小説『ロウきゅーぶに転生したら性別が逆転してしまいました。』
作者:あき缶()

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ここ何処だ?

変な人に飛ばされて……

そうだここはロウきゅーぶの世界だった。

ロウきゅーぶの世界ってどんなのなんだろう。

まあいいかどうせバスケはするしどっちみち分かるだろう。

そんなことを考えながら階段を降りる。

ドンガラガッシャン

漫画で聞いたことがある効果音と共に身体中に痛みが走った。

どうやら階段から落ちてしまったようだ。

それほど痛くないので放っておくことにして洗面所に向かった。

顔を洗うためにふと鏡を見た。

白髪で膝まで届きそうな髪、目の色はエメラルドという現実味の無いちっこい女の子が鏡の向こう側にいた。

かわいい……

妖精みたい……

ん?

ちっこい女の子……鏡……

「何だこれはぁぁぁーー」

体が縮んでいる。

命を助けてもらったんだ。

ここまでは許してやる。

体が縮んでるまでは許してやるが何で俺が女の子になってるんだ。

俺のアレがない。

アレガアレガアレガアレガ無い。

あの変な奴のせいだな。

聴いてないぞ俺は性別が変わっちまうなんて……

アイツ次にあったらボコボコニシテコロシテヤル。

ドタバタドタバタ

何だろう騒がしいな。

「どうしたんだ、何かあったのか?」

廊下の方から現れたのは中学生くらいの男の子だった。

「何にもないよ」

「何でも無くはないでしょ、すごく騒いでいたし」

「それは……その……」

痛いところを付かれておしどまる。

「まあいいよ、

そんなことよりもはやく支度しないとね、

遅刻するよ。

お母さんに汐梨の事を頼まれてるんだからな」

「分かったよ、樹吏(じゅり)お兄ちゃん」

ハッと口を手で押さえる。

今何を言ったんだ。

樹吏お兄ちゃんって……

何で勝手に口が動くのだろう。

まあいいか、速く支度しないとね。

キッチンに行くと朝御飯が作られていた。

わぁー美味しそう〜

「いただきま〜す」

ホントに美味しい何だこの料理はただの目玉焼きとウインナーなのに。

「シ〜オ〜リ〜起きていたのか我が天使よ」

行きなり変な男が抱きついてきた。

「何なんだ離れろよ、食べにくいだろ」

と美味しい料理が食べられないので一括するが効果は無かった。

「そんなこと言って汐梨はツンデレだな。

何時デレてくれるのかお兄ちゃん待ち遠しいよ。

このお人形さんめ〜」

より一層強く抱きついてくる。

こいつは間違いなく変態だそうに違いない。

「いい加減に離れて食べ終わったから学校の支度しに行くから」

「そうか、汐梨はもう六年生だもんな」

「何で離してくれないの」

変態さんはそう言いつつも離す気配は微塵も感じさせない。

仕方がないので強行突破に試みた。

ジタバタジタバタ

しばらく暴れてみるが効果なし。

当たり前か小学生の力なんてたかが知れてるもんな。

だからといってこの状況は非常に不味い。

このままでは遅刻してしまう。

仕方がないので助けを呼ぼう。

「樹吏お兄ちゃん助けて〜」

「どうしたんだ汐梨ーって兄貴なにしてんだ!!

一人だけ汐梨を堪能するなんてズルいじゃないか。

じゃない!!

汐梨が嫌がってるだろ離してやれよ」

「仕方ないな、そこまで樹吏が言うなら離してやろう。

ただし汐梨、帰ってきたらたっぷりと抱き締めてやるからな」

「ありがと〜樹吏お兄ちゃん」

「ウンウン、本当に可愛いな〜汐梨は」

可愛いと言われて結構ショックを受けたが変態さんから逃げられたからよしとしよう。

「おい待て何で樹吏はお兄ちゃんって読んでいるのに俺はお兄ちゃんって読んでくれないんだ。

ズルいぞ樹吏ぃー抜け駆けしたな。」

「抜け駆け何てしてないよ、兄ぃーさんの日頃の態度が悪いからだろ」

「何を言う、俺は何時だって汐梨の事を考えているぞ」

「ハイハイ、もうこれ以上は言わないよ。

汐梨は速く運動できる格好に着替えてきてバスケするよ。

先にやってるから着替え終わったら出てきてね」

バスケ?

こんなに朝早くから?

