小説『ソードアートオンライン〜2つのスキルを持つ蒼の剣士〜』
作者:レイフォン()

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第38話 風見鶏亭での夜


〜レンSIDE〜


ロザリアを一目見て、俺とシリカは風見鶏亭に入っていた。
今日はここに泊まるのでシリカには座って待っててもらい、チェックインを済ませ、席に座る。


俺が今日泊まるここ『風見鶏亭』は一階がレストラン、その上が宿屋という形になっている。


俺は座る前にあるものを注文し、来るのを待っている。
その間、シリカは俺の顔をチラチラ見ていたのに俺は気付き、


「どうかしたか?」


「あ、あの……その。さっきはすいませんでした!」


「さっき?……ああ、あのロザリアって奴のことな。気にするな。ああいうのは慣れている」


色々あったからな。


そう話しているうちにウェイターが2つのカップを持ってきた。俺とシリカの前に1つずつカップが置かれる。


「これは?」


「飲んでみな」


「は、はい」


恐る恐るカップを両手で持ち、中身を見て口をつけるシリカ。
すると、カッとシリカの目が見開き、驚いた風に俺を見る。


「こ、これってもしかして……!」


「問題です。何でしょうか?」


「キャ、キャラメルです!ど、どうしたんですかこれ!?」


キラキラした目で俺に説明を求めるシリカ。


「そいつは上の階層で取れるレアドロップ素材を使って作れるんだ。俺の……知り合いがそれをいくつも作っていてな。それを出してもらった」


「出してもらった?」


「ああ。NPCレストランってのはボトルとか、飲み物の持ち込みも出るんだよ。それで俺が持ってた『キャラメル』を出してもらった。しかもそのカップ一杯で全ステータスが1上がる」


「ぜ、全ステータスがですか!?」


嘘でしょう!?と言わんばかりに俺を見るシリカ。


「事実だ。だが、これは結構作るのに手間がかかる。暗い表情をしていたシリカにはこういった甘いものを飲めば落ち着くかなって思ってな」


「あ、ありがとうございます。……なんで……あんな……意地悪言うのかな……」


ポツリと呟いたのを俺は聞きとめると、顔に出していた笑みを戻す。


「まあ、ネトゲならある程度は許容しないとしょうがないんだけど……あ、シリカはこれが初めて?」


「はい……」


「そうか。なら、気にしない事だ。ああいうのは10人に1人入ると思えばいい。特にこのゲームの中では、ああいう事をして現実から目を逸らそうとする者もいる」


「そうなんですか?」


「ああ。たとえば今も現実から助けが来ると思っている第1層 はじまりの街にいるプレイヤー達などもそうだな」


「え?」


「死にたくないから街を出ない。戦わないない。誰かがやってくれる……本来のこのゲームはそう言ったものではなかったが……まあ、今じゃ、デスゲームとなっているからな。あの茅場晶彦が嘘を言っていると思っているのが多い。積極的に現実へ帰ろうと頑張っているのが攻略組ではほぼ全員だ」


「そう……なんですか」


「ま、これは俺個人の考えだ。だから、ああいう奴は無視する事が一番。話しかけられても無視・無言を貫けばいい」


「はい……」


ガタッ


「さて、明日も早い。今日はもう休もう」


「はい!」


俺とシリカは自分の泊まっている部屋へと向かった。











部屋に入る所で別れた俺達。俺はある事をするためにメンバーにメッセージを飛ばし終え、武器などの点検をしている。
武器と防具、HPはこの世界で生きる上での生命線だからな。


そう、点検を終えると


コンコン


ドアを叩く音がした。


「どうぞー」


ガチャ


「し、失礼します」


シリカだった。


チュニックを身に纏ったシリカがそわそわしながら部屋に入ってきた。


「どうした?」


「ええと、あの……よ、四十七層のこと、聞いておきたいと思って!」


最後の方は早口になっている。多分今とっさに考えたのだろう。分かった、と言ってシリカを椅子に座らせると、俺はベットに座る。アイテムストレージにあったミラージュスフィアを取りだし、起動するとすぐに立体地図が展開される。


「きれい……これって何ですか?」


「ミラージュスフィアっていうアイテムだ。一度行った場所のマップを出せるから、地図よりも役に立つんだよ」


簡単にアイテムの説明をしてから、もう一度地図の方に目を向ける。


「ここが主街区で、ここが明日行く思い出の丘だ。この道を通っていくんだが、ここのモンスターが少しレベル高いから注意した方がいいぞ。あとは……」


指先を使って、四十七層の地理や情報をシリカに説明していく。丁寧に説明していき、説明が丘の少し前まで来たところで、あることに気づいた。


「レンさ……ん?」


「しっ……」


静かにと、いい、


ダダダダダ、ガチャン!


「誰だ!」


ダダダダダダダ!


プレイヤーが逃げて行くのが見えた。


「な、なんですか!?」


部屋から顔を出してきたシリカ。


「盗み聞きだろうな」


「え……でも、ドア越しじゃあ声は聞こえないんじゃ……」


「聞き耳スキルってのを上げてれば、部屋の中の声くらいは聞くことができるからな。こんなのを上げているのはそんなにいないけど……」


「そうなんですか……べ、勉強になります!」


「もっとも、これを上げて男女の営みなどを聞き耳を立てるなよ?」


「営み……?!?!?!?!?!///」


なにを意味するのか知っているとは……おませさんだな。


「な、何を言うんですかぁぁぁぁーーー!」


「何を意味しているのか知っているとは……」


「ハウゥゥ!」


顔を真っ赤にするシリカ。


「お、お、お休みなさい!!///」


バタバタバタバタ……バタン!


自分の部屋に入っていくシリカ。


「ククク……ちょっとからかい過ぎたか」


反省反省と言いながら俺も部屋に入り、眠る事にした。





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お待たせしました!
本日はこちらを更新します!
この頃寒くなってきましたね。作者、寒くて体の調子が変でした。
皆さんも寒さには気をつけましょう!

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