小説『Allegrissimo〜急速に進む俺の物語〜』
作者:緋村()

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振り向くとそこには、小柄な黒髪の女の子が立っていた。髪ながいなぁ〜。別に長いのが嫌いってわけじゃないけど…歩きづらくね?

その女の子はパッと明るい笑顔を見せていた
背とか印象的に俺より下の学年だろうか…?


彩音 「あ、紗弥佳先輩(さやか)、こんにちは」


……どうやら、先輩だったらしい
ま、まぁ、こういう先輩だっているさ。うん、いたっておかしくない


紗弥佳 「!」


小さい先輩は俺の存在に気づいたようで、表情を笑顔からキリッと厳しくさせ俺を見てくる
2、3秒くらい見た小さい先輩は今度は姫崎のほうに顔を向けて


紗弥佳 「彩音は部活をやっていないはずだから…もしかして、この人が彩音が案内をするっていっていた転入生ですか?」


そういう
……姫崎って部活やってないんだ
部活かぁ…俺はなに部に入ろうかなぁ


彩音 「はい。こちらが明日からこの大宇宙学園の2年B組に転入してくる早河 慶一くんです」


と、なにやら俺の自己紹介がいつの間にかされていた
俺は考えるのをやめて、小さい先輩を見て


慶一 「ども、早河 慶一です」


と礼をする
これでいいだろうか?俺がどこのクラスに転入するかは姫崎が言っちゃったし


紗弥佳 「早河 慶一…ですか」


怪訝そうな先輩の目が俺の頭からつま先までゆっくり…と一往復する
そんな警戒する目で見なくても……


紗弥佳 「はじめまして、3年の木村 紗弥佳です」


やけに3年を強調してそういう木村先輩
背の高さとか気にしてんのかな?

まぁ、あえて言わないでおこう


慶一 「よろしくお願いします」


彩音 「紗弥佳先輩はこの学園の風紀委員長なんだよ?」


慶一 「なるほど」


それで、さっきの俺を確かめるような目をしていたのか
て、いっても風紀委員長か
…うん、なんか想像できる

小さいけどしっかりしてそうだし


紗弥佳 「あなたが風紀を乱さずに学園生活を送ってくれるとあまりよろしくすることはないと思いますけど」


慶一 「こちらとしても風紀を乱すつもりなんてさらさらありませんよ。それでも、一応先輩後輩としてよろしくお願いしますね?」


つうか、風紀委員長ってことは絶対なんかすげぇ『マスター・ギア』持ってる能力者なんだろうな
俺としてはそういう輩とは敵対したくないからな


紗弥佳 「そうですね…」


ん?なんかさらに警戒されたか?
別に制服もしっかりしてると思うし大丈夫だと思うんだが

すると、木村先輩は姫崎のほうに体を向けて


紗弥佳 「彩音は隙が多いから気をつけてね?」


ん?なんの話だ?


彩音 「隙…ですか?」


姫崎もわかっていないのか首をかしげている


紗弥佳 「彩音はしっかりしてるように見えるけど、どこか抜けてるから」


………なるほど
つまり、俺がなにか危ないことを姫崎にすると木村先輩はいいたんだな?
失礼な…そんなことするような人間に見えるのか!?この俺が!

まだ、彼女すらできたことないんだぞ!
童貞だぞ!!
……って、そこはどうでもいいんだよ!


彩音 「わ、私、別に抜けていませんよぉ〜!」


紗弥佳 「そう?」


彩音 「そうですっ!これでも、クラスでは頼りになる委員長だなって言われてるんですよ!?」


……それ、絶対からかわれてるだろ
なるほど、そういうところが抜けてるんだな

それを聞くと木村先輩はため息をはいて


紗弥佳 「なるほど。そう言われて転入生のお出迎えと案内も引き受けることになったのね」


……やべぇ、姫崎おもしろい!
つまり、めんどくさい俺の出迎えと案内をクラスの奴らに煽られて引き受けたのか!?
馬鹿だろ(笑!


彩音 「ちょ、ちょっと早河くんも、なんで笑うの!?」


小さく笑いをこらえてる俺に姫崎がそういう
だって…面白すぎだろ!


慶一 「悪い…ちょっと、面白すぎる!」


震えながらそういう、俺
震えながら笑いをこらえている俺に木村先輩はため息をつき、とうの姫崎は


彩音 「だ、だって!べ、別に、断るようなことじゃないし……早河くんは、いい人だし///」


姫崎はお人よしなんだな
ていうか、俺がいい人っていうのはさっきの階段の件のことを思い出して言ってるんだろうな

少し顔が赤いのはさっきのを思い出したからだろう


紗弥佳 「会ったばかりなんだからわからないでしょう! ほんとに彩音は隙が多いんだから! 女の子がだれとでも仲良くなっちゃいけません!」


慶一 「うんうん」


まぁ、その通りだな
世の中には悪い人間もいるわけだし
…そういう人に会ったら姫崎とかは、もう……

いや、考えるのはよそう

木村先輩のいった言葉に声をだして頷く俺


紗弥佳 「ほら、早河くんだってこういってるし…って、なんであなたが言うのよ!」


え!?一理あると思って頷いたのに…怒られた、だと!?

驚いている俺と喋っている木村先輩を見て姫崎がフフフと笑っている


彩音 「紗弥佳先輩だって、早河くんと仲良くお話してるじゃないですか?」


紗弥佳 「な///!?こ、これは!!」


そういう姫崎の言葉に顔を真っ赤にする木村先輩
可愛いなぁ〜
あ、そうそう


慶一 「別に姫崎につけこもうなんて思っていないんで安心してもらっていいですよ?」


これいっとかないと、いつまでも警戒されそうだし


紗弥佳 「っ///そ、そうだといいなと願ってます!」


どうしたんだ?さっきより顔赤いけど…もしかして具合悪いのか?
そういうと、木村先輩はダァーっとどこかに走って行った

本当に大丈夫だろうか?


彩音 「あはは、先輩ってば照れちゃって〜」


そういって笑ってる姫崎
あれって、照れてるのか?

女の子って難しい
そう思っていると

??? 「あ、いたいた!彩音ぇ〜」

とまたしても女の子らしき声が俺たちの耳に響いた
俺はいったい、いつになったら学食を見に行くことができるのだろうか

先は長そうだ…

-4-
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