小説『始まりはいつも唐突で』
作者:孤狐()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

「ここは化学部」

「へーーっ」

ちょっと強引に連れて行かれたけど、素直に聞いてくれる様子にホッとした。
ララさん、転校生としてやってきたリトくんの知り合い。
宇宙人でお姫様で自称らしいけど婚約者の同居人………同居…一つ屋根の下。
ちょっと……すごく羨ましい。
寝起きのリト君とか家事をしてるリト君とかお風呂上がりのリト君とか他にも……。

「春菜?どうしたの?」

「う、ううん!なんでもないの!」

「そっか。ねぇ、春菜。他にどんな所があるの?」

「まだ行ってないところは……校庭の方かな」

今の時間は部活してるから、ララさんも興味あるよね。
…でも、リトくんが帰宅部だから入らないかな?
家庭の事情でできないのはわかるけど、一緒に部活したかったなぁ。
部活が無い日ぐらいしか一緒に帰れないし、一緒でも二人っきりはあんまりないんだよね。
遊びに行くのも基本は四人だから。
この前は四人で、その前は三人でだった。
誘ってみようにも、今度の休みはリサとデー…出かけるからダメで、その次はミオと……。
あれ?私って、リトくんとふたりで出かけたの数えるくらいしかない!?
…強くでられない自分恨めしい。

「春菜〜?」

「は、はい?」

「ガッコって楽しいね。同じ場所に集まってみんなでワイワイやって!リトが前に教えてくれたんだけど、実際に来てみて良かったよ!」

楽しくって仕方ないって書いてありそうな笑顔。
それがあまりに似合っていて、少し笑ってしまう。

「ふふっ。なら、これからもっと楽しくなるよ」

「ほんと!」

「ええ。まだまだイベントがあるから」

修学旅行、学園祭、体育祭、他にもたくさん。

「そっかぁ…。楽しみだなぁ」

「校庭はこっちだよ」

「うん!」

校庭まで歩いてる途中、いろんなお話をした。
家でのリトくんを聞いていると、やっぱり羨ましい。
この年で異性の家にお泊まりするわけにもいかないし、そういうのは…その、つ、付き合ってる男女がするべきかな。
あ、でも、リトくんと恋人になれたら……。

「春菜?」

「ひゃい!?」

「どうかしたの?ぼーっとして」

「な、なんでもないよ」

「そっか。あ、あれはなに?」

「あれは…野球、だね」

「へーー」

あ、ララさんの目が輝きだした。

「私にもやらせてーー!」

止める間もなく走り出して行ったけど、問題なんて起こさないよね?

-20-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




To LOVEる -とらぶる- アニメイラスト集 Cuties! (To LOVEる -とらぶる- アニメイラスト集) (愛蔵版コミックス) (ジャンプコミックス)
新品 \2400
中古 \253
(参考価格:\2400)