小説『ソードアートオンライン〜2つのスキルを持つ蒼の剣士〜』
作者:レイフォン()

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第9話 エキドナ 



あのクリスマスイベントから2週間後カ月後、今は2023年、1月7日。
ついに、このアインクラッド100層の10分の1まできた。


あれから俺達はひたすらレベルを上げ、2人揃ってレベル21まで上げた。レベルは今現在の攻略組でトップクラスだ。装備は変わったぜ。


リズに強化してもらった【ブルーレイン】を最大強化してもらい【ブルージェネラル】蒼き将と言うコートが出来た。
スキルは前と同じ隠蔽に加えて、活性と言うスキルがあった。活性はHPがイエローになると敏捷+30%と攻撃力+20%をつける。武器の敏捷+20%と合わせると合計で50%アップってわけか。恐ろしい。
武器はハルピュイアを強化素材で強化した。必要だった素材の名前は≪クラウンフェザー≫≪陽鳥の尾羽≫≪魔獣の眼≫そして、≪ジオストーン≫を使い、ゲイルカウザーを言う武器になった。
ソードスキルが新しいのが出た。エクスファイント・スクエアと言う、4方向に高速で移動し、連続で切りつけると言うスキルだ。


アスナの方はアベイユのソードスキル:レ・ミゼラブルの熟練度を上げている途中だ。
防具の方はあれから解放された第7層にある鉱山区で、第2層に似たような所を発見(ただし、これは他のプレイヤー達も見つけた)で発掘した鉱石…メドウクリスタルに素材アイテム≪子水龍の皮≫≪飛翔の翼≫≪銀色の糸≫を使ってルーンコートと言う装備を手に入れた。
これはモンスターのブレス系の攻撃は半減し、攻撃力を+20%する。


それとエギルが故買屋を営む事を知り、集めてあった素材やアイテムを売りに行ったら喜んでいた。
とはいってもいつもボス攻略の時はパーティーを組んだりしているんだけどな。


そうそう!第7層フロアボス攻略を気に、俺とアスナに2つ名が付いたぞ。
俺は≪蒼の剣士≫≪蒼い疾風≫など。アスナは≪白き女神≫≪白の閃光≫俺達の装備の色を現しているな。
俺の≪蒼き疾風≫って言うのは俺が走って通った道が一瞬、蒼く輝いていたからとか。
アスナの≪白き女神≫は女性プレイヤーの攻略組はほぼ、いないし、美人と言うのもあってか一部のファン達がそう呼んでいる。≪白の閃光≫は攻略組が付けた名だ。素早い動きで相手を翻弄し、相手の隙をつく時、白い影が通ることからそう言われている。


そして、今日、第10層フロアボス攻略会議がここ、エルドラで開かれる事となった。









〜エルドラ 攻略会議場〜


「第10層と言う事もあり、いつもよりもプレイヤーが多いな」


「ええ。けど、何人か安全マージンを超えていなさそうなのもいるわね」


「ああ」


安全マージンとはその階層のフィールドやダンジョンを無理なく攻略可能なレベルと言う事だ。
アルゴの話ではβテスト時代の安全マージンは+5だったが、正式版になりそれにプラス死なないためには最大+10は必要だ。


「あのプレイヤー達は後方支援かな?」


そんな事を考えていると


「皆、よく集まってくれた。今回、第10層フロアボス攻略の募集をしたヒースクリフだ。よろしく頼む」


ヒースクリフか。装備が騎士みたいになっているな。


「今回、私の仲間達である攻略組の重装備前衛(タンク)達が命を張って第10層フロアボスの情報を入手してくれた」


『おぉおおおお!』


周りから声が上がる。まあ、ボス戦前の情報は作戦を立てるのには重要だからな。


「情報によるとボスの名前は【The Echidna】エキドナと言う。神話に出てくる名前と同じだね。
姿は上半身は女性の姿をしているが、下半身は獰猛な蛇の怪物でできている。攻撃方法は口からの毒ブレスと炎のブレス。それと近づくものを手や蛇の尻尾で薙ぎ払ってくる。取り巻きはなしとの情報だ」


エキドナか。ギリシアやローマ神話に出てくる怪物の名前に姿も同じと言うわけか。
神話ではケルベロス、ヒュドラ、キマイラなどの数々の奇異な生き物を生み出したと言われていたっけ。


「そこで情報の『近づく』と言うに注目してくれ。エキドナから離れるとブレスが飛んでくる。なので、戦うとしたら前衛と言う事になる。しかし、前衛で戦うと言う事はボスに近づくと言う事。そこで、この中で私を含めた何名かを選抜し、パーティーを組んでそのパーティーを中心に戦っていこうと思う。どうだろうか?」


