小説『最強彼女』
作者:櫻井音羽(音羽.Com)

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「痛いぃいぃ!!」

僕は今、屋上にいる。

そして、こともあろうか十字固めまでされてる。

だんだん、ひどくなってる気がする。

一日目(あの事件から数えて)は、けられながら質問されて、

二日目は、雑巾しぼり(手を雑巾みたいに絞られること)

三日目は、雨が降ってる中、盆踊りで

四日目は、(三日目で『踊り』にハマったのか)ドジョウすくい

そして今日に至る。

思い返してみれば、ホント理不尽だな、僕。

でも十字固めって・・・。

そのうち、背負い投げされたり、関節外されたりするんじゃないか心配になってきたよ・・・。

ガチャッ

扉があく音がした。

「な、なにしてんだよっ!」

聞いたことのある声。

た、たすけてくれ・・・。

そして、暴行罪で訴えてくれ・・・!!

ホント死ぬってば!

「カズ!お前、美夏ちゃんに・・・!!」

え?!僕かよ?!

訴えられるの僕?!

でも、はたからみれば技をかけているのがこいつだってわかるはず・・・なんだが、

慶太郎は、違うとり方をしたみたいだった。

「お、おまえ、美夏ちゃんに変なことしただろっ!」

してねぇよ!!!

っていうか、するか!!

そんなことしたら殺されるっつの!

慶太郎が、わなわなと唇を震わせる。

「ち、ちが」

僕が反論するが、慶太郎は聞く耳をもたない。

「よ・・・かった」

彼女は、あたかも僕に変なことをされて怖かったかのように肩を震わせて泣いた。

慶太郎は、彼女の小さな肩をさりげなく抱いた。

おい、慶太郎。

鼻の下、のびてんぞ。

「こんなことされて・・・髪の毛もぼさぼさじゃないか・・・かわいそうに」

それは、僕に十字固めをしたからです。

「おまえな!こんなことして許されると思うな!!!暴行罪で訴えてやる!!




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