小説『魔法少女リリカルなのは―ドクロを持つ転生者―』
作者:暁楓()

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e48.検査で燃え尽きた話





翌日。昨日と同じくクロノの先導を受けて俺は本局を歩いている。
目指す場所は本局の検査室。医務室として使われる他に魔力検査とかも行われる場所だそうだ。ちなみにマテリアルズはエイミィに預けている。

さて、移動中なんだしここでレアスキルの登録についての解説をしよう。
レアスキルの登録は主に文章データなんだが、より正確な情報として殆どのレアスキルには加えて映像データも提出される。逆に、映像データを使わないレアスキルというのは、見た目ではわからない体質的なものとか、決まった形が存在せず、映像データに意味がないものとか。
映像データには通常のカメラに加えて、魔力でできているかどうかも確認するため、こう、魔力反応をサーモグラフィー的な表示ができるカメラとかも使うらしい。
レアスキル1つにどのくらい時間がかかるかは、そのスキル次第だが、正確なデータを取るため色んな角度から何度も撮影、確認をするらしい。
俺の場合、才能1つ1つを細かく検証するため、多分1日2日では終わらないんじゃないかとか、クロノが言ってた。
2日で終わらないってことは、現在は8時30分なんだから・・・午前に1つ、午後に2つのペースでやってくのか?でも、だとしたら才能1つに平気で2、3時間使ってることになるよな・・・一体どういう検査方法なんだ・・・?

と、説明している間に着いたようだ。
まずクロノは先に入ってく。
それに続いて俺も入る。

部屋の中には、デスクといくつかの丸椅子、ベッドがあり、そしていくつかの、医療機器か?何かの装置が備えられていた。
窓が1つあるが、窓の奥にはおそらく訓練場だろう、体育館近い広さの部屋がある。
扉の開く音で気がついたのか、デスクの前に座っていた、白衣を来た男性が、椅子を回転させてこちらを向いた。

「やあクロノ執務官。・・・彼が今回検査する少年ですかな?」

細目をしていて、眼鏡をかけている。縁が丸い丸眼鏡なのは、なんかのこだわりなのか?そして白髪でもっさもさである。超もっさもさである。大事なことなので二度言った。
年齢は・・・30代半ばから40代前半ぐらいか?結構細身だ。

「ああ。彼が忌束キリヲだ」

「・・・どうも」

クロノの紹介に合わせて、軽くお辞儀をする。
男性は笑顔(元々細目だからわかりづらいけど)を浮かべた。

「私の名前はヨハン・ウェイラーという。ここで医務仕事とか、今回のように魔力やレアスキルの検査をしているよ。よろしくね」

男性・・・ウェイラー先生でいいか?ウェイラー先生は自己紹介を済ませるとモニターを展開させた。多分、今回の検査内容についての確認をしているのだろう。

「忌束君でいいかな?君は今回・・・同一の暴走の危険性がある8つのレアスキル・・・君が総称で『才能』と呼んでいるそれの登録と、魔導師ランクの登録。これらのための検査ということでいいね?」

「え、あー・・・はい」

ウェイラー先生の質問に、俺は一瞬詰まりそうになりながらもなんとか肯定する。
・・・危ない危ない。危うく異議を唱えるところだった・・・。
コピーの才能は秘匿、すなわち残っている才能8つが登録対象だ。
ずっと才能は9つってことで慣れてきたからな・・・気をつけないと。

「じゃあ、才能から検査を始めようか。リンディ提督から才能について軽く説明されている。検査に使う道具はあの訓練場に用意してあるから、そこに移動しよう」

「ああ、はい」

「じゃあ、僕はおいとまとしよう。頑張れよ」

「ああ」

クロノが出て行き、俺とウェイラー先生も訓練場へと足を向けた。





訓練場には、数多くのものが用意されていた。
ペンやらノートやらソファに観葉植物テーブル鉄骨テレビ漫画ポスター食べ物モルモット衣服 etc etc・・・一部どうやって入れたのかわからんものもあったりするが、とにかくたくさんあった。殆どが適当に置かれているだけという乱雑っぷり。
しかし訓練場の壁際には撮影セットと言うべき器具がセットされていた。カメラが360度全方位にセットされる形になっていて、あのカメラの中心で撮影されることになるんだろう。撮影したものを映すモニターもめっちゃ多い。

