小説『魔法少女リリカルなのは―ドクロを持つ転生者―』
作者:暁楓()

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e23.やっとマトモな戦闘になった・・・のか?





オーナーからもらったデータを見ながら、モニターに展開した地図に点を打っていく。

酒場のオーナーに頼んだ資料は、ミッドにいる転生者の住所だ。
まあ、そのまま転生者って言葉を使う訳にはいかないから、ここ5年程の間に管理局に入隊した魔力ランクが高いもしくは強力なレアスキル保有者の住所と尋ねた。転生直後が全員赤ん坊であれば、この問いが妥当だろう。

ふむ・・・。

万年人員不足の管理局とだけあって、案外答えがはっきり出てきた。
なのはやフェイト、はやて、神崎の名前もあったが、それはどうでもいい。
それで残った人数は神が言っていた元の人数13人から俺、神崎、あとすでに死んだ4人を覗いて7人・・・。
そのうちの3人であろう人物がヒットした。
意外と少ないな・・・残る4人は、まだ入隊していないのか?それとも、俺みたいに特に希望せずに転生したのか?

その3人の住所を地図に点を打っていく。
そのそれぞれ住所から大体・・・2、3km範囲の円を描いて・・・。
で、その円を含むようにさらに大きな円を1つ。

うーん・・・だいぶ範囲が広いな・・・魔力保つかな?

カニバルは自分の記憶や魂を求めてさまようから、その転生者の近辺に網を張っとけば当たるというのは、粗方ハズレではないと思うんだけどなぁ・・・。

・・・しゃーない。これでいくか。

えっと、このでかい円の中心は・・・。

じゃ、行きますか。





円の中心となった場所・・・某高層ビルの屋上に立つ。

さて・・・ガーディアンに探索魔法をセット・・・発動っ。
グングン範囲を広げていく。魔法の使用は許可なしでやると罰則ものだから、この一発で見つからなければ面倒だ。魔法の無許可使用はもう何度もやってるが。

・・・・・・・・・。



・・・・・・ビンゴッ!

場所は・・・少し遠いが大丈夫だ。転移魔法でいける。ガーディアンは攻撃系の魔法がからきしな代わり、補助系は豊富だ。

よし、行くか。転送!





転送先に着地。

前方約10mにコートを着た長髪の男・・・カニバル1体を確認した。
腹のケースに、大量のパイが入ってる・・・被害者だな。結構多い・・・。

『敵・・・・・・敵ぃっ・・・・・・!』

・・・いくらか予想はつけていたが、やはりそうだ。
このカニバル達が欲するのは記憶と魂、あと“それらの情報源となり得るもの”だ。俺がエニグマとか、そういうのは関係ない。
そしてカニバルの行動に支障の出るものならば、それが力を持っていようがなかろうが関係ない。無差別に敵として排除する。カニバルは、そういう風にできている。

結界を展開。これで、下手な奴が来ることはないだろう。

さて・・・。


:いくぞ、レヴィ

:オッケー!


レヴィが俺と一体化する。

俺の髪の毛が青く変化し、俺からは見えないが俺の瞳も黄色から濃いピンク色に変化する。

手をかざし、出現させたバルディッシュに酷似したレヴィのデバイス・・・バルフィニカスだったか。それを手に取り、鎌の形態にする。
レヴィとユニゾンしたため雷の魔力変換ができるが、魔力光は変わらないため灰色の魔力刃が出現。

・・・いくぜ、レヴィ。

『邪魔を・・・するなぁぁぁぁぁっ!!』

雄叫びを上げながら、こちらに突っ込んでくるカニバル。

だが・・・遅いな。

まずカニバルの右ストレートを左に避ける。そしてバルフィニカスを横に突き出す。突っ込んできたカニバルは、勝手にバルフィニカスの刃にぶつかってくれる。
その状態で踏み込みを入れ、バルフィニカスを振り抜く!
カニバルは吹き飛び、地面を転がっていく。

そして起き上がるカニバル・・・・・・よし。

ひびまでは入ってはいないが、ケースに傷がついてる。前回の戦闘と比べれば、効いてることがわかる。

すかさず追撃。魔力刃を引っ込めた斧形態でケースに連撃を叩き込む。
反撃は許さない。高速の連続攻撃をカニバルの腹に叩き続ける。その度にケースには傷がついていく。
連撃の締めとして魔力刃を出し、振り抜く。魔力刃を叩き込まれたカニバルは数メートル先まで吹っ飛ばされる。

そこそこ効いてもいいと思うんだが・・・やっぱ、浄化プログラムを効かせるには魔法によるダメージの方が効きやすいのか?

