小説『ソードアートオンライン〜2つのスキルを持つ蒼の剣士〜』
作者:レイフォン()

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第12話 剣の怨念集合体 ソードダンサー現る



俺とアスナはヒースクリフからのメッセージにあった第25層 リベートにある大聖堂へと来ている。
扉を開けるとかなりの数のプレイヤー達が椅子に座っていた。


クライン率いる『風林火山』。ヒースクリフ率いる『血盟騎士団』。レイヴンとガロン率いる『青龍連合』。
など、攻略組のギルドが大勢集まっていた。
全員、俺達に気付き、手を振る。


俺達は適当な所に座るとヒースクリフが立ちあがり、聖堂の中心部で話を始める。


「皆、集まってもらい感謝する。昨日、我が血盟騎士団と青龍連合の混合偵察部隊が第25層フロアボスの所在を発見した」


ボスの所在をか。他のプレイヤー達の表情に真剣味が分かる。


「そこで――――」


ヒースクリフが話を進めていると、


バタン!


「そのボス。わいらで片をつけさせてもらうで」


関西弁ってことは、


「あれってアインクラッド解放軍のキバオウだよな」ボソボソ


「何でこんな所に来るんだ…?」


「うちら攻略ギルドとあいつらとは仲悪いし、呼ばれるわけないぞ」


キバオウとその後ろにいるアインクラッド解放軍のメンバーを見た他のプレイヤー達が厳しい表情をしている。
実は、俺達攻略組及び攻略ギルドとアインクラッド解放軍はかなり仲が悪い。
第18層フロアボス攻略の際、彼等が指示に従わず、数名の犠牲者(と言っても犠牲はアインクラッド解放軍だ)が出た。
俺達の言い分は「作戦の邪魔をするな。勝手な行動をしないでくれ」
あちらの言い分は「そんなのは知らない。俺達は俺達の力でこの世界からの解放を目指している。邪魔はそっちだ」とのことだ。


流石にこんな自己中心的な言い分には他のプレイヤー達に怒りが爆発しそうになったが……何とか収まった。
しかし、その結果彼等から俺達攻略組は「鳥合の集団」「欲望忠実」など言われる。
俺達攻略組は彼らの事を「独りよがりの思い込み集団」「自己中心的な組織」など言う。


しかし、彼らの鉱石と言えばオレンジプレイヤーの拘束などだけで、後あるとすれば第1層で街から出ないプレ
イヤー達の事を守っていることぐらいだ。最近ではいい噂は聞かないけどな。


「お前等は何が言いたいんだよ」


睨むようにキバオウを見るクラインはキバオウに言う。


すると、


「お前等の代わりに戦ってきてやると言っているんや。感謝しいや」


こちらを見下す言い方に、レイヴンがキレる。


「貴様!いい加減にしろ!俺達は貴様と遊ぶ余裕はない。貴様にそんな権限はないし、貴様の要求にこたえる筋合いはない!」


「そのとおりです」


ヒースクリフの隣にいる眼鏡をかけている男性。彼は血盟騎士団副団長…リーガル。


「そもそも、命を落とすかもしれない情報収集に参加もしていない、ましてや今まで邪魔をして自分達の仲間を危険に晒すしかできていない貴方達に情報を与えても宝の持ち腐れと言う者です」


そう、リーガルが言うと他のギルドの面々も頷く。


「大体、俺達はお前等の勝手な行動で危うく仲間を死なせていたかもしれないんだぜ?」


「そんなもん、あんたらのギルドのメンバーが弱いだけやないか」


キバオウはクラインを馬鹿にした風に言う。他の風林火山のメンバーは怒り狂いそうになっているがクラインが止める。すると、レイヴンの隣にいたガロンが言う。


「大体、君たちは今までフロアボス攻略時に何か、成果を残しているのかい?」


そう、ガロンが言うと


「そ、それは……」


「ここまで階層を解放してきたのはお前達ではなく、我々攻略組だ。自分の命をかけて戦ってきたのだ。
命をかける覚悟もなく、勝手に我等の事を鳥合の集団と言うお前達には言われたくはないな」


「なんやて!」


……あまり良くない雰囲気だな。


「わいらはお前等がしない、一般プレイヤーに情報や資源を提供している!!一刻も早くプレイヤー全員の脱出のために戦っているんや!わいらに協力するのは当然やろうが!」


ブチッ!


