「それで…紫苑から見てどう思う?」
「両国の戦力バランスへの影響ですか?」
紫苑は翡翠の問いに考え込む。
「機動途中で大破しちゃったりして…」
「兵器は国の存亡が掛かっている要である為に欠陥など有り得ません」
琥珀の冗談を紫苑は一刀両断に打ちのめす。
「琥珀大姉さま、少し黙りやがれ・・・です」
「一番末っ子に駄目だしされた上に突き放されたぁ!!!」
琥珀は自分の背負ってきたコンテナの裏で縮こまりながらのの字を書き始めてしまった。
「紫苑…お前の気持ちも分かるけど、妹達の中でも末っ子なんだから自重しろよ」
「ご、ごめんなさい」
紫苑の情報収集能力とそれらの整理能力は役に立つのだが、あまりに集中しすぎると偶にキャラが崩壊したり、不機嫌になったりしてしまう。
「えっと…、米中間の戦力バランスに影響は無いと思われます。中国のパクリ能力も年々浮上していますが、今回のはパクリ切れていないようです。小回りが効く分、機動力はアメリカよりも上で奇襲などの際は役に立ちますが、装甲はアメリカに劣ってます。動力の部分はアメリカと同等なのでそれだけですね。あとは搭乗者の質で多少は変わってくると思いますが…」
「ご苦労様。後は俺と琥珀で対処するから、次の指示があるまで休んどいていいぞ」
「お役に立てて嬉しいです。それでは暫しお休みなさい」
紫苑の操るカメラから薄紫の光が消え、空中から翡翠の足元へ転がり落ちる。
「琥珀、お待ちかねの俺らの出番だ」
翡翠はコンテナの裏でいじけている琥珀に声を掛ける。
琥珀はコンテナの陰から顔だけを出すと上目遣いでマジマジと翡翠を見つめる。
「…ねぇ翡翠」
「なんだ?」
「私が妹達のトップでいいんだよね?」
「あぁ…」
「…ホントに?」
「馬鹿でアホで脳細胞も多少死んでるけど、腕っ節だけはトップだろ」
「…それって褒めてなし、慰めの言葉にもなってないよね!?!?」