小説『wanari流 小説の書き方講座『解体信条』』
作者:wanari()

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3.基本的な文章作法 〜文の基本


 僕はひとりでどこまでもどこまでも続いていく荒野は寂しかった。

 さて質問です。
 上記の文が何を表現しているか、あなたはわかりますか?
 何となく情景は思い浮かぶかもしれません。が、とても読みにくい。
 何で読みにくいと感じるか。それはずばり文の基本が守られていないから、です。
 ここでは文の基本について見てみましょう。

『誰が』『〜した』、『何々は』『〜である』――つまり主語と述語がセットになっていることが文の基本です。

 誰が、何々は   =主語
 〜した、〜である =述語
 
 主語と述語を対応させるということを頭では分かっていても、小説をノリノリで書いているときはつい忘れてしまうものです。
 上記の例文では、とにかく頭に浮かぶ情景、単語をそのまま書き連ねてみました。気分はノリノリ、俺って今最高に格好いい文章を書いている! ……という設定です。
 でも、よく見てください。
 実はこの文、主語と述語の関係がおかしいのです。
 お気づきですか? 主語はふたつもあるのに、述語がひとつしかない。
 そう、『僕は』に対応する述語がないのです。
 例文を成立させるには最低限、次のような述語を入れなければなりません。

 僕はひとりで『歩き、』どこまでもどこまでも続いていく荒野は寂しかった。

 これで一応主語と述語を二セット作ったことになるのですが、どうもまだ読みにくい。
 こういうときは、いっそ文を分けてしまいましょう。

 僕はひとりで歩いていた。どこまでもどこまで続いていく荒野は寂しかった。

 これで意味が通じるようになります。
 一文の中に主語と述語が二セット以上ある場合、それらを意味の通る、読みやすい文に仕上げるのはそれなりの技術が必要となります。
 主語と述語は必ずセットにする。ただしひとつの文に二セット以上入れるときは慎重に。
 こうすることで読みにくい文になることを防げるでしょう。何より自分が何を表現したいのかが明確になります。これが一番重要。
 長い文を作るのも結構ですが、書いている内に自分が何を書いているのかわからなくなった、という事態は避けたいものです。






(まとめ)
・文の基本は主語と述語がセットになっていること!
・欲張って何でもかんでも詰め込まないようにしよう。

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