e18.マテリアルズ(ぷち)
:シュテル・ザ・デストラクターと申します
これからお世話になります、ノゾミ様
:僕はレヴィ・ザ・スラッシャー
よろしくねー!
:我はロード・ディアーチェと言う
この我の下で働けることを光栄に思うがいいぞ
:何偉そうにしてんだよ
書いた後ディアーチェにデコピンを加える。
ねんどろいどサイズのため、デコピンですら車に跳ねられるような強さになるようだ。よく飛ぶよく飛ぶ。
ちなみにシュテルらプチマテリアルズ、筆記用具にはシャー芯に紙を巻いてのりでくっ付けた俺特製のミニ鉛筆を使ってる。太さ0.5ミリで長さが自身の身の丈近い特製鉛筆を持っていっぱいいっぱいに書くシュテル達の姿にちょっとかわいいと思ったのは内緒だ。
おふくろはプチマテリアルズを見て最初は驚いていたものの、すぐに受け入れた。適応力だ高いと言うべきか、それとも特に考えてないのか。
『忌束ノゾミよ。よろしくね、かわいい妖精さん達♪』
『『よろしくお願いしまーす』』
吹っ飛んだディアーチェが戻ってきて『何をする貴様ー!』とか言ってきてるのを読み取ったが敢えて無視。
さて、そろそろこの謎なプチマテリアルズについての解説をしよう。
前回のラストでわかってると思うが、彼女達は神によってカニバル対策のために転生させられた、ユニゾンデバイスに生まれ変わったマテリアル達である。
で、なぜねんどろいどみたいなちっさい状態なのか。
それは、持ち運びである。
まあ早い話が、いつどこで遭遇するかわからないカニバルに対して、いつどこでも戦えるようにということらしい。確かにこのサイズならば、制服のポケットに入れて運ぶことができる。ちなみにこれが素の大きさということで、これ以上大きくはなれないそうだ。
前述のようにユニゾンデバイスであり、マテリアルが俺にユニゾンし、それぞれの力を得る。
射砲撃に長け、遠距離戦闘に特化したシュテル。
速攻性が高く、近距離戦闘に向くレヴィ。
そして広域魔法に優れるディアーチェ。
これらを状況にあわせてうまく活用しろとのことだ。
ディアーチェの出番が一番なさそうだと素直に書いて、色々怒られたのはついさっきの出来事。
しかし制約じみたことがあり、マテリアルとのユニゾンはそれぞれ一度ユニゾンしたら解除後丸1日時間を置かないと再度ユニゾンすることができないらしい。ユニゾンすることがまずないだろうとは言え、乱用は禁物である。
まあざっと説明すればこんなところか・・・?あ、ちなみにユニゾンしている間は融合騎が使っていたデバイスを扱えるとのこと。ガーディアンとの重複も可能なようで、そう考えたら結構強い。
ちなみにおふくろには、依頼で預かっているユニゾンデバイスだと説明している。
:キリ、早く食べよーよー
学校遅れちゃうぞー
:会って初日、というか、キリと呼ばれるのは今までの中で初なんだが
:それより早く食べましょう。遅刻しますよ?
:つーか、ここに来たばっかりのお前らが学校の時間を知ってんだ
:お前ら転生者の行動はいくらか神が観察しておるからな。我らにも教えられたのだ
見てたのかよ。
って、転生者には女性もいるだろ多分。ストーカーと言わないのかそれって。
あと、サイズ的なこともあるんだと思うが、米粒2粒で食事が済むって、お前らどんだけハイブリッドなんだ。経済的すぎて感動するぞこのやろう。
って、やべっ、もうこんな時間じゃん!
で、なんとか遅刻することなく登校できたのだが。
今、俺の頭にワシャワシャと違和感を感じてる。
原因はシュテルとレヴィとディアーチェ。レヴィとディアーチェは家を出る直前にそれぞれ、
『バレないように隠れながら潜入する。ス○ークみたいでカッコいいじゃん!』
『我はいついかなるときでも、頂点に立つ者なのだー!』
とアホなこと言って髪の中に潜り込んだ。シュテルはそんな2人のストッパーである。ツンツクヘアーの上にフード被ってるからおかげでバレてない。
だけど違和感がすごい。なんていうか、頭の上に何かを乗せてバランスを取る芸をやってるような感覚。勝手に注意が頭に行ってしまう。
頼むからお前ら、目立つ真似はすんなよ・・・。
授業中。あいつらが余計ガサガサやってる。そして前に出ようとしている。
・・・あ、そうか。コイツらにとって当たり前の日常すら新発見の連続なんだな。コイツら、闇の欠片として生まれて1日も経たずに消されたんだし。
・・・でもだからってフードの中から飛び出すなよ。
特に、身を乗り出しているであろう1名!
