おそるおそる、教室に入った僕は、思わず胸を撫で下ろした。
そこには、いつも通りの風景がひろがっていた。
だが、どこか、わびしい感じがする。
なにか、物足りない気がするのだ。
クラスメイトの声がした。
「美夏ちゃん、どうしたんだろ」
「風邪だってきいたけど」
「マジで?大丈夫かなぁ」
風邪?!
あいつが?!
昨日まで元気だったのに。
看病に行こうかな・・・。
いや、いや。
僕は慌てて首をふった。
何で僕がっ!!
ってか、僕そんな答えに至るんだ?!
あいつなんか・・・。
僕は、あいつの悪行を思い出してみた。
それは数えきれないほどあった。
「カズ!」
僕は慌てて、前を見た。
そこには、慶太郎が仁王立ちしていた。
「なに?」
「お前、美夏ちゃんの看病に行くなよ!!」
「い、いかねえよ!!んなの」
「いや、信じらんねぇな。だってお前美夏ちゃんの事好きだろ?」
「なっ!!?」
「やっぱりなぁ、そうだと思ったよ」
慶太郎が勝手に納得して、鼻をフフンと鳴らした。
「ちがっ!!」
「ま、覚悟しとけ」
違うってば、何で僕がアイツのこと・・・。