第31話 背教者ニコラス
2023年12月24日…俺達がSAOの世界に囚われて2度目のクリスマス。
俺達はギルドでクリスマスパーティーの準備をしていると…レイヴンからメッセがきた。
≪よぉレン。久しぶり…ってわけでもないか。元気にしているか?まあ、お前の事だし元気だろうな。
さて、今回、こうやってメッセを送った事には理由がある。最近、俺のギルドに入ったばっかりの下っ端どもが何やら不穏な動きをしていてな。そいつらは最近まで軍にいたらしいんだが……他の階層やフィールドでプレイヤーを脅していると聞いている。そこで頼みがあるんだが……実はな今日、イベントで第35層 迷いの森で23時〜0時前後にイベントが発生するらしい。何でも背教者ニコラスというモンスターを倒すことにより蘇生アイテムが手に入るそうなんだ。うちの馬鹿どもがそれを狙っている他のプレイヤー達を襲ってでも手に入れるかもしれない。だから、レンが先にアイテムを手に入れてくれないか?俺とガロンは他に馬鹿な事をしているかもしれない奴等に少しお仕置きしないといけないから。もしよかったらメッセで教えてくれ。じゃあな!≫
とのことだ。
確かに最近、一部の青龍連合のメンバーが不正な行為をしていると耳にしていたが……まさか本当とは。
「けど、これは見過ごすわけにはいかないわね」
「はい!私達、見過ごせません!」
「俺達もな。こういうイベントでそんな事をする奴等がいるなら少しお仕置きしてやらないと」
と、アスナ達はやる気になっているし、俺もこういうのは見過ごせない。
ってなわけで……
「パーティーはアイテムゲットしてからだな」
「そうね。まあ、そのニコラスって奴がどこに出るかを知るには……」
『情報屋 鼠のアルゴに聞くのが一番!』
早速、アルゴに連絡を入れる。
第49層 ミュージエンにアルゴがいるのでそこ出に言って情報を貰う事にした。無論、お金は払う。
〜夜・23時。35層 迷いの森〜
アルゴから情報をもらい、ニコラスが出そうなツリーを片っぱっしに調べている。
俺とアスナ、コバルのチーム・元『五虎』チーム・元『シュヴァリエ』+ベルガのチームにわかれて探索している。
そして、俺達は次の場所へと来ると…
「おぉ!レンとアスナちゃんじゃないか!」
「クライン!?何でお前が!?」
風林火山のメンバーを率いたクラインがいた。
「いや、49層のミュージエンでお前等がアルゴって言う情報屋と話しているのが気になってな。気になるあまりアルゴに情報を貰ったんだよ。そしたら今日あるイベントをするって聞いてな」
なるほど。心配になって付けてきたのか。
ったく、顔に似合わず、良い奴だな。
「俺は青龍連合のレイヴンに頼まれてな」
「レイヴンの野郎にか?」
「ああ。ちょっと……クライン。お前、付けられてたな?」
「ん?」
?を浮かべるクライン。そのすぐそばに数十名のプレイヤー達が現れた。
そのプレイヤー達は……
「おいおい、何で青龍連合が!」
「やっぱり来たか。有名である俺達の後を付けているクラインをさらに付けて、アイテムの居場所を探っているとは……面倒な」
そんな話をしている俺達に青龍連合のプレイヤー達が言う。
「おう、餓鬼とおっさん。ここのアイテムは俺達が貰うぜ。引っこんでいな」
『ハハハハハハ!』
1人の20歳ぐらいの男プレイヤーが言うと周りのプレイヤー達が笑う。
それを不快に思っているのかアスナやクライン達風林火山のメンバーは皺を寄せる。
「俺はお前等のような馬鹿どもをお仕置きするためにここにきているんだよ」
ピクッ
「おい、餓鬼……今、馬鹿どもっていったな?」
「ああ、言ったな」
「その馬鹿どもってのは……俺達の事かぁああああああ!?」
「そうだぞ。他に誰がいる」
ブチッ!
『ぶっ殺すぞ餓鬼ぃぃぃぃぃぃぃぃ!』
武器を構えて俺に突っ込んでくるプレイヤー達。
しかし、
ガキィィィィィン!
「おっと!俺達のリーダーはやらせないよ」
「ですね」
「だな!」
[オォォォン!]
