慶太郎くんだってさ」

け、慶太郎?!!!

「あの、ファンクラブの子?」

「そうらしいよ」

「なるほどね、ゾッコンだったもんね」

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