シュン!ガキィィィン!


「な、なななな!?」


いきなり自分のすぐそばに剣が飛んで来た事に驚き、転ぶキバオウ。


皆が俺を見る。俺はゆっくり立ち上がり、剣を握り、鞘に収める。


「一般プレイヤーと言う免罪符で俺達にそう言う事を言うのをやめろ」


「な、なんやてぇ!いぃ!?」


剣を再び抜いて、当たらないように剣をキバオウの顔面に向ける。


「俺達はお前らよりもここからの解放を考えて攻略組として戦ってきているんだ。そうやってお前等のくだらないプライドや対抗心のせいで、ただでさえ少なくなっていくプレイヤーの命を散らせるな。大体、お前に指示を出せるのか?」


「だ…黙れや!」


怒りで顔を真っ赤にするキバオウ。


俺とキバオウが睨みあっていると


「やれやれ…持って行きたまえ」


ヒースクリフがいつの間にか俺の隣に来て、マップやボスの情報データをキバオウに渡している。


「だ、団長!?何をなさって…!」


副団長のリーガルも驚きを隠せていない。それはこの場にいるプレイヤーは驚いている。
まさか、血盟騎士団団長がこんな事をするとは思っていないようだ。


「別に構わないだろう、リーガル君。軍が我等の代わりに倒してくれると言うのだ、なら我等が無駄に命をかける必要もないだろう」


ヒースクリフはキバオウを見ながら言う。


「ただ、彼らにあのボスが倒せれば、の話になるのだがね」


「っ!」


キバオウがその言葉に歯軋りし、ヒースクリフから送りつけられた情報を確認して、踵を返した。


「…貴様らには、絶対に負けへんで。アインクラッドを、SAOをクリアするんは…、わいらの方や…!!」


そう言い捨てて、彼はその場から歩き去った。キバオウの後に続くように部下達が大聖堂から去っていった。







「やれやれ。さて、会議を再開しよう」


何事もなかったかのように元に位置に戻っていくヒースクリフを見て、唖然とするが俺も元の位置に座る。


「まず、第25層フロアボスの名は【The Sword Dancer】ソードダンサーと言う手が2本にそれぞれ大きさの違う
剣を持っている。姿は骸骨。大きさは大体4mほどとの報告だ」


ボスの情報を聞いていると隣にいるアスナが震えていた。


「が、骸骨……」


そう言えばアスナってお化けとか苦手だっけ。


「戦闘方法は持っている剣で攻撃してくるのだが…身体を回転し剣を振り回したりするそうだ」


…おいおい、巨体で回転しての攻撃か。攻撃範囲は広がるかもな。


「盾で接近してもかなりの力ではじかれ、危うくやられそうだったと言う事だ」


血盟騎士団と青龍連合の混合部隊がか?結構、危険だな。


「作戦だが、レベルの高い盾ありのプレイヤーを中心に隙を作り、連続でスイッチしていくしかないと言うのが現状だ。皆、十分注意してくれ。では、明日の10時にここで落ち合おう。解散」