ヒースクリフの言う事に共感を持ったプレイヤー達は『それでいいと思うぜリーダー!』と言う。
それを聞き、笑顔になるヒースクリフ。


「ありがとう。では、まずはレン君とアスナ君。前に出てきてくれるれるかな?」


名前を呼ばれて、俺達は前に出る。
前に出ると俺達の事を2つ名で呼ぶ者達がいる。


「知っての通り、この2人は今まで攻略組で名を広げている2人だ。ダメージディーラーとして一番の適任者でもある。そして、イリナ君、それとレイヴン君、ガロン君前に出てきてくれるかな」


新たに3人の名前を呼ぶとその3人が出てくる。


・イリナ。数少ない女性プレイヤーで攻略組。盾ありの片手剣使い。相手の攻撃のタイミングに合わせて盾を斜めにし、攻撃を弾くことをするプレイヤーだ。第5層の時にフロアボス戦の時に組んだ事がある。
・レイヴン。両手剣使い。その巨体であるのに俊敏な動きを見せ、攻略組ではトップ10に入るパワープレイヤーだ。イリナと同じく。第7層の時に組んだ事がある。
・ガロン。槍使い。パラメーターをSTRとAGLを2:8に振り分けているスピードタイプのプレイヤー。槍の他に短剣や投剣も使う。第9層の時に組んだ事がある。


「何だ。皆、俺とアスナと組んだ事があるプレイヤー達だな」


「うん。確かにそうね」


アスナはイリナとハイタッチしている。3人とはフレンド登録はしていて、偶に一緒に迷宮区を進んだことがあるんだよな。


「なるほど。ヒースクリフはレンやアスナと組んだ経験のあるプレイヤーで前衛をするという事か。あんた自身もこの2人と組んだ事があるからな」


ガロンがそう言うと頷くヒースクリフ。


「そうだ。2人は元々2人だけでここまで来たパートナー同士。そこへ今まで組んだ事がないプレイヤーをエキドナと言うボスと戦う時、かえって足を引っ張る事もありうる。故に2人と組んだ事のある君達を選んだ」


しっかりとした説明をしたヒースクリフに全員が納得した。


「よし、異論はないね?では、次に今まで一緒にパーティーを組んでいた者は固まり、6人パーティーを作るんだ。後方支援する者達は後で話をしよう………できたようだね。では、具体的な作戦を……」







この日、攻略会議は遅くまで続き、集合は明日の午後1時となった。
俺達は武器を念のため、リズに修理してもらいにいった。


「そっか。明日、第10層の」


修理の準備をしながらリズが俺達に言う。


「ああ。明日、クリアできれば漸く10分の1だ」


「頑張らないと!」


俺以上に意気込んでいるアスナにリズが言う。


「そうしているのはいいことだけど、空回りして死なないでよ」


「わ、わかってるわよ…」


「ならいいけど…さて、お2人さん。今から修理に入るから話しかけないでね」


『了解』


俺とアスナはリズの作業を見て、時間を潰すことにした。







〜20分後〜


「はい、2人の武器の修理完了よ」


そう言いながら手渡すアスナの武器。俺の武器は結構重量があるから両手で持って渡してくれた。


「ありがとリズ」


「サンキュー」


紐を背中に回し、いつものように背負う。アスナは腰に。


「それにして第10層のフロアボスがリアルの話に出てくるエキドナと言うのが凄いわね」


「このゲームの敵ボスはそう言うのが多いのかもしれないわね」


「ああ。全くだ」


何気ない話をし、俺達は店を出る。


「じゃあね2人とも。またのご利用お待ちしてます♪」


「ああ!いい報告を期待してくれ」


「第10層を過ぎたら例の話しを実行するしね!」


例の話と言うのは武器や防具を初めて作ってもらった時の約束だ。
生活スペースとリズの工房&店を一緒にした家を買おうと言うな。


「ふふ、楽しみにしているわ」


バタン


店を出た俺達は明日に備えてアイテムなどの補充をし、眠りにつくのである。












〜翌日 午後1時〜


第10層フロアボス 扉の前に俺達はいる。扉の前には剣を持ったヒースクリフが俺達に言う。


「皆、これに勝利すれば漸く第10層クリアとなる!攻略すれば我々はまた一歩、100層へと近づく事となる!
隣にいる友を。仲間を守るのだ。それが戦いでの……勝利への一歩と思え!行くぞ」


『おう!』



「開けるぞ!」


ヒースクリフはそう言うと、部屋の扉を押した。


すると、扉はほぼ自動的に動き、完全に開いた。


部屋の中はかなり広かった。中は明るく、第11層への扉の前に立つ、怪物…第10層フロアボス エキドナが目を開いた。


[キシャアアアアアアアア!]


【The Echidna】HPケージは4つ。


「行くぞ前衛隊A!私に続け!防衛隊A、B、Cは前へ!防衛隊D、E、F、Gは後方支援達の壁となるんだ。
前衛隊B、C、D、Eは防衛隊A、B、Cの後ろでスタンバイ。前衛隊A、攻撃開始」


ヒースクリフの指示に従い、俺達は2人1組になり、左右に散る。無論、ボスは手と尻尾で攻撃してくる。


「後方支援隊!投剣スキルを使うんだ!」


『後方支援隊、了解!いっけぇえええ!』


シュシュン!ズドドド!