「さて、早速検査を始めようか。何からやりたいかな?」

撮影器具の確認をして、ウェイラー先生が問うた。
ちなみに俺は今、患者服を身にまとっていた。デバイスもウェイラー先生に預けて、余計な金属類はない状態だ。まあ、検査する上では当然だな。

ああ、1つ言っておくが右手のアザ――エニグマの印は、包帯をしてないことで丸見えである。
当然、ウェイラー先生に見られたのだが、どうやらウェイラー先生はリンディ提督と親しいそうで、俺の事情も聞いているらしい。でもってコピーの才能やエニグマの権利も、知った上で検査はしない方向でやっているようだ。先に言ってくれよクロノ。数分前の自分が恥ずかしくなるじゃないか。ギリギリ才能が9つと言おうとして踏みとどまった意味がなかったじゃないか。

まあそれはいいとして、検査だ。検査する才能の順番は自由でいいのか。

「じゃあ、まずは簡単な才能からでいいですかね。第3の手で」

「うんいいよ。それじゃあそこの、目印の上に立って貰えるかな?」

「わかりました」

指示通りに、床にテープでつけられた目印・・・カメラの群れの中心に立つ。
いくつかのキーを叩いた後、ウェイラー先生はこっちに顔を向けた。

「じゃ、始めようか。第3の手を出してくれるかな?」

「はい」

言われて、右手を軽く動かす。そしてそれにつられるように第3の手が俺の目の前へとやってきた。
別に、やろうと思えば何の動作もなしに手を操れはするんだが、この手って右手を動かす感覚に近いんだよな。だから動きのイメージをし易くするためにこうしてるんだよ。

「サーモグラフィーで確認したよ。これだね?」

「ええ」

「ちょっと待ってね・・・・・・・・・魔力の使用はなし、手も・・・特別魔力を使ってるようでもない・・・・・・人の平均的な体温・・・・・・」

様々なカメラから測定されたデータをウェイラー先生がキーに打ち込んでいく。
ただ、全方位設置な分だろうか、見るカメラの数が多くそれだけで時間がかかる。
・・・キーを打ち終えると、ウェイラー先生がメジャーを手にやってきた。

「大きさを測るよ。第3の手と、ついでに右手も出してくれるかな?」

「ああ、はい」

2つの手の縦と横の寸法を測る。

「第3の手は、通常の手のやく3分の2、と・・・触られてる感覚はあるかい?」

「はい。右手で触ってるのと似たような感じです」

「うーん」

第3の手を箱に入れられる。

「この状態でも、使えるかい?」

「はい」

「感覚は機能しているけれど、神経的繋がりはないか・・・」

箱から出される。

「この手に、届く距離の限界はあるかい?」

「はい」

「じゃ、限界まで伸ばして」

「わかりました」

手を限界まで伸ばす。

距離を測定される。

「この状態で、第3者によって引っ張られるとどうなるかな?」

「イデデデデッ!?」

「ああっ、ゴメンゴメン」

限界の確認。

「じゃあ次。これにいくつか手形をつけてくれるかな?」

手で触れた跡の消滅時間の計測。

「じゃあ次は・・・これを持ってもらえるかな?」

手が持てる物の重量の限界を計測。
通常の手での限界も計測し、比較。

「大体、通常の手と比べて限界は2分の1程度だね。あとは――」

第3の手の移動速度計測。

第3の手で魔力を運用できるかテスト。

今まで登録されたレアスキルに、類似の物がないか確認及び比較。

etc etc・・・。

「じゃあ、編集用の撮影をしようか」

撮影。

「あとは文章データの作成っと・・・」

編集。

「よし完成だっ」

完成。

「長ぇよっ!!」

ツッコんだ。

「第3の手1つにここまで時間かかるの!?ふと時計を見てみたら2時だよ?昼跨いじゃったよ!」

「隅々まで検査していくとこのぐらいだよ。レアスキル検査の平均時間は約4、5時間くらいだってことだから問題ないね。過去のレアスキルでは、測定に3日要したスキルがあったらしい」

なん・・・だと・・・。

ちょっと待て、ってことはあれか?俺の場合は8つの能力の総称が才能ってことになるから、検査時間の記録が塗り替えられるんじゃないか?いや、どうでもいいかそんなの。
そんなことよりだ。第3の手でここまでかかるってことは、他の才能はどうなる?明らかに1つで1日使いそうなものもあるぞ。

「まずはお昼にして、それから検査を再開しよう。先に聞くけど、次は何がいいかな?」

さすがだ・・・こういう場に慣れている。
くっ・・・俺も負ける訳にはいかないっ・・・!

