小説『都市伝説.com』
作者:海猫()

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「それで、何なんだよ?」

「今並べたのが、私の家族よ」

 そう言うと、愛実は歩き出した。


 俺は後を追いかけて、愛実の肩を掴んだ。


「何?」

「お前の家族って……! いや、それより春妃と夏妃って、朝霞美羽の子供なのか?」

 結婚してたのは知ってるけど、子供も芸能人というのは知らない。

 混乱している俺に愛実が説明を続ける。

「春妃も夏妃も、自分の実力を試したいって言って、隠してるからね。親の七光りじゃなくて、実力でトップアイドルになりたいんだって」

 確か、春妃と夏妃って、俺より二つ下だったよな? ってことは、愛実の妹に当たるのか。

 だが、有名大女優の娘か。なるほど、愛実が美人なのも納得だ。

 言われて見れば、春妃と夏妃にも似ているような気もする。

「両親だけが、芸能人なら家を出ようなんて思わなかったんだけどね。

 妹たちまで芸能界に興味を持って、私だけ全然興味を持てなかった。

 家族が気にしないのはわかってるんだけど、それでも自分だけ異質な気がして、高等部進学を機に一人暮らしさせてもらうことにしたの。

 その条件が、進学試験全科目満点だったんだけどね」

 それって、親は取れないと思って出した条件なのか、それとも出せると思ったのか、何とも言えなかった。

 愛実は俺を見上げた。

「だから、うるさく言ってくる人間は誰もいないし、邪魔もされないわ。活動場所としては最適でしょ」

 どうやら、同好会の活動場所に相応しいという説明の一環として、家族の話をしたらしい。

 まあ、確かに活動場所としては、文句は無いだろうが……

「それ、俺って男として見られてない……?」

 思わず呟いていた。

 女の一人暮らしに招いても、安心な男に見られてるって、どうなんだ、それ?

 いや、別に何かするつもりはないけどさ。少しは警戒してくれてもいいとか思うんだけど……

「何、ボケッとしてるのよ。早く来なさい」

 いつの間にか、先へ歩き出していた愛実を追って、俺は納得できない気分になっていた。

 愛実が案内したのは、学園から近くの高層マンションだった。たぶん、家賃だけで百万単位の高級マンションだと思う。そのぐらい立派な作りをしていた。うちのマンションとは大違いだ。

 大体、エントランスにコンシェルジュのいるマンションって……

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