小説『ソードアートオンライン〜2つのスキルを持つ蒼の剣士〜』
作者:レイフォン()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

第36話 竜使いシリカ



〜レンSIDE〜


グリセルダさん訪問から時がたち、今日は2024年2月23日。俺は今日、珍しく1人で58層 ミリオンズに来ている。
転移門から出ると……


「お、お願いです!誰か……誰か力を貸してください!!仲間の無念を晴らしてください!!」


そんな声が俺の耳まで聞こえてきた。そちらに目を向けると1人の男性が周りを歩く数々のギルドに声をかけているようだが全て無視、もしくは断られているようだった。


「おい、どうしたんだ?」


「き、君は!『蒼光の軍勢』のリーダー……蒼の剣士・レン!?頼む!俺の……俺の仲間の無念を!」


ガシッ!


「お、おい!落ち着け!話しをするならまずはお前が落ち着け!」


俺はとにかく、落ち着くように言う。そして、話しを聞く。


彼の話によると彼はギルド『シルバーフラグス』のリーダーらしい。ある日『シルバーフラグス』に体験入団させてもらえないかと、話してきた女性のグリーンが現れた。気のいい人の集まりだった『シルバーフラグス』は仮入団を決定、しばらく一緒にクエストなどをこなしていたとのことだ。


そして、女性仮入団数日して……事件は起こった。ダンジョン攻略を終了し、疲弊している時に狙いすましたかのように、オレンジたちが襲来したと言う事だ。転移結晶で退避しようとしたところ、数日前仮入団を申し込んできた女性プレイヤーがこちらに攻撃を仕掛けてきたとのことだ。後から聞いた話によれば彼女は襲ってきたオレンジたちの仲間で、最初から『シルバーフラグス』を標的として仮入団したのだと言う。


彼らが驚いている間にも、オレンジたちは自分たちを襲ってきた。今、俺が話している彼はなんとか脱出に成功した。しかし他のギルドメンバーは、脱出する彼の前で無残にも殺されたらしい…


「お願いします……そのオレンジギルドを、監獄送りにしてください……!」


「監獄送り?お前の前に連れてこないでいいのか?」


なんでも俺に頼むことはオレンジプレイヤーとその女性プレイヤーを監獄送りにする事だと言う。
自分は奴等とは同じようなことはしない。監獄で罪を償わせるとのことだ。


「この俺の全財産を使って買った回廊結晶です!これで、監獄送りにしてください!お願いします!」


そう言い、彼は俺に深々と頭を下げた。こんな依頼を受けるのはオンラインゲームで考えればただのお人よしだろう。けど、仲間思いのいい人だ。


「その依頼、引き受けよう」


「ほ、本当ですか!?あ、でも……お金が」


「金はいらん。そう言う奴等は俺自身が嫌いなんでね」


そういい、俺は彼から回廊結晶を受け取る。


「それで、そいつらの情報を教えてくれ」


彼からオレンジギルドについての情報を聞く。
聞くとこうだ。


・オレンジギルドの名前は『タイタンズハンド』
・『シルバーフラグス』に仮入団した女性プレイヤーは『ロザリア』というプレイヤー
・そのロザリアが『タイタンズハンド』のリーダー
・現在の狙いは35層の竜使いがいるギルド又はパーティーを標的としているらしい


「なるほど。竜使い……確かシリカとか言う名だったか。依頼、必ず達成しよう。俺のギルドの誇りに賭けて」


「ありがとう……本当にありがとう……」


男性とフレンド登録し、彼はそのまま転移門でどこかに行った。俺は早速今回の事をアスナ達にメッセで送る。


「さて、情報だと35層か。確かあそこには迷いの森があったな。あそこなら襲うのにはうってつけだな」


転移門で俺は35層 ミーシェに向かい、そのまま迷いの森へと向かった。











〜35層 迷いの森〜


「ここに来るのも久しぶりだな」


久しぶりに来た迷いの森を懐かしんで、早速プレイヤーが多く集まっているのを探す。
マップを開き、いくつか光点が点滅していた。しかし、いきなり1つの光点が多く集まっていたエリアから離れて行った。


