小説『Allegrissimo〜急速に進む俺の物語〜』
作者:緋村()

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木村先輩の去った方向から水色ツインテールの女の子が走ってくる
こちらも、相変わらず髪長いな。膝まであるぞ、あのツインテール

まぁ、それより、なにより……


胸、デカッ!!


何あれ!?100超えてんだろ!!
しかも顔も可愛い……ん?いや、待て


彩音 「あ、美琴ちゃ〜ん。よかった、返信来ないからメール届いてないのかと思ったよ」


美琴…ずいぶん聞き馴染みのある名前だ
俺はもう1度美琴と呼ばれた女の子を見る


美琴 「あはは、ごめんごめん。驚かせようと思ってさ!ていうか、紗弥佳先輩顔真っ赤だったけどなんかあったの?」


この喋り方
髪型は違うけどあの透き通った水色の髪
そして、なにより何年も見たことのある顔に呼びなれた美琴という名前

もしかして…


慶一 「お前…水原美琴か?」


美琴 「え?……………け、けい、いち?」


目の前の女の子は目を点にして驚いている
しかも、俺はまだ自己紹介してないのに女の子は俺の名前をしってる


彩音 「え?え?」


姫崎は俺と女の子を交互に見て首をかしげている


美琴 「え……えええぇぇぇぇぇぇええ!?」


女の子の驚きの声が廊下に響く
姫崎はその声を聞き体をビクッとさせてる


美琴 「な、ななななな何で慶一が大宇宙学園に!?」


慶一 「まず俺の質問に答えろ。お前は水原美琴か?」


もう、ほぼわかってるけど本人の言葉で確かめないとな


美琴 「う、うん」


頷く美琴
…………はぁ


慶一 「なんだこの複雑な気持ちは…」


会えて嬉しい、という思いもあればこいつも、『マスター・ギア』の保有者なのか、という残念な思いもある
ああ、そうそう。一応、俺と美琴の関係を説明しておくと…まぁ所謂、幼馴染というやつだ
高校に入ったら美琴は遠い学校に受験したって聞いたけど…ここだとは思わなかった


美琴 「それは…こっちも同じだよ。まさか、転入生が慶一だなんてね」


苦笑いしてる美琴
それもそうか。ていうか、1年で人ってここまで変わるものなのか?特に…胸が
美琴の胸って1年前は80ぐらいだった気がするんだけど…
ていうか、短かった髪もこんな長くなって…いや、似合ってるけどさ


彩音 「え、ええと…早河くんは美琴ちゃんのこと知ってるの?」


あ。姫崎のこと忘れてた
なんか困ったような顔だな


慶一 「あ〜、ま〜こいつとはあれだ。幼馴染っつうやつだ」


困ってる姫崎に俺が説明する


彩音 「そ、そうなんだ。びっくりだよ…」


本当にびっくりしてるんだろう
なんか放心してるし


慶一 「ま、まぁ、とりあえず……久しぶりだな、美琴」


美琴 「うん、久しぶり慶一。っていっても1週間ぐらい前に慶一の家に電話して話したけどね?」


彩音 「ええと、幼馴染ってことはもしかして2人は付き合ってる、とか?」


美琴 「えぇ!?べ、別に、つつ、付き合ってなんか///」


姫崎…幼馴染だからって付き合ってるわけじゃないんだぞ?
それと、美琴お前同様しすぎ
俺たちなんてただの幼馴染だろ?


慶一 「付き合ってねぇよ」


彩音 「へぇ。そうなんだ…お似合いだと思うんだけどなぁ」


美琴 「お、お似合い///」


お似合いかぁ。確かに美琴は可愛いけど俺と美琴じゃ釣り合わないだろ


彩音 「でも、こうして一緒になるってことは運命の糸か何かでつながってるんだよ!きっと」


美琴 「う、運命の糸!?」


いやいや、偶然だろ
それより美琴の顔真っ赤だな。さっきの木村先輩より赤い


慶一 「ないない」


俺は手を振ってそれを否定する
美琴はそれを聞くとなぜか不機嫌そうな顔をする


??? 「あれ?1人増えてる?」


ふと後ろから声が聞こえたので振り返ると筑黄泉先生が後ろにいてそんなことを言っていた
どうやら、職員会議は終わったようだ


彩音 「あ、筑黄泉先生。会議のほうは終わったんですね」


姫崎もそれに気がついたのかそういう
先生はおおといい、俺を見る


筑黄泉先生 「早河、その後進展はあったか?」


悪い笑みで俺の頭をつかみ自分の近くに引き寄せひそひそという先生
進展?
ああ、姫崎のことか。あったっちゃあったけど…あれは黙っておこう


慶一 「ないですよ。それに、俺と姫崎じゃどう考えても釣り合いませんよ」


姫崎も美琴に劣らず可愛いし、俺じゃだめだ
先生はそれを聞くと謙虚だね〜という


筑黄泉先生 「んで、なんで水原までここに?」


美琴 「あ、ええと…」


美琴は今までの経緯を話す
すると、先生は美琴を自身の近くに引き寄せ

[ここからは、美琴と先生の2人だけの会話です]


筑黄泉先生 「んで?お前は早河のこと好きなの?」


ストレートにそういう先生
美琴は顔を真っ赤にしながら


美琴 「好きじゃありませんよ!あんな奴!」


その言葉を否定する
だけど、そんなこといっても筑黄泉先生はお見通し


筑黄泉先生 「そうか。じゃあ、早河は姫崎に取られても大丈夫だな」


美琴 「え!?」


先生の『マスター・ギア』は相手の心を読み取る、ステレスハートだ
よって、慶一と彩音になにがあったかは知っている
先生のその言葉に美琴は過剰に反応する

それを見て先生は悪魔のような笑みを浮かべる
それに自分の能力も使ったため美琴の心を読み取ったので本心も知ってる


美琴 「…………好きです///物ごころついたときから///」


そして美琴も観念したのかそういう
顔からボンッと効果音が出そうだ


筑黄泉先生 「そっか…それじゃ、頑張れよ!」


そういって解放する先生
それに美琴ははい!と返事をする


彩音 「2人ともなに話してるんだろうね?」


慶一 「俺たちにはあんま関係ないんことじゃね?」


ヒソヒソと話してる2人を見てそういう2人
慶一は自分のことについて話されてるとは微塵も思ってないことだろう

ちなみに姫崎は無自覚だが慶一のことを気にかけている
これには、心をのぞける先生しか気づいていないけどな?

その後、先生と美琴の会話は10分ほど続き、その間慶一と姫崎が仲良く喋っていたのを先生と美琴は知らない

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