小説『始まりはいつも唐突で』
作者:孤狐()

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「「「いただきます」」」

さっきの騒ぎも落ち着き、穏やかな夕食。
ララは気に入ったのか、犬耳を付けたまま。
機嫌良さそうにピコピコ動く犬耳が和む。
美柑は部屋に置いてきたらしい……もったいない。

「そういえば、ララ」

「んむ?」

「もううちの学校の制服着てるんだな」

帰ってきたときから気になってたけど。
『研修で地球に行くのなら学校には通わせろ』って馬鹿親が言ってくるから、ララはうちの学校に通うことにした。
学校に通わせるための面倒な手続きはコネと買収での無理やりな押し通し。
それでも、あの校長がそんな細かい事を気にするわけ無い。

「どう?リト。似合う?似合う?」

「よく似合ってるよ」

ピコピコピコピコとよく動く犬耳。
にへら〜と笑うララの頭の上で忙しない。
……すごく和む。

「お兄ちゃんと一緒の学校……」

「羨ましそうな視線を送るな。年齢を誤魔化すのは難しいんだよ」

「そこで出来ないって言わないのがお兄ちゃんらしいね」

「リトって何でも出来るんだね〜」

「買い被りすぎ。俺にも出来ないことだって………ある」

出来ないこと、出来ないこと……。

「むぅ…」

何だろう?

「ら、ララさんは明日から学校に行くの?」

「う、うん!そうなんだよ」

うわ、無理矢理な話題転換。

「へぇ〜。なら転校ってことになってるの?」

「ああ、設定上は。バレるまでの間だけど」

バレたらバラす。
宇宙人でも地底人でも未来人でも異邦人でも何でも、気にする奴は放っておけばいい。
胸を張っていれば、周りが慣れる。

「勉強とかって大丈夫なの?」

「だいじょーぶ!頑張って覚えるから」

「こんなのでも、宇宙では天才で知られているんだ」

「…ララさんって、すごかったんだ」

随分とショックを受けた顔をしてるぞ。
普段のララからは想像し難いのは分かるが。
今も、犬耳付けた変わった女の子に見えているし。

「美柑どうしたの?」

「ララは頭がいいな〜って」

内心を悟られないように、いつもより強めに撫で回す。
…こんな締まりのない笑顔のララを、全宇宙が血眼になって探しているんだからな。
ララの発明を軍事目的で使ったら、一年以内に地球以外の星を消せるだろうし。
馬鹿親には厳しめに言っておいたのに、まぁ人に口には戸が立てられないってことか。
でも、次に会ったら……。

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