「じゃあ、三次減算で」

「うん。じゃあ先にお昼にしようか。食堂まで案内するかい?」

次の測定(たたかい)に備え、俺は一旦この場を後にした。





〜ここからは、ダイジェストでお送りします〜



〜1日目・後半〜

――数字を、削るっ!

――魔力反応はなし・・・質量まで小さくなるのは不思議だね・・・次!

――数字を、戻すっ!

――同じく、特別な反応はなし・・・科学的説明が難しいね。またもう1回やろうかー!

――一体何回やる予定なんですかー!

――適当だけど後19回はやるんじゃないかなー!

――絶望したー!!



〜2日目〜

――一番手間がかかりそうなFLATをやろうかと

――うん、いいよ。始めようか。

――ようこそ、平面世界へ・・・。

――よし、どこまで続いているか調べ尽くそうか!

――限界が見えないのですが。



〜3日目〜

――まさかのFLATの検査2日目だよ!

――今回はちゃんと調べようか。平面世界にはいれる限界人数とか。

――最初にそれやってくださいよ!



〜4日目〜

――やっと次進める・・・今日は人形化で。

――人形化ということで、私達も来ました。

――他の人形もあった方がいいよね?これなんかもどうだろう?

――人体模型は嫌です。



〜5日目〜

――今日は逆再生にしましょう。

――大丈夫なのかい?色々撮影が多くなると思うけど。

――ならさっさと済ませましょう。長々とは嫌ですし俺が危ないです。



数時間後。



――奇跡的に、もう一個いけるよ!でも忌束君はキツそうだし、通信(テレパス)にしようか。これは文章データだけでいいよ。

――そうなんですか?

――ただし、文章データのみの場合はしっかり、こと細かに説明してね。多分、酷い場合には編集に5時間ぐらいかかると思うよ。

――気力が保ちそうにありません。



〜6日目〜

――消えろっ!

――魔力反応なし・・・体温変化なし・・・次、限界時間でもう1回!

――消えろぉぉぉっ!

――他の才能との併用を試してみようか。

――うおぉぉぉっ!!

――気合いでなんとかできるんだね・・・じゃあこれ消してくれるかい?

――消え――あ、すいません、ミスりました。

――残念!もう1回!



数時間経過。



――き・・・消え・・・。

――もう1回!もう1回だけなんだ!



・・・これらと共に、夢日記を随時検査していたことを、ここに記す。





「燃えたよ・・・燃え尽きた・・・」

「キリヲ・・・大丈夫か?」

真っ白になったよ・・・。

「こっちも燃え尽きた・・・ここまで時間のかかる検査は初めてだよ・・・」

「ええと・・・お疲れ様です、ウェイラー先生」

状況を説明しよう。
場所は休憩所。俺とウェイラー先生が疲れ果てている。
そこにやってきたのは、今週の学校丸サボリのために心配で来たというなのは、フェイト、はやて、そして守護騎士6人。
リインフォースが俺を心配して声をかけてくれているが、返事をする気になれない。ちなみに、ウェイラー先生に労いの言葉をかけたのはフェイトである。
あ、マテリアルズもいるよ。

