小説『ハイスクールD×D〜闇皇の蝙蝠〜(第二部)』
作者:サドマヨ()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

小猫も自ら前に進み出そうとしていた

黒歌との和解とまでは行かなくとも、小猫の成長に繋がる

「禁手(バランス・ブレイカー)でなくとも――――」

ドゥッ!

同じく後衛のヴァーリは手から巨大な魔力の塊を撃ち、宙を飛んでいた死神を数体撃破した

サマエルの呪いを受けて体調不良でもかなりの威力だった

「我も」

オーフィスもサポートに入る

最強の力を持つドラゴンがいれば脱出作戦もスムーズになるだろう

そう思っていた矢先……オーフィスが手元を光らせた瞬間――――

ドッゴォォォォォオオオオオオオオオオオオンッ!

けたたましい爆音と破壊が駐車場で発生した

煙の中から何とかリアス、祐斗、朱乃が現れて無事を確認

あまりにもバカげた威力を放つオーフィスに一誠が文句を言ってやろうと思っていると、オーフィスは首を傾げて自分の手を見ていた

「……おかしい。加減、難しい」

今の一撃は調整が出来ずに放った一撃だったようで、新と一誠の目が飛び出しそうになる

こんなのが後衛にいては安心して戦えないだけでなく、前衛にしても力が不安定過ぎる

今のオーフィスは不安要素の塊だった……

アザゼルが翼を羽ばたかせて飛んでくる

「おい、オーフィス!お前は戦わなくて良い!その様子じゃサマエルの影響で一時的に力が上手くコントロール出来なくなっているんだろうさ!見学してろ!お前がここで不安定に力を奮えば敵味方問わず全滅だ!俺達で活路を切り開く!」

アザゼルはそれだけ言い残して再び戦場に戻っていき、オーフィスも頷いてその場に座り込む

「クックックッ。仕方無いのう。どれ、余が代わりにやってやろうか」

「もう止めてくれ!あんたまで暴れたら――――」

「安心せい。ちゃんと考えておるわ」

面白味を含めた笑いを浮かべる『初代キング』を止めようとする一誠

『初代キング』はその意見を一蹴して、左手に黒い籠手……『怨念の邪眼(ネメシス・サイト)』を具現化させる

更にコピーした神器(セイクリッド・ギア)をアップデートした

『ソード・バース、アップデート』

「うむ。死神相手にはこれじゃな」

ズズズズズズ……ッ!

『初代キング』の足下から剣の柄らしき物体がせり上がってきた

柄を持って引き抜くと、ノコギリの様な刀身をした剣が現れる

『初代キング』が横薙ぎに剣を振ると波動が幾重にも飛び出し、旋回していた死神を一気に10体以上両断した

その成果に驚いた一誠が、手元の剣について訊く

「な、何それ?何か凄そうなんだけど……」

「クックックッ。こいつは『魔剣創造(ソード・バース)』の力で対死神用に創った魔剣――――『死神消滅剣(デリート・グリムリッパー)』じゃ。死神にしか必殺効果を発揮せんのでな、これならあやつらも戦いに集中出来るじゃろ?」

「アンチ死神の剣、か……。なかなか心強い事してくれるじゃねぇか」

新が賛辞を贈り、ご機嫌な様子となった『初代キング』が魔剣を振りまくって波動を飛ばす

前衛で戦っている4人は驚愕するが、死神が消し飛ぶ光景に一先ず安堵した

「よっしゃあ!俺達ももう一丁行くぜ!」

「おう!全力で撃つぞ!」

2人はそれぞれの砲身を駐車場に向け、再びキャノンから強大なオーラを発射して駐車場を大きく包み込んでいった



―――――――――



バジッ!バジッ!