願ったり叶ったりだ、早速準備してこよう。

「分かったよ!」

キッチンを飛び出して自室に向かう。

着替えを手早く済ませて外に出ると家の庭で樹吏お兄ちゃんがシュート練習をしていた。

家の庭はメチャクチャ広くて驚いたハーフコートぐらいあるんじゃないだろうか。

「汐梨、準備できた?」

「出来たよ」

「それじゃあ始めようか

1on1勝負

ディフェンスは僕からね」

「うん」

素早くボールを受け取って所定の位置についた。

今の身体能力を確認しておきたかったのでとてもラッキーだったと言える。

俺は何時も通りにドライブを仕掛けた。

樹吏お兄ちゃんは俺の正面に入り俺の進行をを阻んだ。

俺はフェイントを織り混ぜながら徐々に樹吏お兄ちゃんの余裕を奪っていく。

体勢が崩れた一瞬の隙をついてチェンジオブペースで抜き去った。

そのままレイアップシュートでゴールにおさめた。

「いや〜強いな〜汐梨は」

「樹吏お兄ちゃん、真面目にやってよ!」

「真面目にやってるよ」

「嘘だよ!樹吏お兄ちゃんがそんなに弱いはずがないし手加減なんてしなくて良いから」

「あはは〜バレちゃったか、分かったよ。

ここからは本気でやるよ。

はい、ボール」

樹吏お兄ちゃんはそういって俺にボールを手渡した。

不思議に思ったので思わず俺は聞いてしまった。

「樹吏お兄ちゃんはオフェンスしないの?」

「何言ってるの?

この前に汐梨がオフェンスを見て欲しいって言ったからこうやって僕は汐梨のオフェンスを見てるんだよ。

今のオフェンスはすごく良かったよ。

右に左に相手を振り回して体勢が崩れたところにチェンジオブペースで一気に抜き去る。

基本に忠実なバスケだね。」

何だか照れ臭いな。

人に誉められるのは。

今度はキセキの世代の青峰の『型のないバスケスタイル』を試してみよう。

そういえば、どうやったら出来るんだ?

イメージすれば良いのかな。

頭の中でイメージすると扉が現れた。

赤、黄、緑、青、紫の扉が…

俺は青の扉を開いた。

ボールを構えてドリブルをつくてドライブを仕掛けた。

何だろうこの感じ……

手にボールが異常にほど吸い付いてくる。

これならどれだけボールを振り回しても大丈夫そうだ。

これがキセキの世代の青峰の『型のないバスケスタイル』なのだろうか?

そして俺はあっさりと樹吏お兄ちゃんを抜いた。

前回のオフェンスはじっくりと攻める形だったが勝負は速く決した。

「普通の選手の型は1つだけど汐梨にはその型が複数あるんだからすごいと思うよ。

型が1つならある程度は予測されてしまうけど型が複数有れば読まれにくいからね。


……本当にすごい

……恐ろしい才能だよ」




















「今日はこのぐらいにしようかな。

転校初日に遅刻してもらっちゃ困るしね。

フランスとこっちじゃ使い勝手が全然違うだろうし。」

樹吏お兄ちゃんは何を言ってるんだろう?

その言い方だとまるで俺がフランスから来たばっかの帰国子女に聞こえるぞ?

もしかしてそういう設定なのか?

こっちの世界に来てから良くわからんけど……

まあ良いか。









「樹吏だけ汐梨を独占するなんてズルいじゃないか」


「汐梨〜今日は初の学校登校だから送ってってやるね。

それと汐梨にこれを渡しておくよ」

樹吏お兄ちゃんが手渡したのは制服だった。

「樹吏!?まさかのガン無視ですか!?」

うるさいなぁ……

あれ誰だっけあの人……そうだ変態さんだった。

「転校初日だからな。

気を付けるんだぞ。

俺も同行するけどな。」

「樹吏!?少しぐらい構ってくれないか?かなり寂しいんだけども!!」

「うるさいよ!!兄ぃーさん静かにできないの?」

何か樹吏お兄ちゃんと変態さんが言い争いをしていたけど遅刻してしまうので学校の支度をしに行った。

今気づいたがこれは男用の制服か?

まっ良いか。

何にせよスカートをはかずに済んで良かった。

もしかしてって思ってたからな。

男子用の制服か良い響きだな。

制服に着替えて時計を見てみると6:30分だった。

何でこんなに速く起きてるんだろう?

この時間だったら遅刻なんてしないんじゃないか?