ヒースクリフの言葉を聞き、俺達は大聖堂を出るのであった。











「ああ、もう!あれだから軍は嫌いなのよ!いつも自分勝手で!」


大聖堂を出る時、クライン達風林火山とエギルと合流し、第25層フロアボスの話をしているとアスナがご立腹だ。


「あっはは、アスナちゃん、かなりお怒りだな。まあ、俺も人の事は言えないが」


「キバオウさんは、どうしてあんな事をするんだかな…」


俺やアスナと同じで第1層の時からキバオウの事を知っているエギルは渋い表情をする。


「けど、軍のリーダーであるシンカーって人はいい人だぞ」


1カ月ぐらい前、はじまりの町の様子を見に行った時、子供のプレイヤーに笑顔で話をしていたシンカーを見た
からな。どうして彼のようなリーダーがいるのにあんな風に軍はなったんだか。


「そのシンカーって人は例外中の例外よ!キバオウって人、第1層の時もそうだけど、自分勝手な事をしている
に違いないわ!」


お怒りのアスナを見て俺達は苦笑する。


「さて、25層のフロアボスか。軍の馬鹿どもが変な事をしなければいいんだが」


「同感。巨大ギルド名だけあってプレイヤーの数はKobや青龍連合よりも多いからな。やられたらシャレになら
ねぇぞ」


「その点には俺も同意だ」


そう、クラインとエギルの2人と話していると…


「おーいレン!アスナ!クライン!エギル!」


後ろから声をかけられ後ろを向くと、


「おぉ!レイヴンにガロンじゃなぇか!」


「よぉ!久しぶり…でもないかお前等とは」


「元気か」


ハイタッチするクラインとレイヴン、ガロン。その後ろからはイリナが来ている。
イリナは青龍連合のリーダーであるレイヴンと副リーダーのガロンの補佐をしている。


「久しぶりねアスナ」


「イリナも久しぶり!元気だった?」


普段、イリナはギルドの運営など色々としているが今回の攻略には出るようだ。イリナ自身も高レベルのプレイヤーだからな。頼りになるぜ。


「ええ。私は元気よ。アスナも相変わらずレンと一緒にいるのね」


「え……べ、別に深い意味はないんだからね?」


「ふふ、そう言うと逆に意味があるみたいに聞こえるわよ」


「イ〜リ〜ナ〜!」


「わーアスナが怒った〜」


わーわー、ぎゃーぎゃー言う2人に俺達は余計に苦笑する事になる。


そんな時、


「レン君」


「っ!ヒースクリフか」


「うむ。明日のボス攻略、期待しているよ」


「頑張りましょう」


ヒースクリフの隣に立っているリーガルが俺に向かって笑顔で言う。


「ああ。お互いに頑張ろう」


「うむ。それにしても軍には困ったものだよ。いくらデータを渡したからと言ってまさか全戦力で戦いに行くほど馬鹿ではないと思うのだが…」


「いくらなんでもシンカーがそんなことさせないと思いますよ」


「彼の事は私も知っているよ。巨大ギルドのリーダーには見えないが、優しい青年だ」


一度だけ、シンカーと会ったことがあるようだ。まあ、巨大ギルドのリーダーだし当たり前か。


「では、我々は失礼するよ。これから準備があるのでね」


そういい、転移門へと向かった2人であった。


「んじゃ、俺達も…」


「ギルドに帰らなければ」


「俺は店に戻らねえと…」


「俺達も一度家に戻らないとな」


俺たち全員、順番で転移門を使っていく。


「俺達も行くか」


「ええ」


俺達も転移門で第11層へと帰る。










〜第11層 タフト〜


タフトに戻ってきた俺とアスナは明日に備えてあんまりない回復ポーションを買い、家に帰ってくると…


「やぁあ!」


「たぁあ!」


ケイタとサチが模擬戦をしていた。どうやらずっとしていたようだ。


「あ、レンとアスナが帰ってきたぞー。お帰り〜」


