小説『ハイスクールD×D〜闇皇の蝙蝠〜(第二部)』
作者:サドマヨ()

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祐斗の中に湧いた希望がどんどん膨らんでいく

可能性が生じただけでも嬉し過ぎる報せだった

「それにしても、普通これだけの『闇』を喰らえば直ぐに乗っ取られてしまうと言うのに……。竜崎新殿の中にある力が『闇』を抑制してるのでしょうか……。儀式を通して、底知れぬ反応を感じました……」

貴音の言葉に祐斗は少しだけ心当たりがあった

もし、新の中にある力――――『無限の災厄龍(インフェルニティ・ドラゴン)』グラファディオスと融合を果たした『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』が関係しているとすれば……

そう考えて早期復活の可能性が更に高まる

「恐らく、中にある力が『闇』の支配を食い止める作用を起こしたかもしれません。私達に出来る事は全て終わりましたので、後は竜崎新殿の中にある力について詳しいお方に聞いてみては如何でしょう?」

「ありがとうございます。何とお礼を言って良いのか――――」

首を横に振って祐斗の言葉を遮る貴音

彼女は渉の方を向いて言った

「私はただ……渉様のお力になりたかっただけです。渉様が真剣な顔で協力して欲しいと申された時、私は嬉しかった。殆どの事をお一人で抱えていた渉様が変わってくださって……」



―――――――――



儀式を終え、祐斗は眠っている新を担架に乗せてある人物へ連絡を取り付けようと思っていた

「祐斗さん、こちらにいたのね」

祐斗を背後から呼び止めたのはグレイフィアだった

いつものメイド姿ではなく、髪を一本の三つ編みに纏め上げ、ボディラインが浮き彫りになる戦闘服を身に付けていた

その姿から魔王眷属として出陣する様子

「グレイフィアさま。……前線に?」

「ええ、聖槍の手前、サーゼクスが出られない以上、私とルシファー眷属で魔王領の首都に向かう魔獣――――『超獣鬼(ジャバウォック)』を迎撃します。最低でもその歩みは止めてみせます」

他の迎撃部隊も魔獣達を凍り漬けにしたり、強制転移、巨大な落とし穴を作って進行を封じようとしたが……どれも失敗に終わっている

魔獣達は強制転移や空間、時間を司る魔力及び魔法も通じないと言う情報が入り、それらを無効化する呪法を組み込まれて作り出されたらしい

『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』のスペックは極めて危険性が高い事を思い知らされる

しかし、それでも悪魔の中で最強と名高いルシファー眷属が出撃するなら魔獣達を止められるかもしれない

因みに祐斗の師匠もルシファー眷属の1人で『騎士(ナイト)』の役割を持っていた

「これをリアスに渡してもらえますか?サーゼクスとアザゼル総督からの情報です」

グレイフィアが祐斗にメモ書きを渡す

メモを開いて確認すると悪魔文字で『アジュカ・ベルゼブブ』、『拠点』と走り書きされていた

「これは?」

「現ベルゼブブ――――アジュカ・ベルゼブブさまがいらっしゃる現在地です。アザゼル総督からの伝言も伝えます。『イッセーの駒と新を見てもらえ。あの男なら、駒に残された何かを解析出来るだろう』――――と。リアス達を連れてここに赴きなさい、祐斗さん。アジュカさまなら僅かな可能性でも拾い上げてくれるでしょう」

四大魔王の1人アジュカ・ベルゼブブは『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を制作した張本人且つ祐斗が連絡を取りたかった人物でもある

どうやらアザゼルはいち早く情報を集めていたようだ

『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』の制作者なら更なる可能性を示唆してくれるかもしれない

グレイフィアが微笑みながら断ずる

「私の義弟(おとうと)候補となる者達がこの程度で消滅、再起不能など許される事ではありませんから。早く生存の情報を得てリアスを奮い立たせておあげなさい。力のある若手がこの冥界の危機に立たずして次世代を名乗るなどおこがましい事です。私は義妹(いもうと)と義弟が冥界を背負える程の逸材だと信じていますから」

「はい。……?義弟、達……?まさか……」

グレイフィアの言葉に祐斗は担架に乗せている新を見て苦笑するしかなかった……

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