e6.授業が退屈すぎると隣の人とこっそり話たりとかってするよね。つか、原作であったじゃん
Q.俺にとっての授業とは?
A.退屈以外に何もなし
どうも、忌束キリヲです。
上の通りです。退屈で仕方ない。
音が聞こえないため、黒板の文字を写す。ただただそれだけ。それ以外何もできない。
先生は俺が何も聞こえず、喋れないことは知っているため、当ててこない。楽できるからいいのだが。
だがここまで退屈だと、どうしようもなくなるのも、また事実。
・・・ドクロよ、お前が俺に課した代償は“無音”だよな?まさか、こんなことになるのを予測してやったんじゃないよね?
・・・もう無理。寝よう・・・・・・ZZZ。
次に起きたら昼休みになっていた件。寝過ぎだ、俺。
まあでも昼休み開始直後に起きたとは俺もなかなかやるな。とりあえず昼飯食うか・・・ん?
:フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです。はじめまして、キリヲ
そう書かれた紙を差し出し、にっこり笑顔を向ける金髪女性が目の前にいた。
俺の名前を知ったのは・・・うん、ある意味当然か。他の原作キャラ4人は俺のこと知ってんだし。つか、よく前の2年間はバレずに済んだな。
:忌束キリヲ
特技は読唇術
俺のことは誰から聞いた?
:なのはから
あと、はやてからも甘いものとライトノベルと静かな場所が好きだって聞いたよ
はやての話、それはすずか経由に間違いないな。・・・すずかよ。お前だけは決して裏切らないと信じてたのに。
ふと教室の扉を見る。
はやてと、申し訳なさそうにペコペコ頭を下げるすずかを発見。
すずかは許そう。しかし八神、てめーはだめだ。
帰ったら2、3日の間腹痛に悩まされる呪いをかけてやる。実は俺、オカルトアイテムをたくさん持っているんだぜ。
まあそれはそうとして、フェイトの字はやはり丁寧で読みやすい。
原作女子キャラの字の丁寧さを順位にすると、すずかが1位で2位にフェイト、3、4位がなのは、はやて、5位がアリサといったところか?
別にアリサの字が雑だとか言っている訳ではない。すずか、フェイトの字が美しいだけだ。
:まあよろしく。アリサは口が先に出そうだし、なのはについてはお話と称した何かが来そうなんだ。偶にでよければ筆談相手になってほしい
:なのはのことについては後で弁護させてもらうとして、こちらこそよろしくね
:というか、ハラオウンから筆談を持ちかけてほしい。俺は暇であればそれをラノベか睡眠に費やしてしまうから
:自分でも積極的にした方がいいと思うよ。後、名前で呼んで欲しいな
それじゃあ、私はちょっとお昼を食べに行くから
:ああわかった、フェイト
教室を出て、はやて達と共に行ったフェイト。再び俺1人に。
さっさと飯食って、後はラノベでも読むか。
筆談相手がまた1人できた。これからに少しだけ期待ができる。
やっぱ、大した呪いじゃないかな。無音の世界というのは。神が代償の大きさをできるだけ小さくしたんだろう。感謝である。
―soundonly―
「うーん・・・」
「なのは、どうしたの?」
「うーん・・・すずかちゃぁん、寝ちゃったキリヲ君はどうやって起こせばいいの〜?」
「あー、それ私も聞きたいわ。2時間目からぶっ通しで寝てたわねぇ」
「声かけても意味ないし、揺すっても起きないし・・・」
「揺するだけじゃだめだよ。逆に軽いマッサージに感じて余計に寝ちゃうから。やっぱ、ちょっと強引にやった方がいいと思うよ」
「具体的には?」
「私はよくキリヲ君の後頭部を国語辞典とか広辞苑とかで叩いてたなぁ」
「すずかちゃん、そないなことする人やったっけ?人変わってへん?」
「キリヲ君を起こすためなら変わるよ。あ、できるだけ3面の角が1つになっている箇所で叩いてね。キリヲ君、もう2面の角じゃ耐性ついてるから。もしくは思いっきり叩く・・・じゃなくて殴ってね」
「ねぇ、すずか大丈夫?すずかがそんな物騒な言い方するの、あたし初めて見たんだけど」
「同感なの。けど参考にするね」
「なのは・・・やりすぎないようにね?」
「大丈夫やない?ギャグ補正で」
「大丈夫だよ。キリヲ君、血が出るくらいに殴っても平気だから」
「2人の考えが心配だよ」
―sound・out―
昼休みが終わって再び授業。
昼休みで上がったテンションをここで落とすとか、マジ鬼畜。
午前中に寝てしまったから、なかなか寝付けない。
ドクロよ。本当にこれ狙ってないよね?仮に狙ってたとしたらこれなんて孔明なんだよ。策士すぎるわ。
だが負けん。俺は負けんぞ。必ずや寝てみせる!
