小説『ソードアートオンライン〜2つのスキルを持つ蒼の剣士〜』
作者:レイフォン()

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番外編3 料理


〜第3者SIDE〜


『ごちそうさまでした!』


『蒼光の軍勢』のギルドホームではメンバー全員で夕飯を食べ終えていた。


「いや〜やっぱり女の子の手料理はいいもんだな!」


バーグが満腹満腹と言いながらそんな事を呟く。


「はい。特にしょうゆにマヨネーズなどがあると言うのも嬉しい限りです」


ユウトも嬉しそうな表情をしている。


「そう言えば……この調味料の味を作ったのって」


ユニがメンバーを見ながら言う。


「私よ」


アスナが手を上げる。


「これ、本当にどうやって作っているんですか?私も作っているんですが未だに……」


「そうねぇ……私はこのゲームが始まった当初、すぐに料理スキルを入れたからね。1年の修行と研鑚の成果よ。アインクラ

ッドで手に入る約百種類の調味料が味覚再生エンジンに与えるパラメータをぜ〜〜〜んぶ解析して、これらを作ったのよ」


胸を張るアスナ。


「俺はその味見などをしてたっけな」


「そうなのよ。レンってば、当初は私と同じように料理スキルを上げていたのよ?」


『ええっ!?』


ギルドメンバー全員の視線がレンを見て驚きに染まっている。


「……なんだよ。俺が料理スキル上げてたのがおかしいのかよ」


「いや、何と言うか……」


「イメージに合わないといいますか……」


レンに睨まれて小さな声で言うユウトとユニ。


「失礼な。これでもリアルでは料理は趣味の1つだぞ」


『えええ!?』


レンの趣味発覚に驚くメンバー。


「意外でしょ?私、前にレンの家でレンの手料理食べさせられた事があってね……あれはそうね、【女殺し】の料理よ」


『女殺し?』


「一口食べただけで美味しさが口の中に広がる幸福感に加え、料理ができるできないに限らず、女性のプライドを粉々にするほどの威力よ。だから【女殺し】」


『なるほど……』


アスナの言う事に納得するメンバー達。


「あれぇ?けど、なんでレンは今は料理スキルがないの?不思議だねぇ」


「ああ。アスナがしょうゆなどを作るのに成功した後、破棄した」


「なんでだよ。もったいねぇ」


「アスナの手料理が食べたいからだ。スキルがあると自分で作ってしまうからな。今では良かったと思っているよ。妻の愛妻料理を毎日食べれるんだからな」


「レン//////」


「アスナ……」


レンとアスナが桃色空間を発生させる。


「はいはい、桃色空間を作るんじゃないわよ」


そこへ、店を閉めて戻ってきたリズが空間を破壊する。


「あんた達、毎日が新婚夫婦よね」


呆れるリズにラナが質問してきた。


「質もーん。リズっちは2人と付き合い長いんだよね?」


「ええ?まあね。2人とはかなり長い付き合いよ」


「この2人の料理について知っている?」


「……ええ。あれは思い出したくないわ。攻略にレベル上げをしながら毎日のように研究していたこの2人には呆れたわ」







〜回想〜


「アスナー。そっちはどうだ?」


「ん〜駄目ね。今度はグログワの種とシュブラの葉にカリムの水を混ぜて……」


そう言うとアスナはアイテムストレージから種と葉を取り出し、水に混ぜる。


「ん〜〜……うん!できたわ!ようやくできた!」


「お、できたか!で、何ができた?」


「それは味見してみれば分かるわ」


そう言うとアスナは作ったものをレンに渡し、レンは指でそれをつけ、味見をする。


「…!これ、マヨネーズ!」


「正解!」


「やったなアスナ!俺達の研究の成果だ!」


「ええ!今度はしょうゆやソースを作るわよ!」


『オーッ!』



〜回想終了〜


「と言うわけよ。しかもこの日、帰ってきた私の事無視すると言うより眼中にないかのように2人で研究に没頭しちゃってさ」


呆れながら言うリズにギルドメンバー全員は合掌した。


「合掌するんじゃないわよ!あの2人、今も皆に内緒で研究しているのよ!?皆が寝た後に!私はたまに工房にいて時間を忘れる時があってね、偶然見たのよ。その時、2人が何を作ってたと思う?」


『なんだったんだ?/の?』


リズは目をキラキラさせて言う。


「ケーキよ!ケーキ!」


ビクン


リズの言葉に反応する女性陣。


「それとプリンとか……お菓子系よ!」


『なんですってぇ!』


ドガァァァン!


女性陣が目を輝かせてリズに詰め寄る。


「リズ!それは本当なのにね!」


グラグラグラ!


レイナがリズの肩を掴むと揺する。


「ほん、とうよ。だ、から……ゆ〜ら〜す〜な!」


「あ、ごめん。つい」


パッ!


肩から手を放す。


「き、聞いた話だとここのお菓子類ってあんまり種類ないし、高いじゃない?それで『なら、自作すればいいじゃん』とか

言ってたわ」


『……私達も作れるようにしないと!』


バタバタバタ!


女性陣は全員、台所へと向かうのであった。


『……なんだかなー』


残された男性陣とリズはため息をつくしかないのであった。










「ん〜なんか違う」


「なら、今度はこのジンバチチョウのエキスを混ぜたらどうよ」


その頃、レンとアスナは台所で新しく作るケーキのためにオリジナルのクリームを作っていた。
現実にあるクリームは同じ材料で作れるが、せっかく色々と作れるので試していた。


「エキスって……これってハチミツみたいなものじゃないのかな?色もハチミツだし」


「けど、アイテム名はエキスって書いてあるぜ?」


「確かにそうだけど……よし、使ってみようかな!」


レンのの言う事を信じ、ジンバチチョウのエキスを作っておいたクリームに入れるとクリームの色が黄色っぽくなる。


「おお!」


「なんかいい色!」


2人は味見に指にクリームをつけて舐める。


「「甘くて美味い!」」


いえーい!とハイタッチをする夫婦。仲のいい夫婦を……







「……仲良いですね本当」


『うんうん』


台所を見るユニ達の姿があった。台所で料理の勉強をしようときたユニ達だったがレンとアスナの甘酢っぱい空間に入れな

いでいた。


「よし、まだまだやろうねレン!」


「おう!何時間でも付き合ってやるぜアスナ!」


そんな2人の背後には炎が燃え盛っているように見えるユニ達であった。




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お待たせしました!番外編3です!
次回から話は戻ると思います!

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