小説『都市伝説.com』
作者:海猫()

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 どうして、彼から魔王の気配がするの?


 殺せ! 世界の平和のために!


 どうして、彼が魔王なの?


 殺せ! お前の使命を果たすために!


 どうして、私が彼を殺さないといけないの?


 殺せ! 魔王を殺すことが、お前たちの存在理由だ!


 頭が痛い! 割れそう! 声がガンガン響く! やめて! やめて! 殺したくない! どうして、美鶴を殺さないといけないの!?


「留衣! 危ないっ!」


 美鶴が私の腕を引いた。

 何? 何が起こったの!?

 美鶴に抱き締められつつも、私は後ろを振り返った。そこには斧を持った大男がいる。その斧が血で赤く染まっていた。

 ……誰の血?

 私に怪我は無い。ということは……

 美鶴の腕を見ると、血が滲んでいた。斧男から、庇ってくれたんだ。


 今だ! 殺せ! 世界を破滅に導く者だ! 殺せ!


 まだガンガンと頭に声が響いている。


 殺せ! 美鶴が庇ってくれた。殺せ! 小さい頃から変わっていない。殺せ! 今も昔も、私を守ってくれる存在。殺せ! 美鶴は、いつだって私のヒーローだ。殺せ!


 私の思考と声が喧嘩を始める。

 殺せ殺せ殺せと、まるで耳鳴りみたいになってきた。


 うるさい! 黙れ!


 私はナイフを突き立てた。

 美鶴を攻撃しようとする大男の足に。

 その瞬間、私の中で何かが切れたような気がした。そのまま意識を失ってしまった。

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