小説『魔法少女リリカルなのは〜英霊を召喚する転生者〜』
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第6話 無印編開始 最近のデュエルはソリティアしないと勝てない





【僕の声が、聞こえていますか?】

「んあ?」

「スティーラーキッテクイックssスティーラーssジャンク・ウォーリアーssジャンクタイショウスティーラーssエクスプローラーnsefクイックssロードssロードefアンノウンssロードタイショウスティーラーss」

「おいバカ止めろ」

 マミさんの声が俺の頭の中に響いた。現実とアニメをごっちゃにするほど心は病んでいないつもりだからきっと気のせいだろう。それに俺は今忙しい。

 そして俺はといえば目の前にいる七志野 小波とデュ↑エルの真っ最中だ。

「……で御座るからな。きっとアリサ殿も将来巨乳に云々」

 俺の隣では十文字がデュ↑エルを見ながらいかに金髪巨乳が素晴らしいかを説いている。そして俺はその御高説を右から左へ受け流す。
 コイツは俺がアリサに対して特別な感情を抱いてないと知るや否や友好的に接してくるようになった。そのお陰でアリサやその友人二人、高町と月村ともボチボチ仲良くなれた。
 月村の名前を聞いた時は少し驚いたが、わざわざ敵をつくる必要は無いからそのことに触れなくてもいいだろう。

 そして十文字、お前はアリサの将来を妄想するより先に落としておくことから始めるべきじゃね?

「フォーミュラーssef1ドローロードタイショウスティーラーss」

【誰か、助けてください……】

 こっちが助けて欲しいわ!!

「リミットオーバー・アクセルシンクロ、シューティング・クェーサードラゴン!!」

「おい手前ふざけんなよ」

<い、一体今何がっ!?>

 七志野の場にはいつの間にかクェーサーが。
 わけが分からないよ。

「なあ十文字、七志野」

「何で御座るか?」

「カードを二枚セットしてターンエンド」

 何であんだけ回しといて伏せるカードが残ってるんだよ。

「何か聞こえね?」

「はて? 別に何も聞こえないで御座るよ」

「……そっちのターン」

 それじゃあやっぱり気のせいか。
 というか七志野はちょっとは話を聞け。

「ドロー。サイクロンで伏せカードを破壊」

「クェーサーで無効」

「ならナイトショットで破壊だ(危ねー、宣告かよ)。そんでトーチ・トークンを2体特殊召喚してそっちの場にトーチ・ゴーレム特殊召喚……通るか?」

「通る」

「ならクェーサー「リバースカードオープン、亜空間物質転送装置。この効果でトーチ・ゴーレムをターン終了時まで除外」……ううっ」

 トーチ・ゴーレムは相手の場からいなくなる。
 しかもトーチ・ゴーレムを召喚したターンには俺は通常召喚を行うことが出来ない。
 しかも手札にはもうモンスターカードしかないし。

「ラヴァゴが使えなくなったで御座るな」

 言うなよ。 

「ターンエンド」

 この瞬間、相手の場にトーチ・ゴーレムが戻ってくる。


「……ドロー。ジャンクシンクロンを召喚して墓地からフォーミュラーを特殊召喚。そして手札からドッペル・ウォーリアーを特殊召喚」

 この上まだモンスターを召喚するつもりか(怒)。

「レベル2ドッペル・ウォリアーにレベル2フォーミュラ・シンクロンをチューニング。シンクロ召喚!アームズエイド! さらにレベル4アームズエイドにレベル3ジャンク・シンクロンをチューニング! シンクロ召喚! ジャンク・アーチャー」

「ジャンク・アーチャーでトークンを除外」

 あ、俺死んだ。

「全てのモンスターで総攻撃」

 彼方LP8000→0





 それからさっきの声は聞こえなくなったので、完全に気のせいにして俺は家路へと着く。

<初手クェーサーとか、あんなの絶対におかしいよ!>

<あははは。私はカードゲームの事はよくわからないんですけど、あれって普通なんですか?>

<全盛期の甲虫装機とかゼンマイとかインフィルニティよりはまだジャンドの方がマシ。でもキ○ガイレベルには違い無いけど>

 とりあえず帰ったらワンキル対策のデッキを作らなければ。
 
 帰り道の途中で変な青い宝石を一つ拾った。
 驚いたことに俺をのっとろうとしたので肝を冷やしたが、|十二の試練(ゴッド・ハンド)によるガード余裕でした。

<ご主人様、心臓止まるかと思いましたよ! もうちょっと考えて行動してくださいまし!>

<……ごめんなさい。この宝石どうしよう?>

<パッと見た感じものすごい魔力を内包してますね。このままここに捨てておいたら二次災害にも繋がりますし、帰ってから詳しく調べてみましょう>

 家に帰ったらリニスがプレ○テでドラ○エ5をやっていた。
 はぐれメタルに逃げられてがっかりしている。

「あ、お帰りなさ……って何てもの剥き出しの状態で持ってるんですか貴方は!?」

 リニスは俺の手にある青い宝石を見たとたんに顔色を変えてコントローラーを放り出した。
 一応タマモが抑えてあるからすぐに発動する心配も無いと思うんだけど。

「封印!」

 リニスは青い宝石に向かって杖を振りかざした。

「ふう、とりあえずこれで問題ないでしょう。……何でこんなものが地球に? さっきの声と関係があるんでしょうか?」

「リニスはこれについて知ってるの?」

「名称は分かりませんけど、おそらくロストロギアに分類される物体と思われます」

「「ロストロギア?」」

 俺とタマモは声を合わせて首を傾げる。
 ロストは……失われた。
 ロギアは……自然?