テツオが俺達に気付いて手を振ってくる。
テツオに言われ、俺達を見て、模擬戦をやめる2人。


「お帰り。会議はどうだったんだい?」


「色々とあったよ。明日の10時に攻略しに行く事になった」


「そっか。なら、明日も自主練だね。けど、段々コツがつかめてきたよ」


「そうか。けど、それは模擬戦での話だ。攻略し終えたら実戦でして貰うぞ。覚悟しろ」


『あはは…はぁ〜』


どうやら自分達が俺にしごかれるのを想像したな。


「俺とアスナは明日に備える。すまないな、ちゃんと練習に付き合えなくて」


「いいよ。攻略組で忙しい2人に頼んで鍛えてもらっているんだし、むしろありがたいって思っているよ」


「ふ、そう言ってもらえてうれしいよ」


「そうね。攻略が終わったらビシビシ鍛えないと!」


そう言いながら俺とアスナはリズの店の方に入っていく。


「あら、レンとアスナじゃない。どうしたのよ」


「リズ。今日はオーダーメイトとかの依頼は来ていないな?」


「え、ええ。来ていないけど?それがどうかしたの?」


俺とアスナは武器をリズに向けて差し出す。


「明日、第25層の攻略に行く。そのために武器の耐久値とかを完全にしておきたい。修理してくれるか?」


「お願いリズ」


「ふぅ。別にお願いしなくてもしてあげるわよ。あんた達2人のおかげで店を持てているんだしね」


そう言いながらリズは俺とアスナの武器を持つ。


「責任もって今日中に修理するわ」


「よろしくねリズ!」


そう言って先に家に戻っていくアスナ。


俺はそれを見て、リズが工房に入っていくのを見てリズに言う。


「リズ。折り入って頼みがある」


「?」


不思議そうに俺を見るリズ。


「実は―――――――してほしいんだ」


「ハァアア!?ちょ、それ、何に使う気なの?!」


「いやな予感しかしなくてな。念には念を入れてと思ってな」


そう、俺が言い終えると呆れた表情で俺を見るリズ。


「はぁ…あんたが変な奴だとは思ってたけど変人ね」


グサッ


「へ、変人…?」


「だってそうでしょ?―――――をしてほしいとか、馬鹿でしょ」


グサッグサッ!


「ば、馬鹿…だと」


ここまで言われたのは久しぶりだぜ。せ、精神にダメージが。


「はいはい。落ち込んでいる所悪いけど、さっさと―――――――を出しなさい。ちゃんと修理と強化しておいてあげるから」


「頼んだ」


俺はメニューウインドウからある物達をリズに渡す。


「はあ。でもメインはあんたとアスナの武器の修理よ。間に合わない事もあるかもしれないから覚悟しなさい」


「分かっているさ。これが無茶なことだってことは」


「…今日は徹夜かしら?外の扉に看板をかけておいて。今日はもう店は終わりよ」


「わかった」


そういい、工房から出る俺。工房から出て店の外に看板をかける。


その後、俺は家に入っていく。







そして、夕食などを終え、明日に備えて眠るのである。











〜攻略、当日〜


朝早く、リズから武器と―――――を受け取る俺とアスナ。―――――はアスナが店を出てから受け取った。
リズを見ると本当に徹夜をしてたようだった。リズには感謝の礼をいい、リズはそのまま店のテーブルで眠りについた。毛布をかけておいた。そして、俺達はリベートへと向かう。





リベートに来ている俺達に入った知らせ、それは…



――――軍が今から1時間ほど前に大軍勢をひきつれて第25層迷宮区へと向かった――――



「何!?」


「嘘でしょ!?」


知らせてくれたリーガルさんも慌ただしかった。


「こちらも驚いている!まさか本当に攻略しにいくとは思いもしなかったのですぞ!他のギルドの面々も慌てて装備などの再確認をしている所です!団長がもうすぐ出発するとのことです!」