「おいおい。高レベルのプレイヤーならいいが、中層レベルのプレイヤーがここをソロは危険だぞ!?」


俺は1つの光点が向かったエリアへと向かって走りだす。









「お願いだよ……あたしを独りにしないでよ……ピナ……」


俺が着くとそこには1人の少女プレイヤーがゴリラのようなモンスター達に後ろから迫られていた。
俺は剣を1振りし、モンスター達を一掃した、


「すまなかった。君の友達、助けられなかった……」


「……いいえ…あたしの、あたしのせいですから……。助けてくれて……ありが、とう、ござ……」


涙を流す少女を見て、すっごく気まずいな。けど、この子の手にあるのは……もしかして


「なあ、その羽にはアイテム名があるか?」


そう聞くとその羽をつつき、アイテム名を確認する少女。


「…ピナの…心…って…」


「ちょっと待って、泣かないでくれよ…心アイテムってどっかで…」


再び泣きそうになる少女をなだめる俺。罪悪感半端ないな、マジで。


「心……ここ、ろ……あぁああああああああああ!?」


「ひゃあ!?」


「思い出したぞ!君、まだ絶望にゴールするのは早いぞ!そのピナって言う使い魔、蘇生できるかもしれん!」


ピクン!


「ほ、本当ですか!」


「ああ!確か47層の<思い出の丘>って場所に蘇生アイテムがあると聞いたぞ」


「本当ですか!?……47層……」


……凄い落ち込みようだな。この中層レベルの階層にいるってことはレベルはそこまで高くないな。
だからか。落ち込んでいるのは。


「あの、ありがとうございます…情報だけでも十分です。いつかは、きっとそこまで……」

「…いつか、なんて悠長なことは言えないんだ……蘇生にはタイムリミットがあるらしくて、3日以内に蘇生を行わないと、「心」が「形見」に変化して二度と蘇生できなくなるそうなんだよ」


言ってしまった。隠していても意味ないしな。


「そ、そんな……!」


まあ、ショックだろうな。大切な友達……相棒、パートナーと再び会う事ができる猶予が残り3日なんだからな。
……お節介かもせれないが……


「これを受け取りな」


俺はアイテムストレージから装備一式を少女にトレードする、


「これらの装備一式を装備すればレベルが10レベルほど底上げできる。それに俺が一緒に行けば問題ない」


俺がトレードしたのは『エンプレス・ダガー』と『シルバリオン・アーマ一式』だ。
どれも50層よりも上で手に入るものばかりだ。


「…あの…なんでここまでしてくれるんですか?」


「困っている人を助けるのに理由は必要か?」


「……フフ」


「ようやく笑ったか。そう。女の子なんだから笑っていな!」


「フフフっ…あの、ありがとうございます。あの……これだけじゃ全然足らないと思うんですけど」


そういい、ウィンドウの少女側のアイテム欄に、結構な額の金が入力されていた。恐らく少女の全財産だな。


「いいって。どうせ使わないのだし。売ってなくなるより誰かに使われていた方がその装備達も喜ぶだろ」


「で、でも…」


「俺がいいって言ってるんだからいいんだよ。Are you ok?」


「う…はい、分かりました」


意外と物分りがいいな。アスナがいたら「可愛い!」とか言って抱きつくだろうな。


「でも、ほんとに何からなにまで……。あの、あたしはシリカです!改めて、宜しくお願いします!」


ああ、そう言えばお互い名乗ってなかったっけ。にしてもやっぱりこの子がシリカか。
間違いないな。依頼の今狙われている子だ。


「俺はレン。よろしくなシリカ」


俺と少女―シリカ―は握手をした。





――――――――――――

ようやくアニメなどの原作の方へ入れました。
……30話近くぶりに原作の方を書きます。嬉しい!
シリカとの出会い。シリカに渡した装備一式はオリジナルです。
トップギルドのリーダーですし、それぐらいしないとと思いましてね。


……早くSAO編を書き終えて、ALO編を書きたい。

-44-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




ソードアート・オンライン ねんどろいど キリト (ノンスケール ABS&PVC塗装済み可動フィギュア)
新品 \4240
中古 \
(参考価格:\3500)