寝ることにこだわる理由?当然退屈だからだ。なのはに筆談を持ちかけるのはやりすぎると迷惑になる。
という訳で、机に突っ伏し、寝る。
眠気は来るものではない、作るものだ!
ん・・・誰かが揺らしてきた。右肩が掴まれているみたいだから、多分なのはだ。
なのはよ、邪魔しないでくれ。今から俺は寝るんだ。この退屈でしかない授業から離脱するんぶるぉっ!!?
頭の前後に強い衝撃。1つは机の上に顔面が強打したものだとわかる。もう片方は、何か鈍器的な何かにぶつけられた感覚。
キッと右隣を見る。国語辞典片手に素晴らしい笑顔を向けてくるなのはがそこに。
:起きた?
:永遠の眠りにつかせるつもりかお前は
頭から血出てない?
:出てないよ。結構本気でやったけど、確かに頑丈だね
加減というのを知ってください、魔王様・・・。
あー、頭がガンガンする・・・こんなんで寝ることなんてでき・・・な・・・
ん・・・眠気・・・?これは、“アレ”か・・・退屈しのぎにはちょうどいい・・・
寝た。
少ししてすぐ起きた。起きると、目の前に国語辞典が迫っていたからギョッとした。
だが国語辞典は止まることなく、俺のこめかみに直撃。
:殺す気か
:あ、起きた?
:脳震盪でゆっくり眠れそうだ
:寝る方が悪いんだよ
この眠気は不可抗力だ。
ということは、この席でいる間はどう頑張ってもこの衝撃が何度も来ることになるのか。なんて乙ゲー。
・・・そうだ、それよりも“日記”は・・・?
・・・オッケ、書かれてる。どうやら書いてる様子は俺が寝ていることで死角となった場所で書いていたようだ。
―――寝ている間に左手で今日の未来を綴る『夢日記』。
今日の未来はっと・・・
4がつ10にち
ゆうがた、おんながたいいくかんそうこでいじめられました。
いじめたのはさんにんのおとことおんなで、おんなからかみをとりあげてにたにたわらってます。
おんなはそれからだれもしんじなくなりました。
・・・放課後、体育館倉庫で女がいじめられる。
いじめるのは男女3人。絵からして、おそらく紙幣だ。それをとりあげている。
そしていじめられた女は人間不信に陥った、か・・・。
緊急事態(メーデー)か。
まあ、この日記はだいたい不幸の未来しか書かないからな・・・。
今日は特に予定もなし・・・。
なら、理不尽を正しに行くか。
帰りのホームルームが終わるとすぐに道具を片付け、すぐに体育館倉庫へと急ぐ。
夕方のどのタイミングかはわからない。だからなるべく急いだ方がいい。
・・・見えた。体育館倉庫の入り口だ。
スライド式の扉が少し開いている。覗いてみると、4人の男女の生徒がいた。
比率として1:1。1人の女子に2人の男子が迫っている。もう1人の女子は、遠巻きからその様子を恐々とした様子で見ている。
・・・なるほど、いじめられたやつの人間不信の理由はこれか。
とにかくまずは阻止が優先。スライド式の両扉を、開け放つ。
開け放った音で気づいた男子2人。ギョッとするも、俺の顔を見て余裕を取り戻す。
『なんだよ、サイレントか』
『なんの用かなサイレント。まあ、聞こえないだろうなっ』
笑う男子2人。
読唇術で読み取った言葉にため息を吐いた後、俺はツカツカと彼らに近づき―――
まずは1人の腹に、膝蹴りを食らわせた。
くの字に折れ曲がるそいつの身体。追撃に回し蹴りを叩き込み、床に叩き落とす。
もう1人が殴りかかってきた。俺は適当に避け、ジャブを打ち込む。最後に回し蹴りで同じくKO。
ふぅっと、息を吐く。
退屈すぎる・・・。
叩きのめされた2人は起き上がるとよろめきながら逃げていった。
だいたい金を巻き上げるやつは中途半端な力で有頂天になっている奴だからな。力の差を見せつければ、勝手に逃げていく。
さてと・・・あとはこいつらだな・・・。
日記にあった人間不信。あれは、いじめグループの中にいた女子が、いじめられていた奴の友人かなんかなのだろう。裏切られた結果、人間不信に陥ったという訳だ。
まあ、ここから先は俺の行動範囲外だ。俺が入るべき話じゃない。それでも、書き置きぐらいはしといてやるか。
メモ帳の一枚を切って、ペンで書く。
それを未だに遠巻きでビクビクしている女子に突きつける。
:謝って、話しておけ
俺はそう紙に書いた。
その紙を無理やりそいつに持たせた後、俺は体育館倉庫を立ち去った。
今日は翠屋に寄るのは諦めるか。常連だし是非行きたいけど・・・なのは達がいるだろうし。
あー、そういやシャー芯とメモ帳が残り少ないんだっけ・・・そっち買いに行かないとな・・・。
これが帰宅途中の俺の思考だった。
ちなみに今日の晩飯は肉じゃが。おふくろの料理は美味です。