「駆け足に…なるか」


「はい。全く、本当に量にものを言わせて攻略しに行くとは……シンカー殿はこの事を知っているのか?」


…確かに。どう見てもあのシンカーがこんな事を命令するはずがない。あるとすれば…


「軍内部にはシンカー派とキバオウ派があるってことになるな。それも恐らくキバオウ派の方が圧倒的に数が多い」


「けど、シンカーさんはその事は…」


「無論、鈍くなければ気付いているだろう。大方、キバオウの『ここからの脱出がわいら、軍のする事なんや!』とかそんな甘い言葉に惑わされている連中だろうな」


……まともな指示ができるとは思えないな。


「おーいレン!アスナちゃん!」


「レン、アスナ!」


名前を呼ばれてそちらを向くと、クラインとレイヴンが走ってきた。その後ろのに、風林火山ノメンバーと青龍連合のメンバーが走ってきている。


「クラインとレイヴンか」


「ったく!キバオウのアホが!ちゃんと作戦とか立てているんだろうな!」


「そんなわけがないぞ。あの馬鹿のことだ。物量にものを言わせての特攻だろ。第1層以来、犠牲者は出ていな
い。奴等の中から絶対に犠牲者が出るぞ!」


2人は歯軋りし、キバオウよりもその部下達の事を心配している。
軍は血盟騎士団・青龍連合の2つよりも巨大なギルドだ。メンバーの数も数千以上と聞く。


「皆、待たせたね」


ヒースクリフが血盟騎士団の団員達を引き連れてこちらに来た。


「まさか本当に攻略しに行くとは思いもしなかったよ。命を無駄にするとは…愚かな事を」


どうやらデータを渡したヒースクリフが思いもしない行動にキバオウが出ているようだ。


「では急ごう。彼よりも彼の部下達が心配だ」


『はい!/おう!』


俺達は急いで、25層迷宮区へと向かった。







〜25層迷宮区〜


マッピングはされているのいるので最短ルートでボスフロアへと向かっている。先頭を俺・アスナ・クライン・ヒースクリフ・レイヴンが走って出現するモンスター達をすぐに倒して進んでいる。


最後尾にはリーガル・ガロン・イリナが再出現するモンスターをすぐに駆除できるように待機している。


「本当にマッピングされててよかったと思うぜ…」


「そうね。遠回りすることなく最短距離でいけるし」


走りながら話をしていると、




―――うわぁああああああああああ!――――


―――た、助けてくれええええええ!――――


―――こんなの初めから無茶だったんだ!――


―――怯むんやない!戦うんや!―――――




などの声が聞こえてきた。


「聞こえたか今の!」


皆の顔を見ると聞こえたようだ。


「皆、急ごう」


走るスピードをさらに上げる俺達。







〜25層フロアボス〜


ボスフロアに入ると、俺達は目にした。


[ヨワイゾオオオオオオオオオオオオオオオオ!]


シュン!ザシュ!ズドーン!


「うわぁああああああ!」


「だ、誰かあああああ!」


「し、死にたくな…」


カーソルに【The Sword Dancer】と表示される骸骨剣士が一瞬で10人のプレイヤーを消し去った場面を…俺達は

目にした。辺りを見ると地面に突き刺さった剣や槍、短剣。落ちているメイスなどが散らばっていた。


「戦うんや!逃げたら駄目やぁああああ!ぐあっ!」


キバオウも戦っているが引き飛ばされて壁に激突している。


「駄目…駄目よ……!」


「アスナ?」


隣にいたアスナが震えながらプレイヤー達のやられていく姿を目に焼きつけながらレイピアに手にする。


「駄目ぇええええええ!」


「ば、アスナ!よせ!」


アスナが俺の隣から駆けだし、ボスへと向かう。


「あぁああああ、もう!」


俺はアイテム装備欄からあるものを取りだす。


[ウガァアアアアアアアアアアアアア]


ボスがアスナに気付き、剣を振るおうとしていた。


「間に合えよ!!うらぁあああああ!」


シュン!


