小説『最強彼女』
作者:櫻井音羽(音羽.Com)

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慶太郎は、僕が彼女を押し倒して、彼女が嫌がって十字固めをしたと思っているらしい。

押し倒されたんなら、突きはなしたり、もがいたりはしても、十字固めはせんだろ・・・。

「ち、ちがうんだよ」

「なにがっ」

「僕はなんにもしてないってばっ」

「嘘つけ!」

慶太郎・・・お前ホント僕のこと信用してないな・・・。

「けいたろ・・・くん」

彼女が弱々しく口を開いた。

今度は何を言うつもりだ・・・?

「西山くんは悪くないの・・・訴えないであげて」

僕は内心びっくりした。

彼女が、僕をかばってくれるなんて思いもしなかったんだ。

まぁ、彼女がまねいた事なんだけれども・・・。

不覚なことに、胸が熱くなった。

「私が・・・」

彼女の目からまたほろりと雫が落ちた。

それは、とても嘘泣きと思えないくらい・・・。

「美夏ちゃん・・・こんな男のことで泣いてやるな!」

こんな男って・・・。

僕なんにもしてねぇのに・・・。

「カズ・・・・・」

僕は、慶太郎の目を何故か真っ直ぐに見れずうつむいた。

これじゃ、僕が本当にやったみたいじゃん・・・。

「今日から、もう絶交だ!!!」

「・・・・・」

僕がやったんじゃねえのに・・・・・・・・・・・・。

-6-
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