小説『ハイスクールD×D〜闇皇の蝙蝠〜(第二部)』
作者:サドマヨ()

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「やむを得ないようだな。我、目覚めるは覇道を追い求めし蛇神の皇なり!無限を掴み取り、夢幻を与える覇道を築く!我、蛇と龍の魂と共に蒼き皇と成りて――――」

大牙から複数の巨大なオーラが発生し、それぞれが蛇龍の形となって周囲を徘徊――――そして、主である大牙と同化していく

「「「「「汝らを未だ見ぬ蒼白の未来へ導こう――――ッ!」」」」」

特大の青白い閃光が一帯を支配し、光が止むと鎧の形状を変え、4枚の翼を生やした『二代目キング』が姿を現す

闇人の強化術『超魔身(ちょうましん)』に『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』の要素を取り入れた大牙のみが使える強化形態――――『超魔鎧身(ちょうまがいしん)』

格下クラスならオーラの気迫だけで圧倒出来る強さを誇る

『超魔鎧身』を遂げた大牙を見て、サイラオーグにも気合が入る

「本領発揮と言ったトコロか。レグルス、こちらも行くぞッ!禁手化(バランス・ブレイク)ゥゥゥゥゥゥッ!」

サイラオーグが叫ぶと金色の巨獅子――――『獅子王の戦斧(レグルス・ネメア)』が光り輝き、本流となってサイラオーグに向かっていく

光に包まれ、眩い閃光が放たれた直後……獅子王となったサイラオーグが君臨した

『獅子王の戦斧(レグルス・ネメア)』の禁手(バランス・ブレイカー)、『獅子王の剛皮(レグルス・レイ・レザー・レックス)』を身に纏い佇む姿はまさに大王の威厳と強さを表している

2人の強化した姿にメタルは口の端を大きく吊り上げ、下品に笑った

「ギュガロロロロロロロロロロロロロッ!これが、これが獅子の衣を纏った真の獅子王か!そして神風曰く、『用無し』とされた『二代目キング』が独自に開発した強化術も見事だ!実に素晴らしいッ!力を使い放題の私と何処まで打ち合えるのか、たっぷり堪能させてもらうぞォッ!」

『狂暴蜘蛛化(ブラック・ドライブ)』によって巨大化したメタルの拳が再びサイラオーグと大牙に襲い掛かる

獅子の衣を纏ったサイラオーグ、『超魔鎧身』状態の大牙は拳打一発で極太の拳を破壊する

肉が飛び、骨が剥き出しとなったメタルの拳は――――直ぐに再生治癒された

その後にメタルは極太の足でローキックを放つ

轟音を立てながら向かってくる極太の足に対し、大王と蛇神皇は闘気と魔力を腕に集中させて防御

そのまま先程と同じ様に拳打で破壊するが、やはり直ぐに再生してしまう

「もっとだ!もっともっと!もっと私に刺激と興奮を寄越してくれ!私には戦いしか無いのだ!戦いのみが私の存在意義を濃厚にしてくれる!自分を強者に仕立て上げ、強者と出会い、強者を叩き潰す!叩き潰した時に得られる勝利が!血が!愉悦が!躍動が!私に生きている実感を与えてくれるのだァッ!ギュガロロロロロロロロロロロロロッ!」

最早まとも思考をしていなかった……

勝利に飢え、強さを求め過ぎて力を得た者はいつか必ず陶酔し、溺れ、自分すら見失う……

力を得ても、己自身を御する事が出来なければ――――それは強さでも何でもない

今のメタルはただ闇雲に突っ走るだけの暴走列車の様なモノ、自ら止まる術を知らない戦闘マシーンと化していた……

あまりにも哀れ過ぎる

サイラオーグは攻撃→肉体破損→再生、治癒をエンドレスで続けるメタルを見て嘆息した

「本当に悲しい奴だな。戦う事でしか自分の存在を認められない、自分の強さを実感出来ない……ッ。他にも道はあった筈だが――――貴様は戦い以外の道から目を逸らした。結局、貴様は真の強さと言うモノを得られなかった」

「破壊のみに特化しただけのカリスマ性など――――いずれ崩れ去る。それにすら気付けないのが余計に哀れだ」

「ギュガロロロロロロロロロロロロロォッ!説教なら私を殺してからにしてもらおうかァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

メタルは両手を組み合わせ、禍々しい形の籠手を作り上げる

その凶器を頭上に振り上げ、力任せに大王と蛇神皇に向かって振り下ろした

空気の振動で路面や崩壊した建物の瓦礫が吹き飛び、祐斗は聖魔剣を多数創造したシェルターの中に皆を避難させる

もう何を言っても通じない……そう悟りきったサイラオーグと大牙は一層強くオーラを高めた拳で巨大な凶器を打ち砕き――――飛び上がった

「「どうやら最初からお前など眼中に入ってなかったようだッ!」」

ドゴオォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!

大王と蛇神皇の小さな拳が『狂暴蜘蛛化(ブラック・ドライブ)』メタルの胸部――――心臓に撃ち込まれた

堅牢な鎧は陶器の如く砕け、筋肉に2つの拳が深々と食い込んでいく

グチャ……ッ!

メタルの心臓はその衝撃に耐えられず破裂し、メタル本人の口から夥(おびただ)しい量の血が吐き出される

滝の如く路面に落ち、血の浅瀬を作り上げた

メタルの体が元来のサイズに戻り、永遠に沸き上がる血と共にメタルは路面へ倒れ込む

「ギュッ、ギュ……ガッ……!ずば、らじぎ……戦いのッ、日……び……ッ!」

力を求め過ぎた闇人は愉悦の表情を浮かべたまま絶命した……

祐斗は衝撃が収まったのを切っ掛けにシェルターを解除、勝利を収めた大王と蛇神皇を目撃した

『やっぱり、この2人の強さは破格だ……。相手を圧倒してしまった……』

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