小説『都市伝説.com』
作者:海猫()

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 その都市伝説のベースになっているのは、最近世間を騒がせている連続猟奇殺人事件なのは明らかだ。

 クラウさんとやらが持ち去った体の一部は、その殺人事件で犯人が持ち去ったものと一緒だった。

 しかし、女生徒たちは、私の様子に気づかず、話を続けている。

「マジでヤバイよね!」

「これって、最近ニュースでやってる事件でしょ?」

「犯人の手がかりはないって言ってたけど、やっぱクラウさんが犯人?」

「「きゃー! 怖〜い!!」」

 明らかに面白がっている。

 まあ、猟奇殺人が起これば、こういう悪趣味な噂が立つこともあるだろう。

 気づけば、彼女たちの話はクラウさんとやらから、魔王? とやらの話になっている。

「魔王とクラウさんが戦ったら、どっちが勝つんだろ?」

「いやいや、魔王はネトゲ廃人か厨二病(ちゅうにびょう)しか相手にしないんでしょ? クラウさんは違うじゃん」

「えー。自分より美しい人間の体の一部を奪うってだけで、充分病んでるじゃん」

 よくわからない単語が飛んでいて、話が全く理解できない。

 私は自分でも知っている話を持ち出した。

「つまり、クラウさんというのは、昔流行った『コインロッカーの赤ちゃん』や『ベッド下の斧男』みたいな、ホラー系の都市伝説ということですね」

 両方とも有名な都市伝説だ。

 私の持ち出した例題に、彼女たちは食いついた。

「そうそう。明留(あくる)センセー、その『ベッド下の斧男』に、その後があるの知ってますか?」

「その後?」

 そんなもの聞いたことが無い。

 確か、ベッド下の斧男という話は、友人宅のベッドの下に斧を持った男を目撃して、友人と共に買い物に行くフリをして、難を逃れたという内容だったはずだ。交番に駆け込んだというオチと寸前で気づかれて殺されてしまったというオチがあったと思う。

 そのぐらいで、後日談があるとは聞いたことが無い。

 私が知らないというのが、彼女たちにも伝わったようだ。

「えーっと、私もチラッと聞いただけなんですけど、確か警察から逃げた斧男が、また懲りずに、ベッドの下に忍び込むんだけど、何とそこはヤクザが住む部屋だったのね」

「そうそう。それでヤクザに見つかって、敵対する組織の鉄砲玉と勘違いされてひどい拷問を受けるんだよね」

「その拷問のせいで、精神的に壊れちゃった斧男は、ヤクザのところから逃げ出して、満月の夜に、斧を振りかざして人間狩りをするようになったって話だったよね。確か」

 滅茶苦茶すぎる。

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