「本当にキリヲ君、声が出るようになったんだね。よかった」

「すずかちゃんや優香ちゃんが知ったら、喜ぶやろな」

なのはとはやてがなにやら話しているが気にしない。もう、とにかく今は休みたいのである。体力を回復させたいのである。

「キリ、大丈夫ー?」

「・・・・・・・・・」

「返事がない。ただの屍のようだ」

「いや、死んではいかんであろうシュテル・・・おい、湖の。何かヒーリングでもかけてやれ。そこの白髪医者にもだ」

「あ、はーい」

あぁ、だりぃ・・・・・・・・・おぉっ?なんか疲れがなくなってきた。

「あぁ、すまないね」

「気にしないでください♪」

ウェイラー先生がシャマルに礼を言ってる。
ああ、よかった。結構楽になった・・・。
軽く伸びをしながら、俺はそう思った。

「つーか、どんだけ時間食ってんだよ。事件から1週間経ってるんだぜ?」

「その1週間ほぼ丸ごと検査。一部の才能には2日間かかった」

「キリヲ・・・本当に大丈夫か?」

大丈夫じゃない。
現に6日間中、4日ほど深夜テンションになってたりもする。

「1週間か・・・忌束君は才能という一括りでレアスキルを登録するから、検査時間は過去最高のぶっちぎりになるね」

「特に嬉しくないです、それ」

「キリヲ、後は魔導師ランクの登録をすれば、検査は終わりなんだよね?」

1週間にしみじみと思っているウェイラー先生にツッコんでいたら、フェイトが尋ねてきた。
魔導師ランクの登録か・・・

ところがどっこい。

「・・・実はまだ終わってない。夢日記――それも動きを予知するタイプをもう一度検査したいとかで、こう見えてまだ検査中」

「才能の検査が済んでも、その次の魔導師ランクについても、3基のユニゾンデバイスと人形化があるんだから人形化した時間帯による変化も含めて10回分の模擬戦が必要になるね」

・・・そう、夢日記の検査が終わってない上にこれだ。
人形化は昼と夜で身体強化という差が出る。それも計測しなければならないのだ。
元々の俺に加えて、シュテル達とのユニゾン、昼間での人形化、夜間での人形化それぞれで計10回。1日でこなすのはさすがに無理があるため数日に分けられる。
道のりは遠い・・・。





・・・ん!

「ウェイラー先生、夢日記です」

「おお、そうか。・・・・・・よしっ、じゃあ書いて」

「了解です」

夢日記帳を取り出して、レッツ予知。
ガリガリガリガリ書いてゆく。

・・・予知終了。

「どんな内容なんやー?」

「確かに内容は気になるねー」

「リインも気になるです〜」

「また、キリヲが危険に晒される内容なのか・・・?」

「そうホイホイなんねーだろ?」

急に一辺に来んな。俺が見づれぇ。
・・・えっと、内容は・・・?



7がつ13にち

しぐなむとたたかいました。

うしろからきられてまけてしまいました。

やられたー。



「・・・・・・・・・」

日記に書かれたのは、そんな内容と後ろから横薙ぎに斬られる、多分俺の姿。
日記の内容に、俺は動きを止めた。
すぐに再起動し、バッとシグナムを探す。

いい笑顔で、待機状態のレヴァンティンを見せてきた。

・・・・・・・・・。

続いて、ウェイラー先生の方を向く。

いい笑顔で、サムズアップを決めていた。

・・・・・・・・・。

全て、悟った。
だが、それでも足掻いてみせよう。

「チェンジで「「さあ模擬戦だ」」」

ぎゃーすっ!!





という訳で、シグナムとの模擬戦である。
よりによって、最初の模擬戦ということで測定の基準とするためにユニゾン、才能共に使用禁止の状態である。
言い換えたら、攻撃手段を根こそぎもぎ取られた、まさに乙ゲー状態である。
・・・いや、冗談抜きで攻撃手段がないんだけど。拳とか届く訳ないじゃん・・・。

「さて、準備はいいか?」

「チェンジしてくれれば、即座にオッケーだと言えるんだけどな」

「諦めろ」

『諦めなよ忌束君』

ぜってーやだ。

・・・と言いたいが、これが現実なのである。もう準備は万端なんだ。
・・・しょーがない。腹を括るか。

「はぁ・・・わかったよ。んじゃ、始めようぜ」

『じゃあ、私が合図したら試合開始だ』

俺もシグナムもそれぞれ構え、ウェイラー先生の合図を待つ。

才能もユニゾンも使えないという、ほぼ負け確定の最悪条件。
俺の魔導のみの打ち合いが初めてなこともあってか、手が汗ばんできた。

だがとにかく集中して、合図を待つ・・・。

『始めっ!』

「―――っ!」

合図が出るとほぼ同時、シグナムが動き出した。

・・・って、速ぇっ!?

