「元米軍基地か…」
米中戦争中に廃墟となった基地跡の映像が頭の中に直接映し出される。
そこには跡地を武装集団が根城としていた。
「おぉ…。ウジャウジャいる」
琥珀は頭の中の光景を楽しそうに観ている。
「おかしいな…」
「はい、何だか妙です」
そんな琥珀を無視する様に翡翠と紫苑は話を進める。
「…私は蚊帳の外?」
「いや、お前なんかに話しても…」
「大姉さまは頭脳派じゃありませんから」
「あぁ〜…何か傷ついたわ」
後ろで拗ねている琥珀を置いて、翡翠と紫苑は根城の中を探索している。
「…それにしても、武装組織にしては大人し過ぎる」
翡翠達の見ている映像の中の武装集団は今まで翡翠の見てきた連中と違い、武装をしている人の数が明らかに少なかった。
銃器を携帯しているのは見張り役の連中だけで、他の連中はまるで敵襲などを気にしていないように寛いでいるようだ。
「…何を根拠にあんなに余裕でいられるのでしょうか?」
「紫苑、あそこの倉庫の中のコンテナを調べられるか?」
不思議そうに基地を見回す紫苑に翡翠は指示を出す。
そこは丁度、基地の中央部の倉庫で、そこだけ明らかに厳重に管理をされていた。
見張りの人数も、その他の場所と違って多い。
「了解です」
紫苑の撒いたエネルギー体はあらゆる障害物の干渉を受けなく、スルリと倉庫の壁をすり抜ける。
「おぉ…」
琥珀は基地の倉庫の中の光景を感じると、自分の世界から戻ってくる。
「…大層な物を持ってるんだな。近頃の武装集団は」
「一体、この数をどこから…」
翡翠達の頭の中に映し出された映像の中には20機を越える二足歩行兵器、『DA』が並んでいた。