起き上がるカニバル。その腹のケースには、ひびがいくつか入っていた。

・・・よし、効いてはいる。このまま押していけば・・・・・・・・・っ!魔法陣!?

『邪魔だ・・・邪魔だぁぁぁぁっ!!』

大量の魔力弾が俺に飛びかかってくる。俺はそれらをシールドで防ぐ。
なるほど・・・喰った局員の魔力か・・・にしても重かったな。ひょっとして、複数喰った分魔力は重複によって大きくなっているのか?
だとしたら面倒になるな・・・俺の魔力はAA程度。重複がありなら魔力の強さからしたら大幅に不利になる可能性がある。
強力な魔法を使われる、防御が堅い、捕縛されない、もしくはすぐに抜け出されるなど・・・魔力ランクと実力はイコールでないにしろ、魔力が強さに直結することも多い。

やり方を工夫する必要がありそうだな・・・ならば!

俺は三次減算で小さくした鉄骨を取り出す。1つや2つではない。十数本。

・・・解放!
数字を戻した鉄骨をカニバルの頭上に投げる。カニバルの頭上で大きさが戻った大量の鉄骨がカニバルに降り注ぐ。
カニバルは鉄骨を避けようとするが、それを俺は数発の電刃衝を当てることで妨害。カニバルに鉄骨が直撃した。

才能は魔法とは違うためユニゾンによる浄化作用の付加はされてない。俺も、元から攻撃手段としては期待していない。目的は別だ。

いくら打撃に強いカニバルでも、物の重量には耐えられない。

鉄骨の下敷きになるカニバル。外に出た奴の手が、もぞもぞと足掻いている。
状態からしてうつ伏せだ。うまく周囲が見えない今なら、一撃が入れやすい。

通常よりでかい魔法陣を展開する。

大剣形態にしたバルフィニカスを振りかぶる。

これで・・・終わりだっ!!



雷刃滅殺・・・極光斬っっ!!!!



雷を纏う魔力の刃が鉄骨を、そしてカニバルを叩き斬った。





カニバルがいた場所を覆う灰色の爆煙が晴れてくる。

でかい一撃をモロにくらったんだ。相当なダメージを負ったはず・・・あわよくば、これで終わってくれりゃいいんだけどな。



・・・起きてる。

カニバルは生きてた。だけど、ケースにはでかい亀裂と、無数のひびが入ってる・・・もう少しだな。

もう一押し・・・光翼斬っ!!

鎌形態の魔力刃を、ブーメランのような回転で飛ばす。

カニバルはそれをシールドで防いだが、その間にカニバルの後ろを取る。
カニバルを蹴り倒し、手に魔力の雷を纏わせる。

いい加減・・・・・・死ねっ!!

カニバルの背中に、雷の拳を叩き込んだ。
拳を押し付け、電撃を当て続けると、最初は痙攣していたカニバルの動きが止まった。
カニバル自身の身体にも変化が起き、髪が短くなっている。

カニバルの身体を仰向けにする。
腹のケースは粉々に砕かれ、中のパイはなくなっていた。
確かパイが被害者の入ったゴミ袋に取り込まれることで元に戻るはずだが・・・離れている場合でも元の場所に戻るようだ。

これで、なんとかなったかな。カニバルのデータも採取できた。これでカニバルの反応検知をすることができればかなり楽になる。

・・・ん、管理局・・・手早くやったと思ったんだが、さすがに管理世界だと、来るのが早いか。

捕まるのは御免だし、撤退するか。





その後ニュースで、被害者全員が元に戻ったのを確認した。
浄化した後のカニバルの死体も発見されたが、現時点では関連は不明になっている。だが、魔力痕を調べられカニバルは何者か(俺)によって殺害されたものとされ、殺人事件として局は捜査しているようだ。

さて、これで俺は完全に犯罪者か・・・。

まあ、犯罪紛いのことは今までに何度もしてきたし、そのことを考えれば大した問題じゃねぇな。
これから一層、なのは達との接触は控えないとな・・・何が起きるかわかったもんじゃないしな。





―――活動中のカニバル・・・



残り、7体―――。

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