「過去に何らかの要因で消失した世界、もしくは滅んだ古代文明で造られた遺産の総称のことです。大抵はは現存技術では到達出来ていない超高度な技術で造られた物、例えばこの宝石もそう。使い方次第では世界はおろか全次元を崩壊させかねない程危険な物もあります」

 俺はリニスの説明に俺は肝を冷やした。
 あのままあの宝石をあの場所に置いておいたら、もしかしたら地球が消えて無くなっていたかもしれない。俺が|十二の試練(ゴッド・ハンド)を持っていなかったら、タマモがいなかったらどうにも出来なかっただろうし、リニスがいなければ詳細を知ることも出来なかっただろう。

「何でそんなおっかないものが地球にあるんですかね?」

「それは私も疑問に思っていたことなんです。それにこれと同じ反応がこの町中にも……」

「えっ、それ一個じゃないの!?」

「……最低でも二桁はいくかもしれません」

 リニスは難しい顔して宝石を見つめ、タマモも腕を組んで唸っている。

 宝石はまた発動しないように厳重に封印してから地下の魔術工房に仕舞った。



〜次の日〜



「ねえ聞いた? 昨日行った病院で事故か何かあったらしくて、壁が壊れちゃったんだって」

 月村と遅れてきた高町がアリサの所に集まって事故について話している。
 俺も野次馬根性で見に行ったが、車の事故というか何かが暴れまわったような壊れ方だったような。

「……それでね。そのフェレットなら今家で預かってるんだ」

「フェレット?」

 俺は思わず顔を向ける。

「……何で動物の話題になるとちょいちょい反応するのよ?」

 いいじゃないかアリサ、俺は動物が好きなんだよ。特に子犬や子猫、フェレットやウサギ何かも好きだ。
 ウーパールーパーはちょっと微妙だったな。どの辺に癒される要素があるのか分からない。

「で? フェレットがどうしたんだ?」

「昨日の帰り道で傷だらけのフェレットを拾ったの」

 高町が簡潔に説明してくれた。
 誰かのペットが逃げ出したのだろうか。それとも捨てられたのか。

「それで、昨日の夜に忘れ物取りに行ったら偶然ばったり出会っちゃって……」

「ふ〜ん、高町「なのはだよ」何が?」

「名前で呼んでよ、お友達でしょ?」

 話す機会は増えたけど友達と言えるほど仲良くなったっけ?

「わーったよ。それじゃ俺も名前でいいから」

「羨ましいで御座るな彼方殿」

「……どこから沸いてきた十文字」

「酷いで御座るっ! さっきからいたのに」

「……あれは多分自動車事故じゃない」

 十文字、七志野といつもの面子がそろった。

「な、何でそう思うのかな?」

 なのはは何故かおどおどしている。

「自動車がぶつかったのならその部品くらい落ちているはず。なのに警察が調べても何の証拠も出てこない。暴れていた何かが煙のように消えてしまったとしか思えない」

「もしそれが本当だとしたらおっかない話ね」

 アリサは息を飲む。

 何というか七志野はオカルト系統の話が好きな男だな。





「久遠〜。あっそびに来たひゃあ!?」

 神社に遊びに来た俺の横を雷が掠めた。
 怪我は無いが心臓が止まるかと思った。こんな手荒い歓迎初めて受けた。

「か、彼方君!? 来ちゃダメ! 早く逃げて!」

 那美さんが小太刀を持って構えていた。
 相対していたのは雷を纏っている着物を着た女性。タマモのように狐の耳と尻尾が生えている。

「一体何がどうしたんですか!? あれは誰ですか!?」

「あれは……久遠よ」

 俺はもう一度着物の女性を見る。
 あれが久遠だって?

「ぁぁぁぁぁぁ……」

 久遠は虚ろな目でうめき声を上げている。いつもの俺の膝にのっていた温厚な狐とは天と地ほどの違いがあった。

「まだ封印が解けるまでは時間があるはずなのに」

「封印?」

「ああ、あれはやっぱり封印だったんですね」

 タマモは実体化して俺と那美さんの前に出た。
 
 久遠から放たれる雷をタマモが結界を張って危なげ無く防ぐ。実質今の久遠とまともにやりあえるのはタマモくらいか。

「久遠ちゃんから時折どす黒い何かを感じたことがあります。強い怒りと、憎しみと、悲しみを……」

 タマモは自分と照らし合わせているのか、久遠を憐憫の目で見つめていた。

「久遠お願い! 正気に戻って!」

「久遠ー! 返事をしてくれ!!」

 俺と那美さんが久遠に呼びかけるが、久遠に聞こえている様子はまるでない。息を荒くさせ、人の姿をしていながら獣のような息をしている。

「那美さん。久遠を何とかする方法は!?」

「……ごめんなさい分からないの。だから彼方君は逃げて!」

 畜生! 万事休すか。

「放っておいたって解決するわけじゃないでしょう! それに久遠は友達なんだ。見捨てたくない」

 何か……何かないのか?
 幸いタマモが久遠の放つ雷を防いでいるお陰で考える時間はある。

 俺のある手札と久遠の状態と照らし合わせて何が出来るかを考えるんだ。
 俺にあるのは|十二の試練(ゴッド・ハンド)と一回も使ったことが無い|射殺す百頭(ナインライブス)。威力は絶大だが、それを使ったら久遠が。

 久遠をよく観察しろ。些細なことでもいいから、突破口を見つけろ。
 

-7-
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