疑似空間が悲鳴を上げる

新と一誠による二度の砲撃とオーフィスの不安定な一撃でダメージを受けたのだろう

しかし、結界は未だ消えていない

それは装置がまだ壊れていない事を意味する

新と一誠が駐車場に降り立ち、仲間達が砲撃で生き残った死神と戦闘している光景が目に入る

祐斗が神速で死神を斬り伏せ、アザゼルが巨大な光の槍で大勢の死神を消し去る

朱乃は指先から膨大な量の雷光を生み出して死神を一網打尽、リアスも巨大な滅びの弾を幾重にも撃ち出して風景ごと死神を屠る

『下級の死神でも下手な中級悪魔よりはよっぽど強いぞ』とドライグは言うが、グレモリー眷属は殆どが上級悪魔クラスの強さなので、中級クラスの相手は余裕で倒せる

リアスと朱乃が2人を見かけるなり飛び降りてきた

「イッセー!譲渡でパワーを引き上げてちょうだい!一気に消し飛ばすわ!」

「同じく!お願いしますわ!」

「了解!」

一誠が力を高めて両者の肩に手を置き、倍増したパワーを譲渡する

一誠の譲渡は2人同時までが可能

パワーアップしたリアスと朱乃は空高く飛び上がり、死神の大群に極大な滅びの一撃と雷光を見舞った

上空を覆い尽くす程の力が広がっていく

「リアスと朱乃も基本スペックが高いから、一誠の力を譲渡するだけでこんなにスゲェんだな」

「やあ、久しいね。赤龍帝、闇皇」

新が感心するように見ていると、前方から声が聞こえてくる

魔剣を数多く帯剣した白髪の男、京都で会ったジークフリートだ

「よう、英雄派のジークフリートか。お前が俺達の相手か?」

「それは楽しいね。今のキミ達なら僕と良い勝負が出来るだろう。――――けど、先にこちらの方々を相手して欲しいな」

音も無くジークフリートの周囲に集まる死神の群れ

皆が相手をしている死神に比べると、ローブと鎌の装飾が凝っており、殺気も強かった

「死神か。鎌に当たったらヤバいんだよな」

「なーに、当たらなきゃ良いだけの話だ」

2人はそれだけ確認して迫り来る死神達と対峙する

大きく振るわれた鎌を最小限の動きで避け、ドラゴンショットや魔力弾を撃ち込む

死神は更に数を増やして襲い掛かってくるが、新は闇皇剣の刀身を魔力で肥大化させ、一振りで一気に葬る

「ヘッ、サイラオーグや曹操に比べれば楽だな」

「――――っ!赤龍帝と闇皇の相手は中級クラスの死神なのに!」

2人の戦いを見たジークフリートが驚愕する

遠距離から魔術的な攻撃を放ってくる死神もいたが、一誠はサイラオーグみたく拳で弾き返した

「驚いたな。その通常の禁手(バランス・ブレイカー)でも充分に強いなんてね」

「曹操には通じなかったけどな」

「彼はまたスペシャルだからさ。気にしない方が良い。今のキミ達でも充分過ぎる程の強者だよ」

ジークフリートが賛辞を送る

「なぁ、一誠。曹操に勝つにはどうしたら良いんだ?」

「先生にも訊いたんだけどさ、奴専用の必殺技を作って初見で当てるしか無いって言われた」

「だから言ったろ?お前は現時点でも相当強いってな」

そう言いながらアザゼルが新と一誠のもとに降りてきた

「サイラオーグや曹操と戦っていりゃ、このぐらいの死神じゃ束になってもお前らの相手にはならないだろうよ。ま、俺にとっても同じだ」

(死神を舐めてもらっては困ります)

突如駐車場に響き渡る謎の声

不穏な気配を感じて視線を送ってみると――――空間に歪みが生じて、そこから何かが現れようとしていた

歪みの中心から姿を現したのは装飾が施されたローブに身を包む死神

道化師が着ける様な仮面で顔を隠し、ドス黒い刀身の鎌を携えていた

見ただけで上位の死神だと理解出来る

アザゼルがその者を見て驚愕した

「貴様は……!」

(初めまして、堕天使の総督殿。私はハーデス様に仕える死神の1人――――プルートと申します)

「……ッ!最上級死神のプルートか……ッ!伝説にも残る死神を寄越すなんてハーデスの骸骨オヤジもやってくれるもんだな!」

(あなた方はテロリストの首領オーフィス及び闇人の『初代キング』と結託して、同盟勢力との連携を陰から崩そうとしました。それは万死に値します。同盟を訴えたあなたがこの様な事をするとは)

寝耳に水な言葉を振られた事に困惑する一誠

アザゼルは確実にキレている様子を見せた

「……なるほど、今回はそういう事にするつもりか。そういう理由をでっち上げて俺達を消す気か!その為にテロリスト共と戦っていた俺達に襲い掛かったと!何処まで話が済んでるんだ!?この道化師どもが!」

