小説『魔法少女リリカルなのは―ドクロを持つ転生者―』
作者:暁楓()

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e26.デバイス作りって難しい





今日はリョウ家に来た。

デバイスを作るためである。
カルキさんからもうほとんどの知識、技術を伝授してもらい、そろそろ作ろうと思うんだ。


:予定としては、どんなデバイスを作るつもりですか?

:何か補助系のデバイスにしようと思ってる


コールの質問に、そう返した。

最初はアームドデバイスを作ろうかと思っていたのだが、戦闘面ではすでにシュテル達ユニゾンデバイスがいる。遠近広域全部揃ってしまっているため、これ以上攻撃型を増やしても意味がないのが現実だ。

で、作るべきデバイスはまず人格搭載型なのは大前提。これがなければ思考の読み取りもできないため、俺の場合ただのお荷物になりかねない。そして上記のことを踏まえて補助系。これも前提だ。

ただ、こっから先がうまく纏まらないんだよなぁ・・・補助型って言っても、強化魔法とか結界、捕縛魔法はガーディアンに積んでるから、それを新たに入れ直したり分ける必要性は見えない。召喚魔法は、ぶっちゃけて契約とかのことを考えたら面倒な一面もある。


:そうなったら後は、ホントにピンポイントな補助とか、変身魔法、あと幻術魔法。このぐらいになりますかね


ああ、そういや幻術魔法なんてのもあったんだな。確かフェイクシルエットなんて魔法がアニメで使われたっけ・・・。

・・・・・・ん?

待てよ。もしかしたら・・・・・・。
・・・行ける?


:コール、ちょっと無限書庫に行ってくる

:そうですか?わかりました。気をつけてくださいね


俺はリョウ家を出た。






本局にある無限書庫。行くには当然申請をする必要がある。

まだ俺の正体がバレてないから動けるものの、これから先迂闊に来ることはできないだろう。

無限書庫への扉が開く。

無重力空間のため、特に足場は存在しない。壁は全て本棚である。
俺は宙を飛び込み、漂う。

うーん、やっぱこの空間、楽しいけどなぁ。足が地面につかないって、案外不安になるものだ。飛行魔法は持ってるけど、俺はあまり使わないようにしている。

さて、そんことよりさっさと検索してっと・・・ん?誰かに肩を叩かれた。
振り返る。


:久し振り、キリヲ


・・・ああ、ユーノか。

ユーノ・スクライア。彼との付き合いは案外長く、過去にも何度か無限書庫で調べものをした時に知り合い、今では友人である。なのは達にバレないかですげーヒヤヒヤしているが。

まあそれがバレずに済んでいるのは、ユーノのおかげだと言える。俺の才能のことも話して、これが管理局に知られると面倒だから隠しておいてほしいと頼んだら、彼はオッケーしてくれた。本当にありがたい。
ちなみに、ユーノはすでに司書長であり、眼鏡をかけている。


:何か調べもの?

:ああ、ちょっと魔法の術式を調べたくて

:そっか。キリヲ、もし調べものが終わった後によかったら、こっちの仕事を手伝ってもらってもいいかな?またクロノからの資料請求が来てね

:ああ、それなら手伝うぞ

:ありがとう、助かるよ


仲良くなった一番の理由がこれだな。かのKYで知られているクロノからの資料請求。それを手伝った故にユーノからの信頼度は急上昇された。どうでもいいことに。
ついでに言うと、クロノは今はまだ提督ではないようだ。現在18歳ぐらいだっけ?で提督に昇進するのはさすがにないっちゃあないが。でも後2年もしたら提督になるんだよなアイツ・・・。

ま、その辺はどうでもいいか。ユーノも行っちまったし、さっさと検索しないと。

ガーディアン、頼むぞ。

広域検索。検索ワードは・・・“幻術魔法”、“精神攻撃”それから“術式”・・・これでいいか?
検索でかかった本が周囲に集まる。

うわ、結構多いな・・・さすがにワードが3つだけだと少なすぎるか・・・?
出てきた本は約20強。これでもかなり削れてる方だってわかってるけどなぁ・・・できれば2、3冊まで削りたい。

うーん・・・もう1つぐらいワード足すか。そうだな・・・“禁術”ってどうよ?

おっ、だいぶ削れた。残ったのは5冊。これぐらいならなんとかなるかも。
だいたいこの中に歴史本が2、3冊入っているからそれをどかし、1冊手に取る。

ふむ・・・やべーな。発狂レベルの幻術とか。そこまで求めていないのですが。
けど参考にするのは術式だ。魔法そのものを取る訳じゃない。
必要なことをメモメモっと・・・。

・・・よし、こんなもんかな。

それじゃ、本を戻して、ユーノの手伝いに行ってやろっかな。





さて、ユーノと共にクロノの請求に断末魔を無限書庫に響かせてからリョウ家に戻った俺。

ついにデバイス作りに取りかかろうと思う。

もう気づいてるかもしれないが、俺が作ろうとしているのは幻術特化のデバイス。幻術魔法を大量に詰め込み、それで相手をじわじわ追い詰める。
完全な防御と幻術による精神攻撃。俺が目指す戦闘スタイルは言わば戦闘アンチ。相手の動きを極限まで押さえつけ、戦力として削ぎ落とすタイプだ。
AAしかない魔力で、強い力を持つ原作エース達や転生者と真正面からぶつかったって勝ち目はない。
だから、攻撃型とは真逆の戦法を取る。攻撃も防御も大した関係ない幻術。それで相手を苦しめていけば、俺でもなんとかなるはず。
まあ、関わらないのが最善なんだけどさ。

さて、作るデバイスの原案が出てきたところで、制作開始。

まずは設計図。元からコアがあるものを使うのもありだが、俺の場合は思考認知のシステムという一般的にはまずない機構を積む必要がある。
そのためガーディアンの構造を分析。ガーディアンの構造を元にコアを作り上げる。元にするデバイスがある分、設計図を作るのがある程度楽なのがメリットだ。



・・・まあ、それでもデバイスができるのは当分先になるだろうけどねっ!

結局、設計図を作るだけで1週間近くかかってしまうのは別の話だ。

デバイスの完成は、まだまだ遠い・・・・・・。

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