手に持っていた物を投げた。







〜アスナSIDE〜


目の前でたくさんのプレイヤーが死んだのを見て私の中のなのかがはじけた。
隣にいたレンが私に静止を呼び掛けたが身体がボスヘと向かう。


けど、後ろからの攻撃にボスが気づいて私に剣を振りかざした。それもかなりの速さで。
私は駄目!やられる!……そう思った。


けど、


ガキィィィン!


[グオォ!?]


「えっ?」


剣に槍がぶつかっていて、弾かれていた。その槍が飛んできた方を見ると……


「この馬鹿!1人で突っ走るな!俺達はパーティーだろ!」


レンがいた。レンの両手には槍にメイスが握られていた。それをレンは、


「ふぅん!おりゃぁあ!」


シュン!シュン!


ボスに向けて投げた。


ザシュ!ゴーン!


[グォオオオオオオオ!]


槍が足に当たり、その怯んでいる最中にメイスが頭に当たり、倒れるボス。


「よし、全員!盾持ちを前衛にボスを怯ませ、隙が出来たらスイッチを連続でするんだ!レン君!君は今みたいに武器を投げれるのかい?」


「おうよ!そのために知り合いの鍛冶師にレベルの低く、安い武器を大量に作ってもらってきたぜ!」


知り合いの鍛冶師……リズの事ね。なるほど…だから昨日、私より少し後に家に入ってきたのね。
今朝もリズ、かなり疲れていたみたいだし。


「行くぞ!全員、戦闘…開始!」


ヒースクリフさんの指示に他のプレイヤーの皆が盾ありの槍使いを中心に動いていっているわ。
盾でボスの攻撃をはじいて、その隙に各プレイヤーが連続でスイッチしていくわ。


[グォガァアアアアアア!]


ボスが剣を振りかざそうとするけど…


「甘いわぁあ!」


ブゥオン!


ザシュ!


[ガアアアアアア!]


ボスの手に持っていた剣が根元からくっきり折れた。凄い…システム外スキル:武器破壊ね。レン、やってみいって言ってたけど……本当にやるなんて。


「さて、私も驚いている暇じゃないわね!」


私も参戦しないと!


私はレイピアを握り、ボスへと攻撃を再開した。




〜アスナSIDE OUT〜








〜戻ってレンSIDE〜


「うし!武器破壊出来たぜ!」


まあ、狙ってやってないんだけどな。偶然が偶然に重なり出来た事だが。


「よし、武器が2振り内、1つが壊れた!今が攻めるチャンスだ!」


ヒースクリフも戦いながら指示をする。指示によって前線で防衛しながら戦っていた盾ありの槍使い達も攻撃する。
ただ、気がかりなことが俺にはある。いままでのボスは人型のようなのはあまりいなかった。大体がオークやオーガ、蛇人、竜など人外が多かったのに……この25層フロアボスは人型の骸骨。攻撃方法が腕2本が持つ剣だけって言うのがな。


「まあ、考えても仕方ないな!うわらぁあああああ!」


ブゥオン!


攻撃する素振りを見抜き、メイスを投げる。


ドスン!パリィィン


もう1振りの剣も壊したぜ。これで相手はやられるだけ……のはずだ。






〜数分後〜


俺は持ってきていたレベルが低い武器がそろそろ底をつきそうになっている。まあ、かなり投げていたからな。
でも、俺とアスナ、風林火山、血盟騎士団、青龍連合の怒涛の攻撃によってボスのHPケージは4つの内後1つまで減らした。だが、それはケージを1つにして起こった。


[ツヨキモノヨォオオオオオオオオオオ!]


最初の頃、喋った行こう一度も喋らなかったボスが喋った。
俺達は警戒し、防御態勢を取る。念のためにな。


だが、俺達が防御態勢を取るのを見た


「今や!全員、攻撃やぁあああ!」


今まで黙っていたキバオウ率いる軍がボスヘ攻撃を再開した。


[グォオオオオオオ!]


グニュニュニュ……ボォン!