[ギシャアアアアアア!]


投げられた釘やナイフなどがボスの身体の至る所に突きささる。怒ったボスはブレスで後方支援隊を襲う。
だが、


「ディフェンス行くぞ!」


『おぉーーー!!』


ゴォオオオオン!


ブレスを防衛隊が槍(盾あり)使い達によって防がれる。


「俺達も負けてられないな!行くぜアスナ!皆!」


『おう!/うん!』


俺はソードスキル:スネークバイトで3連撃を食らわす。


「スイッチ!」


「はぁあああああ!」


俺の背後で待機していたアスナが俺と入れ替わるようにソードスキル:レ・ミゼラブルの10連撃の突きを食らわす。


[ギシャアアアア!]


尻尾で俺達を攻撃してくるが、


「あめぇ!うらぁああああああ!」


レイヴンが武器で尻尾をはじいた。


「連撃行くぜえええ!」


ガロンが素早く槍でボスを突き刺していく。


ズドドドドドド!


素早い動きで攻撃するガロンの背後から


「やああああ!」


ソードスキル:ホリゾンタルで水平に斬りつけるイリナ。


「はぁああああ!」


そして、ヒースクリフが真正面からボスの顔を斬りつける。


「後方支援隊!」


『はい!』


再び、ナイフなどを投げる支援隊。


「前衛隊、囲みながら突撃ぃい!」


『うぉおおおおお!』


指示に従い、四方八方に散らばり、ボスを包囲する前衛隊。


「いけぇえええ!」


『はぁああああああ!』


ドスン!ザシュ!ズドーン!シュシュン!


全員がソードスキルや通常の攻撃をして、ダメージを与えていく。


そして、


「前衛隊A、これで決めるぞ!」


『おう!/はい!』


動きを完全に止めているボスに俺達6人は力の限り、ソードスキルで同時に斬りつけた。


ザシュン!


[キシャァアアアアアアアアアアア!]


パリン…


悲鳴を上げながら無数のポリゴンとなり、砕け散るエキドナ。


ボスを倒し、攻撃した俺達は疲れ、座り込む。


目の前に【Congratulation!】と浮かび上がるのを見た俺達を含むプレイヤーが歓声を上げる。


そして、同時に攻撃し、ボスを倒した俺達の前にLABと書かれた表示される。
LABは【蛇女の瞳】と書かれたアイテムがあった。アイテムの種類を見てみると素材と書かれていた。


アスナも「何に使うのかな?」って感じに俺を見て、俺は分からんと答える。


ヒースクリフが第11層への扉の前に立ち、俺達に言う。


「ありがとう皆。これで我々はまた、一歩近づいた。さあ、行こう第11層へ!」


『おぉ!』


俺達はヒースクリフに続いて、新たな階層へと歩むのであった。












その後、俺達は第11層 タフトについた。
リズにはすぐに知らせて、こちらに来ている。


「さて、早速家を買うか?まだ、時間あるし」


「そうね。なるべく大きいのがいいかしら?3人で買うとして、レンが5割、私が3割、リズが2割で払いましょう」


「えっ?あたし、そんなに少なくていいの?」


「いいのいいの。私達も暮らす場所だもん。ねぇ、レン」


「ああ。金なら馬鹿みたいにあるし、家を買ったら内装を替えるからもっとかかるぞ」


「気にしないで行きましょう」



俺達は早速、家を買う事にした。








〜1時間後〜


「いや〜いい物件が100万コルで手に入るとは…よかったぜ」


「ええ。内装も入れると120万コルで住んで良かった〜」


「……あたし、この2人と出会ってから金銭感覚がおかしくなったのかしら…」


俺達が買った家はここ、第11層にある中で一番大きな家だ。そこには丁度地下室のようなのもあり、そこには水源があったりする。地下室をリズの工房にし、地下室に繋がる広間をリズベット武具店にした。
後、家は2階建てで、生活スペースは2階になるな。部屋は3人なのにあと、6,7人暮らせるスペースありだ。1階は大体、リズの店になるし。
それと庭もあるんだぜ?驚きだ。今度、食べ物の種を買って栽培しようかな?


「さて、流石に今日はもう疲れたし、各自部屋で休もう。明日は俺達は迷宮区に行く。家の留守を頼むぜリズ」


「よろしくねリズ!」


「まっかせなさ〜い!2人と一緒に行動するようになって鉱石とかが何かが大量大量♪武器や防具をじゃんじゃん、作るわよ!」


胸を張るリズに思わず笑う俺達。


「じゃあ、おやすみ2人とも」


『お休みレン』


俺は部屋へと行くのであった。








――――――――――――――――


はい、第10層クリアし、念願の家兼店を手に入れたレン達。
クリスマスイベントで手に入れた『願いの紙』は既に一回使っています。
何に使ったのかって?ヒントはリズが言っていた「鉱石とかが大量大量♪」にありますねw
次回は今から少し時が飛びます。

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