すぐに俺は、シールドを展開する・・・!
シグナムの初撃は防げた・・・が。

「ぐっ・・・!」

重い・・・っ!
速い上に一撃が重いって、冗談じゃねーよっ・・・!こっちは戦闘経験多くないし、何より攻撃手段がねんだぞ・・・!

・・・って!?

「っ!?」

いないっ・・・!?さっきまで正面にいたはずのシグナムがいないだと・・・!?

『プロテクション』

「うおっ!?」

ガーディアンが勝手に障壁を展開した右肩辺りで激しい金属音がなる。
どうやら、いつの間にかシグナムが俺の真横に回って斬りかかってきていたらしい。

・・・ってか、ホント速ぇよ!まさか本気出してんのか!?

って、また消えたし!!

「うおっ!くそっ・・・!」

「どうした!動きが鈍いぞっ!」

だから、戦闘経験少ないっつってんだろーが!!

心の中ではそう思うが、もはや返事の余裕すらない。
ホントっ、勘弁してくれよ!360度から斬撃の嵐って、ガーディアンのおかげでまだ大丈夫だけどいずれは耐えられねーよっ!
それにこれじゃあいつ日記通りになるかわからね・・・

ん?日記・・・?

・・・そうだ・・・!

「ガーディアン、フィールドバリア展開!」

『了解』

「・・・っ?」

魔力を身体全体に纏い、元々高いバリアジャケットの硬さを底上げする。魔力効率的に長々とは使えないが、数秒間、ただの斬撃が効かない程度にはなる。
そしてその状態で、シグナムには目もくれずにダッシュ。
壁際についてシグナムに向き直る。壁を背にする形となる。

「・・・なるほど・・・予知から背中を守りにきたか」

あっさりバレた。まあ当然か。

シグナムの言うとおり、日記の記述にある『後ろから斬られた』を潰すことにした。背中が壁ならば、後ろに回り込むことはできない。
それに加えて、この状態ならシグナムが斬りかかってくるのは前か横。御しやすくなる。

そして・・・攻撃手段も確保できる・・・!

「それならば・・・正面から斬り崩すまでだっ!」

来たっ・・・!
チャンスは多分、1回・・・1発勝負・・・!
シールドを展開・・・シグナムの斬撃を、防ぐ!
だがこのシールドは、一味違う・・・!


―――ガキィンッ!


「―――ッ!!」

捕縛盾(バインディングシールド)・・・!

捕縛されたシグナムの後ろに回り込んで、1回転・・・!

そして回転の遠心力が乗った裏拳・・・狙うのは脳震盪を狙うため後頭部・・・!

「らぁっ!!」

裏拳は迷いなく、動きが取れないシグナムの頭に直撃っ・・・!

やったか・・・?


―――ガシッ!


「いぃっ!?」

「・・・なかなかの策だったが、少し甘いな・・・フィールド系防御を使えるのは、お前だけではないぞ?」

・・・やべっ、原作でシグナムも使ってたんだっけか!?

「でやあぁっ!!」

「げぁっ!?」

シグナムに蹴り飛ばされ、俺は背にするものが何もない床上に転がる。

「いくぞっ!」

「くっ!!」

シグナムの追撃に備えるべく、すぐさま立ち上がってシールドを展開する。

しかしシグナムは、構えた後一瞬で姿を消した。

「っ!?」

落ち着け・・・すぐに分析するんだ。

この状況で、シグナムが狙ってくる場所は・・・!

「穿空―――」

―――後ろからの、横一閃っ!!

「―――牙っ!?」

シグナムが放った穿空牙は、俺がしゃがんだことによって対象を失い、空を斬った。

日記の通りだった・・・が、それは回避された。勝つ可能性は、ある!
壁までの距離は遠い・・・ここからはガーディアンの防御力を利用して、インファイトを仕掛ける方がいいか・・・!

そう思って、背を向けたままでは危ないためシグナムの方に向き直った・・・その矢先。

「紫電―――一閃っ!!」

「げぶらっ!?」

炎を纏ったレヴァンティンに叩き斬られた。

・・・やられたー。

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