ボスの背中から4本の腕が出てきた。
しかも、それと同時に破壊したはずの武器も他の4本の武器と共に出現した。
つまり…ボスは6本の腕に6本の剣を持つ事となる。


「馬鹿どもがぁああ!」


ブゥオン!ブゥオン!ブゥオン!


俺は急いで槍やメイス、大剣などを投げる。だが、


[ジャァマァヲスルナァアアアア!ヨワキモノドモオオオオオオオオ!]


再び喋ったボスは持っていた6本の剣で接近していた軍を吹き飛ばし、吹き飛んだ軍の者達はHPが0になり、死んだ。
その後、俺が投げた武器が腕に当たり、ボスがこちらを……否俺を見た。
俺は嫌な予感がしていた。先ほど、強きものよと言った時、俺の方を見ていた気がする。
逆に最初の頃と先ほどはキバオウ達を見て弱きものよと言っていた。
つまり、あのボスは強いものを見つけたと言う事になる。


「むぅ、これはいかん。あのボスはどういうわけかレン君を見ている」


「ヒースクリフも気づいたか?おそらくだがあのボス、少し知性があるようだ。奴の目的は強いプレイヤーとの戦い。つまり……」


「レンが……レンが狙われていると言うんですか」


アスナが心配するように俺を見る。


「仕方ないか。俺も今から前に出る。丁度さっきので大量に持ってきてた武器がなくなって後は自分のメインウェポンしかないんでな」


エリアルブレードを手に持つ。こいつは確立10%で麻痺を起こす武器だ。ボスにも聞くのは実証済みだ。


「さて、アスナ。行くぞ」


「うん!」


武器を構える俺とアスナ。


そんな俺達に、


「へぇ!お前等だけに言い格好はさせないぜ!」


「その通りだ。皆で掴もう勝利を」


「レンとアスナだけに負担はかけないぞ」


「同じく!」


「ふむ、こういった戦いもいいものだね」


クライン・レイヴン・ガロン・イリナ・ヒースクリフが武器を構えて俺達の隣に立つ。
それに続いて各ギルドのメンバー達も武器を構える。


「よっしゃぁあ行くぜええ!」


『おお!』


クライン達、風林火山が


「うりゃぁあ!」


ガキィィン!ガン!キィィン!ガン!


ボスの剣をはじき、


「気合いだああああ!」


『うぉおおおおおお!』


ガロンが他の盾ありの槍使いと一緒にボスに体当たりし、体勢を崩し、


「はぁあああ!」


「やぁああ!」


レイヴンとイリナがボスの剣を破壊し、


「はああ!」


ヒースクリフも武器破壊をする。


「「はぁああああ!」」


アスナと共にボスの身体を斬る。


[グォオオオオオ!]


剣を振りかざそうとするボスに俺は


「エリアル・スクエア!」


風の斬撃を飛ばし、残っていた剣3本を破壊した。


「スイッチ!!」


アスナはその隙にソードスキル:レ・ミゼラブルの10連続突きを食らわす。


「スイッチ!」


俺はソードスキル:エクスファイント・スクエアを風を纏った状態で高速4連続切りをする。


ザシュザシュザシュザシュン!


シュタ!


「アスナ!最後、行くぞ!」


「うん!」


俺とアスナは走りながらソードスキルを発動させる。


「「はぁあああああああぁぁぁぁぁぁ!!」」


そして、大きく声を上げながら、俺が左から右へ横一線、アスナは下から上へと縦一線に斬り裂いた。
ボスは、そのデカイ体に十字のラインを残しながら、宙を飛んだ。


[グォオオオオオオオオオ!]


