小説『始まりはいつも唐突で』
作者:孤狐()

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「ねぇ、春菜」

テニスコートへの移動中、リトくんと会ってから静かだったララさんが聞いてきた。

「なに?ララさん」

「リトって、何してるの?」

「さ、さぁ?」

たぶんだけど、また誰かの手伝いでもしてるのかな。
自分から首をつっこむんじゃなくて、周りから頼られてるみたいだから。
役員の手伝いにいって特別顧問になってきたことがあったり、校長の仕事を代わりにやって代理になったこともあったから、リサミオと次は何になってくるか笑い合ったりしてどこかの国のトップになったりなんて言ってたけど、宇宙一になるとは思わないよね。

「ララさん、ここが女子テニス部。私やリサとミオが入ってるの」

「へぇ〜〜〜」

珍しそうにきょろきょろしてるのが微笑ましい。

「やぁ、西園寺くん」

「こんにちは、佐清先生。今、転入生のララさんに部活を案内してるんです」

「ほう…ようこそ、テニス部へ」

「………」

無反応というか、興味が無いララさん。
先生を見ないで、落ちているボールを見るぐらい。

「他も回りますから、もう行きますね」

「ああ。そうだね…フフ」

「それでは」

いつもと雰囲気が違うような気がして、早く離れたかった。
その後は他を回って解散。
結局、部活に入る気は無いみたい。
リトくんと一緒にいたいから。
笑顔で言い切れるララさんが、すこし眩しかった。
……私が言ったら、リトくんは受け止めてくれるかな。

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