『完璧を求めるクラウさん』
『あるところに、自分の美しさに誇りを持っているクラウさんという女性がいました。
クラウさんは自分の美しさを磨くために、努力を怠りませんでした。
しかし、どんなに努力しても、自分より美しい人間が存在します。
誰よりも美しく。誰よりも完璧になりたい。
そう思ったクラウさんは、ある日、妙案を思いつきました。
「そうだ。私より美しい部分があるのなら、それを奪って、私のものにすればいいのよ」
そうして、クラウさんは、自分が完璧になるために、自分より美しい少女を狙い始めたのです。
一人目は、美脚で有名な女の子でした。
クラウさんは自分より美しいその足を切り落として、自分のものと挿(す)げ替えました。
二人目は、細くて白い腕を持った女の子。
クラウさんは自分より美しいその腕を切り落として、自分のものと挿げ替えました。
三人目は、果実のような厚い唇を持った女の子。
クラウさんは自分より魅力的なその唇を切り落として、自分のものと挿げ替えました。
四人目は、白くて愛らしい耳を持った女の子。
クラウさんは自分より愛らしいその耳を切り落として、自分のものと挿げ替えました。
五人目は、高くて魅力的な鼻を持った女の子。
クラウさんは自分より魅力的なその鼻を切り落として、自分のものと挿げ替えました。
六人目は、綺麗な形をした胸を持った女の子。
クラウさんは自分より綺麗なその胸を切り落として、自分のものと挿げ替えました。
七人目は、闇のような美しい黒髪をした女の子。
クラウさんは自分より美しい髪を頭皮ごと削ぎ落として、自分のものと挿げ替えました。
八人目は、魅力的な大きな瞳をした女の子。
クラウさんは自分より魅力的なその眼球を刳(く)り貫(ぬ)いて、自分のものと挿げ替えました。
そうして挿げ替えて、クラウさんは自分が求める完璧な美しさを手に入れていったのです。
しかし、まだまだ求める完璧には程遠いので、クラウさんは今日も自分より美しい少女を求めて、夜の街を彷徨(さまよ)います。
もしあなたが、クラウさんに出会ったら、クラウさん以上に美しい人を見たことが無いと言ってあげて下さい。
運が良ければ、見逃してもらえるでしょう。
でも、運が悪ければ……
クラウさんに体の一部を盗まれてしまうかもしれません。』