第六話 「保守的」
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがおりました。
おじいさんもおばあさんもたいへんに保守的なせいかくでした。
あるひ、おじいさんはやまへしばかりに、おばあさんはかわへせんたくにでかけました。
おばあさんがかわでせんたくをはじめると、おおきなももが、どんぶらこどんぶらこ、とながれてきました。
「おおきいももですねぇ」
保守的なおばあさんは、みたままのかんそうをいって、ゆっくりとながれていくももを、じっとみまもりました。
いっぽう、たけやぶにわけいったおじいさんは、きんいろにかがやくたけをみつけました。
「おお、きみがわるい」
保守的なおじいさんは、おばけをみたようなかおをして、ぴかぴかとひかるたけにちかづくこともなく、そのばをあとにしました。
とおくのやまにひがおちて、からすが「かあー」となきました。
いえにかえってきたおじいさんは、おばあさんにいいました。
「ばあさん、こどもがいないとさびしいねぇ」
「そうですねぇ」
「どこかに、りっぱなあかんぼうがおちてやしないかねぇ」
「そうですねぇ」
保守的なおじいさんとおばあさんは、へいぼんながらしあわせにくらしましたとさ。
めでたし、めでたし。
了