他のメンバーが到着し、武器でそれぞれの武器を受け止める。
コバルは何か器用に短剣を口に加えて剣を受け止めている。
「おお、早かったな」
「ここ以外、残っていないからな!」
「レンはアスナと一緒にニコラスを」
「ここは俺達が喰いとめてやるぜぇええ!」
ユウト達が武器で弾き、俺達を護るように立つ。
「頼んだ!」
「お願い!」
俺とアスナは奥へと向かう。
〜ツリー前〜
大きなツリーの前に俺とアスナが来るとサンタの格好をした巨大なモンスターが出てきた。
[ギギギギギギ]
壊れたおもちゃのように音を立てるニコラスを見て、俺とアスナは互いに武器を構える。
「さあ、俺達に倒されな」
「さっさと終わらせてパーティーしたいからね!」
ここから、一方的な戦いが繰り広げられた。
〜数分後〜
「ぜぇぜぇ…もう、あんな数の相手を……したく、ない…ぜ」
戻ってくるとクラインが地面に大の字で倒れていた。
うちのギルドメンバーは倒れていなかった。さすがだな。
「ただいま」
俺が声をかけると全員が俺を見る。
「おお、レン!アスナちゃんも!」
倒れているクラインは目だけを俺達に向ける。
「で、レン。アイテムはどうなった?」
「ん?ほれ」
ポイ
ベルガに投げる。
「えーっと…何々?……はぁ!?蘇生アイテム『還魂の聖晶石』は使う時間がキャラクターが死亡してからの10
秒間のみ蘇生の猶予が与えられるもの……だとぉ!?何だこれ!ソロだった場合は使用不可能じゃないか!」
そう、アイテムは手に入れたがソロにとってはいらないものだった。
まあ、俺達はギルドだから使う可能性があるけど。
「さて、レイヴンからの頼みも終えたし、帰ってパーティーするか」
『賛成〜』
「パーティー?ってクリスマスパーティーするつもりだったのか?」
クラインが聞いてきたので俺が言う。
「ああ。折角のクリスマスだし、皆でって……そうだ!手伝ってもらったし、クライン達も来るか?」
そう、俺の提案を聞いたクライン達は
『いいのか!喜んで!』
と、目を輝かせて言った。
「なら行こうぜ!」
『おー!』
俺はメッセをレイヴンに送りながら、ギルドハウスへと帰っていった。
〜ギルドハウス〜
「おぉおおおおお!すっげぇええええ!」
クラインが家のギルドの中に入った感想がこれだ。
「何だよこれ!?クリスマスツリー!?飾り付けとか色々できているし!?」
「色んな小さなクエから大きなクエをこなして手に入れた素材を使っているんだよ。これを集めるのに大体……3,4日ぐらいかかったかな?」
「……そっか、だから数日お前等の姿を見なかったのか。レイヴン達も不思議がっていたぜ」
まあ、攻略組で有名なうちのギルドが迷宮などの攻略に参加しなかったのは今回が初めてだしな。
「まあ、いいか!とにかく……パーティーを始めよう」
俺は皆に言う。
「俺達がこのSAOの世界に囚われて1年近く経過した。けど、こうして仲間も知り合いも全員生きている。この調子で後半分、攻略に気合い入れて頑張るぞお前等!」
『おっ――――!』
「じゃあ、俺達の頑張りとクリスマスに……乾杯!」
『乾杯!』
0時から3時までどんちゃん騒ぎが続いたのであった。
〜おまけ〜
「このバカどもが!」
『す、すいませんでしたぁ〜〜〜〜〜!』
青龍連合本部の鍛錬場でレイヴンがバカなことをしでかしていたメンバーにお仕置きという名の長時間の説教をしていた。
「それにお前らが迷いの森で戦った奴らはな……攻略組でもトップクラスのレベルを持つ『蒼光の軍勢』だぞ。お前らが敵う確率は0だ!」
『なぁ!?』
彼らは驚く。自分たちに喧嘩を売った人物たちがそんな大物だったとはと。
「今日から丸一日、俺とガロンで交代で説教だ!」
『そ、そんなぁあああああああああ!』
「言い訳はきかぁあああああああん!」
ビシャァアアアアアアアアアアアアン!
この日、青龍連合本部に雷が落ちたと証言する人がいたのであった。
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今回は原作でサチ達が死に、無理をしていたキリトが挑戦した迷いの森を書いてみました。
まあ、今のレンとアスナの2人でもニコラスは敵ではないので戦闘描写などはすっとばしましたw