―――が、視界に飛び込んできた。
瞬間、俺は素早く左手でキャッチ。
:どうしたの?
:ハエがいたから捕まえた
なのはに誤魔化す。バレてない。
なのはは理解したようで授業に意識を戻す。
:何してんだお前はぁぁぁ!!
そしてキャッチしたそいつを睨みながら八つ当たりするように書いた。
案の定、落ちてきたのはレヴィだった。
声を出す訳にもいかず、かと言って筆談のために出る訳にもいかないレヴィは、そのちっさい両手を合わせて謝るしかない。
ったく、ヒヤヒヤしたぞ。割とマジで。
:袖から入って、今度は落ちないようにしろよ
コクコクと頷いて、レヴィはコートの袖に潜り込んだ。
後はマテリアルズがガサゴソしてること以外はいつもと同じ。夢日記の未来を変えて、そのまま帰宅。
で、帰宅後に転移魔法で適当な無人世界へ転移。
ここで何をするのかと言えば、ユニゾンのテストである。
連続使用はできないっつっても、さすがに1回ぐらい試した方がいい。
そうだな・・・試しにユニゾンするのは・・・。
:シュテル、いけるか?
:はい、問題ありません
シュテルを選んだ。射砲撃は早めに慣らしといた方がいいだろう。
ガーディアンをセットアップ。俺はこれで準備完了。
シュテルは元からバリアジャケット姿なので常に準備万端。
シュテルが光って俺に入り込む。
『ユニゾン・イン!』とか言ってるんだろうけど、何にも聞こえないまま身体にめり込んできたからかなりシュールに見えた件。
光が収まる。
身体確認。バリアジャケット、変化なし。髪の色、ちょっとだけ茶色っぽくなってる、それだけ。目の色、鏡忘れた・・・。
・・・何か変化した?
:瞳の色がシュテルと同色になっているぞ
そうなの?
普段の俺の瞳は黄色である。
:では魔法のテストをするぞ
まずは杖を出せ
どうやって出すの?
イメージすりゃいいのか?
イメージしてみる。シュテルの元であるレイジングハートはこんな感じだったかな。それの色が変わってこんな感じで・・・。
出てきた。
取る手がないので落ちる。
レイジングハートで言うところのシーリングモードの形態の、杖の先っちょのとんがった部分。あれが足に刺さる。
超痛ぇ・・・っ!
『何をしてるのだこの馬鹿者!』
痛いのには変わりないよ・・・でもユニゾンしたのがディアーチェじゃなくって助かった。
杖の先の剣十字が刺さったらどんだけだったのだろうか・・・。
:それより早くテストやろーよー
そうだった。
じゃあ早速アクセルシューター・・・じゃなくて、なんだっけ?
:パイロシューターだよ
殲滅華球の方がカッコいいと思うけどなぁ
その考えを人は厨二病と呼ぶのだろうか。
というかレヴィ、アホの子の癖によく漢字を多様するのな。
まあいいや。それよりテストの方に集中・・・。
・・・待て。そういやコイツらのデバイスって、思うだけで簡単に魔法使えるっけ?
音声入力とか、その辺必要じゃね?ガーディアンじゃないんだし。
:どうやら魔法が発動されるのか不安のようだな
:なぜわかる。よく考えたらレヴィの時もそうだが
:シュテルがおぬしの考えを読み取って言ってくるのでな
ユニゾンって便利だな!?
:だから余計なことを考えずとも、使う魔法を思い浮かべるだけでよい
りょーかい。じゃあ頼むぞシュテル。
魔力を込め、魔法をイメージする。
パイロ・・・シューターッ!!
次の瞬間。
30近い魔力弾が飛び出した。
唖然とした。
しかもシュテルがコントロールしているため、勝手に複雑な軌道を描きながら、最後に一斉に衝突して爆ぜた。
もう一度言う。唖然とした。
えーっと、シュテルさん。
試し撃ちで30も一気に出しますか?
ん、レヴィがなんか書いてる。
:シュテルが
「コントロールは基本私ですので、言ってみれば私の練習です」
だって
さいですか。
でもねシュテル。練習のために消費する魔力が俺のだっていうのは、どうかと思うんだ。
その後はブラストファイヤーを数発撃ったりして、ユニゾンテストは終わった。
というか結局、ユニゾンすること以外は一方的に俺の魔力が吸われるだけだった気がする。