小説『都市伝説.com』
作者:海猫()

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「お互い、とんでもない子と関わっちゃいましたね」

「そうだな。まあ、後悔する時より楽しいと思う時の方が多いから、タチが悪いんだよな」

 神近さんに言われて、なるほどと思う。

 確かに、とんでもないことばかりに巻き込まれるけど、どこかで楽しいと思っている自分がいる。だから、愛実とは関わらずにはいられない。




 神近さんと別れる頃には、日が傾き、辺りが夕日で赤く染められ始めていた。

 一度、学園で戻ってきた時だった。

「翡翠先輩、何をしてるんですか?」

 愛実と宝楽君の二人と校門で、ばったり会った。

 パタパタと走り寄ってきた愛実が、嬉しそうに言う。

「あ。何か忘れ物ですか? 先輩でも、そんなドジするんですね」

「私だって完璧じゃないわよ」

 勘違いさせたままにしておくことにして、私は二人を見つけた。

「そういう二人は、今帰り?」

「これから、繁華街へ行く予定なんです♪」

「生徒会長の前で、堂々と寄り道宣言をするんじゃありません」

 私が愛実の頭を軽く叩くと、彼女は唇を尖らせた。

「寄り道っていうか、宝楽に『魔王』を紹介しようと思ったんです」

 私は思わず半眼で愛実を見つめてしまった。

「あんた、また何か面倒ごとを起こそうとしてるんじゃないでしょうね?」

「大丈夫ですよ。紹介するだけで、何か起こるわけ無いじゃありませんか」

 愛実単体なら納得するけど、不可思議な事件を引き寄せる体質の宝楽君と一緒だと、不安しか浮かばない。

「まあ、面倒ごとは起こさないように、努力しなさいね」

「はーい」

 元気良く返事してるけど、怪しいものだわ。

 去って行く二人を見送りながら、私はこれから会いに行くという『路地裏の魔王』の都市伝説を思い出していた。

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