(いずれそんな理由付けもいらなくなりますが、今回は一応の理由を立てさせて頂いただけです。――――さて、私は悪魔や堕天使に後れを取る程、弱くはないですよ)

「と言うよりもお前ら、単に俺達に嫌がらせしたいだけだろう!?」

(ええ、そうとも言いますね。死神にとって悪魔も堕天使も目障りですので)

「――――ッ!舐めてくれるもんだなッ!」

(舐めてはおりません。真剣です。偽者と言う事になったオーフィスをいただきます)

そう言うなりプルートは視界から消え去り、速いと感じた刹那に金属音が響く

アザゼルは人工神器(セイクリッド・ギア)の槍でプルートの鎌を受け止めていた

「……さっき曹操の野郎にやられたばかりで人工神器(セイクリッド・ギア)も回復しきってないが、出し渋りは危険を伴うな!ファーブニル!もう少し踏ん張ってもらうぞ!」

アザゼルは槍から黄金のオーラを発生させて素早く鎧を装着、12枚ある黒い翼を展開させてプルートを空中に押し上げて飛び出す

ギィィィンッ!ギィィィンッ!

駐車場の上空で派手に鳴り響く金属音

最上級死神プルートは漆黒の残像を残しながら高速で鎌を振るっている

「先生!」

「イッセー、来るな!こいつの相手は俺がする!」

そう言うなり、アザゼルはプルートと空中で戦闘を継続させる

激突する度に生まれる震動は大きく、両者の力量の凄まじさを物語った

「さて、キミ達の相手は僕じゃないとダメなんだろうね」

次はジークフリートが背中に4本の龍の腕を出現させ、5本の魔剣+光の剣を握る

ジークフリートの神器(セイクリッド・ギア)は『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』の亜種、その禁手(バランス・ブレイカー)もまた亜種である

「確か腕の分だけ力を倍化させるんだったよな?4回も倍化したら結構な強さになるな」

身構える新と一誠、そこへ祐斗が現れて2人に一言告げる

「悪いね、イッセーくん。新くん。――――彼は僕がやる」

祐斗の目はジークフリートに対して明確な敵意を現していた

ジークフリートは祐斗の登場と口上に苦笑する

「木場祐斗か。新しい能力を得たそうじゃないか」

「京都であなたに圧倒されたのが個人的に許せなかったもので。赤龍帝と闇皇を相手に修行を重ねたんだ」

「それは面白い」

祐斗は聖魔剣を創ってジークフリートに向け、ジークフリートも6本の剣を祐斗に向けた

ギィィィンッ!

祐斗が瞬時に高速移動を開始して斬りかかるが、ジークフリートは最小の動きで祐斗の剣撃を捌いていく

「あいつ、どんどん速くなっていくな!」

一誠は祐斗の速度向上に舌を巻く

京都での戦いではゼノヴィアと2人がかりでもジークフリートには届かなかったが……今回は違う

ジークフリートの衣服と頬に傷が生じていた

僅かながら剣撃が届きつつある

しかし、ジークフリートは余裕の笑みを浮かべた

「なるほど。以前よりも速度と技量が上がっているね。けれど、キミの剣は僕に切っ先が触れる程度でしかないだろう」

以前よりも攻撃は通じるが、深い斬り込みはまだ届かないようだ

反撃に出るジークフリートの魔剣が光る

「ノートゥング!ディルヴィング!」

ノートゥングと呼ばれる魔剣を横に薙ぐと空間に大きな裂け目が生まれ、魔剣ディルヴィングが振り下ろされると駐車場に巨大なクレーターが発生する

ノートゥングは切れ味、ディルヴィングは破壊力に特化した魔剣と言う事だ

「次はこれでどうかな!バルムンク!」

ドリル状のオーラを纏った魔剣が突き出されると、剣から禍々しい渦が放たれ、空間を削りながら祐斗に襲い掛かる

祐斗は得物を聖剣に替えて龍騎士団を生み出し、半数を盾にした

巨大な渦の前に龍騎士団は呆気なく四散、残りの半数がジークフリートに斬りかかっていく

-9-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




「ハイスクールD×D」リアス・グレモリー 抱き枕カバー(スムースニット&セベリスライクラ本体改)セット
新品 \0
中古 \
(参考価格:\)