そして、悲鳴を上げながらボスはその体は輝くと、空中で無数のポリゴンをまき散らしながら……消滅した。


「勝った……の、か」


「ええ…勝った、みたいね」


俺とアスナはボスを倒したことで気が抜けて座り込む。



『うぉおおおおおおおおおおおおお!』


部屋にいたプレイヤー達が歓声を上げる。
空中には【Congratulation!!】とシステムメッセージが表示された。


そして、俺とアスナの前に【You got the last attacking bonus!】と表示された。


俺には【草薙の剣】。ドロップアイテムが……うお、武器破壊ボーナスで黄金のタテガミ・白銀のタテガミ・蒼天石を手に入れた。
アスナの方を見てみると【八尺瓊勾玉】。ドロップアイテムが【八咫鏡】か。日本に伝わる三種の神器じゃねぇかどう見ても。


「あっはは…何か凄いアイテム手に入っちゃった」


「俺もだよ。武器や防具の素材みたいなアイテム手に張ったよ」


2人で話していると、


「軍の奴等…150名以上やられたってよ」


「マジかよ!?」


そんな会話が聞こえてきた。


「畜生がぁあああああああ!」


キバオウがいる方から声がし、叫びながら部屋から出ていった。その後ろを疲労した部下達が追っていった。


「やれやれ。反省の色がなしか」


「馬鹿な行動をするからですよ」


「だな」


レイヴン・イリナ・クラインが去っていったキバオウの事を見ながら言った。


「皆、本日は御苦労であった。さあ、この事を皆に報告しよう。第26層へ行こう」


ヒースクリフが言うとプレイヤー皆がおぉ!といいながら次の層への扉を開く。


その後を俺達も続いた。







〜第26層 ミシェル〜


「では、ここで解散とする。皆、今日は御苦労だったね」


ヒースクルフの言葉を聞き、俺とアスナは皆にじゃあなっていって第11層 タフトへと戻る。







〜第11層 タフト〜


タフトに戻ってくると周りにいるプレイヤー達は喜んでいた。
どうやら話が広がってきているようだ。


俺達は家に帰る。







家に帰った俺達。


「お帰り2人とも!」


『お帰り!』


「生きて帰ってきたわね」


リズ達がお出迎えしてきた。


「ああ。疲れたよ」


「ええ。ここまで疲れたの久しぶりね」


「今日の事は明日の朝刊で出ると思うからそれを見てくれ。俺とアスナはもう寝る」


「じゃあ……お休み……」


かなり疲れている俺達は部屋に向かい、


「お休みレン。今日はお疲れ様」


「アスナもな。お疲れ」


部屋に入り眠りついたのであった。







―――――――――――――



はい、25層攻略完了!原作では25層では多大な被害があったと書いてあったので軍も25層以降、攻略には出てこ

なくなったと原作やアニメでも言っていたのでこんな風に書きました。
それと皆さんからの武具のアイディア、続々来ています。
2話ごとに書き方を載せます。思いついたらメッセ・感想・小説家になろうまで送って下さい。


募集の仕方は次の通りです。

1.武器に関して
・[武器の種類]
・[武器の名前]
・【ソードスキル】の名前と技の説明
・色
・何層当たりまで攻略されていれば手に入るか。または作れるか。
(*どうやって手に入れたとかは作者が考えます。例えばレアモンスターを倒した時のドロップアイテムとか、

特殊なクエを受けて、報酬で手に入れたとか。もし、考えた時に思いついたら読者の皆さんが書いてくれても嬉しいですね…特殊クエのこととかレアモンスターのこととか)

2.防具に関して
・[防具の種類](アーマーやプレート、コート、ロープなど)
・[防具の名前]
・[防具の固有スキル](原作でキリトが自分のコートには隠蔽スキルがつくといっていたので)
・色
・何層当たりまで攻略されていれば手に入るか。または作れるか。


武具の名前は漢字でもOKです。
武器及び防具の固有名と固有スキルのアイディアがありましたらこちらの感想・メッセ・小説家になろうの私の

マイページ(http://mypage.syosetu.com/77597/)の活動報告にアイディアを書いてみて下さい。

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