小説『魔法少女リリカルなのは―ドクロを持つ転生者―』
作者:暁楓()

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e57.デバイス完成(仮)





合宿の4日目、5日目は、特に何事もなく済んでいった。
ただ、1つ言えることがあれば、川遊びの件でのあれが恥ずかし過ぎて、まともにリインフォースの顔を見ることができなかった、とだけ言っておこう。





で、今日、俺はリョウ家に来ていた。
影(シャドー)化事件が終わってから、休日とか夏休み最初の日にも来たので、久し振りという訳ではない。
だが、影(シャドー)化事件やその事後処理のせいでかなり製作が遅れているというのは事実。
別に急いでいる訳ではないが、早く俺自身の戦術を完成させたいということがある。

という訳で、リョウ親子とおふくろに頼んで数日だけリョウ家で住み込みでのデバイス製作にをすることを許してもらった。
さすがに夏休みのほぼ全てを使って、というのは許してもらえそうにないし、俺もそこまでしようとは思わない。
とりあえず、この住み込み製作によって元を取れればいいなって思ってる。

さて、作成だ。
今取りかかっているのは、デバイスのコアの作成。
デバイス製作の手順は大まかに、コアの作成、デバイスのプログラム設定、フレーム作成、待機形態の作成及び設定、術式設定といった感じだ。特にコアの作成とプログラム設定はデバイスの性能に直結する。部品1つのミスでもまずい。

様々な種の工具を利用して、部品を組み込んでいく。
こういう時に、手数が増える第3の手が便利になるかと思いきや、意外とそういう風にはいかず、結局のところ少し離れた部品を取る程度にしか使わない。

とにかく、地道に頑張ろう。
作業日数は3日間、つまり明後日までだ。





1日目。
コアを作成中。
途中で小さな部品を無くし、探すのに時間を浪費する。



2日目。
引き続きコアを作成。
深夜に、とりあえずはコアが完成。
不備やミスがないかの点検は、明日行うことにする。



3日目、午前。
カルキさんの指導の元コアの点検。大量に欠点が見つかる。
まず設計図の段階で欠点があったことが発覚。
しばらく落ち込んだ。
午前の間に欠点を修復。



そして同日の午後。
デバイスにプログラムを設定する。
正直、ここはまださっぱりなため、カルキさんに設定を頼んだ。

「システムインストール・・・OK。よし、これで設定は出来上がったよ」

「ああ、ありがとうございます」

システムインストールを終えた、黒いクリスタル型のコアを受け取る。
これで、デバイスと呼べるものは出来上がった。後はアウトフレームを付けて、術式組み込んで、それでコイツの完成だ。

「術式を先に組み込むことってできますよね?フレームがなかなか思いつかなくて」

「ああ、できるよ」

カルキさんに確認して、先にデバイスに術式を組み込むことにする。
端末に調べた幻術や、自分で作り上げた幻術の術式を入力し、デバイスにインストールさせていく。実際には端末を用いずとも術式を入れられるのだが、術式は少し違ったら暴発の危険性があるため、この方が効率的にはいいらしい。

そして、最後の術式も無事インストールし終えた。
これで、デバイスはもう実質的に完成したと言ってもいい。フレームなんて飾りなんだから。
なので、起動テストをやってみる。

「デバイス起動。マスター認証、忌束キリヲ。術式はミッドチルダ式。個体名称を―――“ゴースト”に仮設定」

『―――マスター認証。術式設定完了。仮名称ゴースト、設定完了。起動完了しました、マイマスター』

デバイス――ゴースト(仮)から声がした。
うん、問題はないようだ。

「これから頼むぞ、ゴースト」

『はい、マイマスター』

ゴースト(仮)の返事を聞いて、俺はソファにふんぞり返った。
とりあえず、これでデバイスはほぼ完成。意外に作ると早いもんだな。
だけど、ここから先フレームの作成がある。多分、一番時間がかかるのがこれだと思う。
どういう形にするか?どういう性質の武器にするか?形状によってシステムの組み換えもありえるだろう。ゴースト(仮)もそうだ。ひょっとしたら、形状によってシステムを一部変えるかもしれない。

・・・で、その形状だが・・・全く浮かんでこない。
まず、杖とか剣とか、そういう手に持つタイプのものは論外だ。ぶっちゃけ邪魔。防護服(ガーディアン)に装着するタイプも同じ理由に加え、バリアジャケットごと飛ばされて離れるのはまずい。
だから、俺の邪魔にならない場所で自立浮遊するようにした方が・・・って、これシステムの方だな。カルキさんに頼んで追加してもらおう。
しかし、フレーム・・・どうすっかな・・・名前ももっとしっくりくるようなものをつけたいし。

「うーん・・・・・・ゴースト、お前はどう思う?」

『マスターの思いのままに』

・・・思考認識機能は正常っと。
このシステム、俺の声が戻ったからつけなくていいかと思ったが、使いようによっては戦闘で役に立つ。だから、残すことにした。

・・・さて、まずはできることをやるか。

「カルキさん、早速ですけど、システムの追加をお願いしていいですか?」

「ああ、構わないよ。どういうのをつけたいんだい?」

「デバイスが自立浮遊できるようなシステムを――」

近いうちに、実践で試験運用してみよう。俺の考えた幻術攻撃理論、通るかどうか確認したいし。

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