そして変態さんに見送られながら樹吏お兄ちゃんと一緒に家を出た。



通学バスはこれに乗るんだよとか学校の行き方を親切に色々と樹吏お兄ちゃんが教えてくれた。

素直に感謝だな。

通学バスに乗って目的地に向かった。

何でも俺が通う学校は慧心学園というところらしい。

男子バスケ部がすごく強いので有名らしい。

そんなに強いバスケ部があるのはすごく魅力的だがあいにく俺の体は女の子だしな。

男バスには入れないしな。

女バスがあると良いな。

そう思っているうちに慧心学園というところについた。

「ここが慧心学園だよ。

じゃあね、汐梨頑張るんだよ。」

「うん、頑張ってみるよ。」

うまくやっていけるだろうか。

不安は拭えないがとりあえず校門を通った。

警備員の人がこっちを見てきた時はかなりビックリしたが。

そのまま無事に通りすぎた後は何だか気が抜けてしまった。

校舎が何個もありどれがどれだか全く分からない。

ヤバイなもしかして迷ったかも?

適当に歩いているとダムダムというバスケットボールの懐かしい音が聞こえてきた。

思わず俺は足を止めて体育館の中を覗きこんだ。

どうやらバスケ部が朝練をしていたようだ。

それも男子バスケ部、

バスケ部の人たちが片付けだし一人また一人と帰っていったが一人だけ自主練習をしている選手がいた。

体がウズウズしだしていてもたってもいられなくなって思わず飛び出してしまった。

「君ってバスケ部の人だよね?」

「そうだけど誰?君?」

「あっそうかまだ名乗ってなかったよね。

俺の名前は白兎汐梨(はくと しおり)

それよりもバスケしようよ。」

「まあいいけど」

「じゃあさ、俺からオフェンスな♪」

男の子にボールを渡し男の子が俺にボールを渡す。

俺はドリブルを開始する。

キセキの世代の誰の力を使おうかな♪

やっぱり青峰かな♪

もう一回見てみたいしこの男の子には実験台になってもらおう。

イメージして青の扉を開いた。

「行くよ」

「来い!」

[型のないバスケスタイル]

樹吏お兄ちゃんとやった時と同様にいやそれ以上に異常なほど手に吸い付いてくる。

体の重心を床に届くぐらいまで一気に下げて右にを高速でドライブする。

一気に下がることによって相手に消えたように見せる技だが当然のことながら欠点もある。

それはディフェンスがその技を見切ったときだ。

だがこの攻撃は止められることはなかった。

何故なら完全に男の子は汐梨の事を見失っていたからである。

読み通り男の子が体勢を崩した瞬間に男の子を抜いて白髪を翻しながらレイアップシュートを決めた。

「クソォー

どうなってんだ!?」

「あはは、やっぱりバスケは楽しいな。

次は君の番だよ」

結局、この勝負は時間の都合上お開きと言う形になり勝負はつかなかった。

この1on1で分かったことはキセキの世代の技を使うのはまだ練習が必要のようだ。

まだ未完成でイメージ道理に動けないからだ。

まだ青峰の『型のないバスケスタイル』しか使っていないため良くわからない点もあるが。

「あ〜楽しかった、そういえば君の名前は?」

「竹中夏陽」

「夏陽って呼んで良いかな、その方が呼びやすくて」

「別にいいけど、そういえばお前って転校生か?」

「汐梨って呼んでよ」

「分かったよ、で汐梨は転校生か?」

「うん、そうだけど」

「じゃあ速く職員室いかねぇと遅刻しちまうぞ」

「そうだね」

「教室分かんないんだろ職員室まで送っていってやるよ。」

「あっそうかありがとう夏陽」


「ところで汐梨、バスケ部に入らないか。

もしも良かったらだけどお前の実力ならチームを勝利に導ける。」

「もしかして夏陽、

俺の事を男って思ってるのか

無理もないかこんなカッコだもんね。

俺は女の子だよ。」

「えッホントに?」

「ホントだよ。

というか普通は気がつくでしょ。

こんなに髪が長いんだから。」

「驚いた、

そういえば髪長いな。

でも何で男の制服を着てんだよ」

「それは……」

どうしよう!?

どう答えるべきなんだろう。

それしかなかったからだよ。

なんか違う気がする。

じゃあ家庭の事情で……

なんかヤバイ家庭だと思われちゃう。

でも実際にヤバイ家庭だったような……

それはひとまず置いておこう。

他に良い案は……

間違って買っちゃったから

これが一番いいだろ。

「ま.間違って買っちゃったきゃらだよ。

樹吏お兄ちゃんが」

噛んでしまった!?

慌てすぎだ俺のバカ!!冷静にならなくては……

「そうなのか大変なんだな」

良かった不審に思われてないようだ。

あんなに動揺してたのに気づかないなんて夏陽がバカで良かった。



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