小説『ソードアートオンライン〜2つのスキルを持つ蒼の剣士〜』
作者:レイフォン()

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第39話 フラワーガーデン


〜レンSIDE〜


朝、朝食を食べた俺とシリカは転移門前に来ている。


転移しようとするシリカだが、


「あ……。あたし、47層の街の名前、知らないや……」


そういえば教えてなかったな。シリカがマップで層の名前を確認しようとしたので、右手を差し出す。


「俺が指定する」


シリカが差し出した腕をおどおどしながら掴んだのを確認して、


「転移!フローリア!」


一瞬視界が真っ白になった後、エフェクト光が薄れていき視界が戻る。すると、目の前に無数の色彩が走る。


「うわあ……!」


隣にいるシリカが歓声を上げる。目の前には無数の花々で溢れかえり、今が盛りとばかりに咲き誇っている。
久しぶりにここに来たな。


「す、凄いです……」


「だろ?この層は通称(フラワーガーデン)って呼ばれてて、この層全体が花で溢れているんだ」


前に来た時はアスナとのデートの時だったか。あの頃は戦い戦いの日々でギルドメンバー全員から『休め!このバカリーダー!』っていわれてアスナ共々ここにのんびりしにきたんだよな。


シリカが周りを見て顔を真っ赤にしていた。あ、周りがカップルばっかりだからかな?


「シリカ。どうした?」


「あ、いえ……それよりフィールド行きましょう!」


「いきなりどうした?別にいいけど……」


慌てた様子のシリカ。あー、もしかしてこの空間にいて気まずい感じになったか。







少し歩いていき、フィールドと街との境目前まで来た。


「さてと、ここから先はフィールドだ。気をつけろよ?」


「はい!」


フィールドと聞き、表情を引き締めるシリカ。


「昨日渡した装備などでギリッギリの戦いかもしれないが……トドメなどはシリカがさしな。レベル上げにもなるし」


「はい!頑張ります!」


「ま、もし危なくなったら転移結晶で、逃げることもできる。準備はしとけよ?」


「りょ、了解です!で、でも……いいんですか?」


「まあ、俺がいるし、危ないことはないと思うけどな」


そう言うと安心した表情になるシリカ。


「んじゃ、行こうか」


「はい!」


俺は仕舞っていた武器を取り出す。取りだすのは最近リズに作ってもらった『エミシュレーダー』刀身が蒼と黒の綺麗な剣だ。リズには今、二刀流専用のもう片方を作ってもらっている所だ。


「綺麗な剣ですね」


「知り合いに作ってもらったんだよ」


この剣にはある特殊な能力が付加されている。が、それは今回使わないだろう。










フィールドを進んで行く間、何回か戦闘があったが俺が手加減で斬り、シリカが止めを刺していく。
これを何度かしていくと


シュルルルルルル!


「へっ!?きゃぁあああああああああああああ!」


突如、シリカの姿が隣から消えた。どこに行ったのかな〜と思い、上を見ると


「た、助けてレンさぁぁぁぁぁん!」


植物型モンスターの蔓に捕まってジタバタしているシリカがいた。


しかも宙に吊るされているのでスカートだから……


ササァ


視線を逸らす。


「な、なんで視線逸らすんですかァァァァ!?」


「……シリカ。自分の格好を思い出せ」


「へっ?……っ!?!?!?!///」


気づいたようだな。よかった。


「こ、この!い、いい加減に……しろぉぉぉ!」


ザシュン!


「タァアアアアア!」


ザクッ!パリィィィィン!


モンスターが砕け散る音がした。それを聞いて俺はシリカに視線を向ける。


「み、見ましたか?」


「見ていない」


「よ、よかったですぅ」


顔を真っ赤にしていたが、安心したのかほっと、息を吐いていた。


「さて、行こう」


「はい!」







そのまま奥に続くにつれてモンスターとのエンカウント率が増えて行き、俺が攻撃を弾き、シリカが攻撃して倒す。それの繰り返しをしていくとシリカのレベルが上がった。


歩いていくと


「レ、レンさん、あれって……」


「ああ、そうだ」


赤レンガの街道をひたすら進むと小川にかかった小さな橋があり、その向こうにひときわ小高い丘が見えてきた。道はその丘を巻いて頂上まで続いている。


「あれが『思い出の丘』、今回の目的地だ」


「見たとこ、分かれ道は無いみたいですね?」


「ああ、頂上まで一本道だ。だけど、進むにつれて今まで以上にエンカウント率が上がるから気をつけるんだぞ?」


「はい!ピナのために……頑張ります!」


使い魔……友達、家族のために頑張るな。うんうん、そういう子は好きだな。あ、LoveじゃなくてLikeだからな?






さらに歩いていく。今までは1体ずつだったのが奥に進むにつれ、4体、5体と増えて行ったが俺がアシストをし、シリカが倒すを再び繰り返して奥へと進んだ。


モンスターの襲撃を何度も退けて、高く繁った木立の連なりをくぐり、やっと頂上についた。


「うわあ……!」


シリカが歓声を上げて、先に駆けて行く。そこは木立に周囲を囲まれ、ぽっかりと開いた空間一面には美しい花々が咲き誇っている。


「ふう、ようやく着いたか」


とりあえずモンスターが出現しない安全地帯に着いたことに一安心しながら、シリカを追いかける。


「ここに……その、花が……?」


「ああ。そこに見える岩のてっぺんに咲くらしいぞ……ってもういない」


シリカは俺が言い終わる前に走り出していた。彼女の胸ほどまである岩に駆け寄り、おそるおそる上を覗き込んでいるのが見える。シリカの方に歩いて行くと、突然彼女の血相が変わった。


「え……」


「ん?どうかした……?」


シリカの元にたどり着くと、シリカがこっち振り返って叫んできた。


「ない……ないよ、レンさん!」


「え?……あのね、急ぐ気持ちはわかるけど……もうすこし見てみなよシリカ」


もう一度シリカを促して、岩の方に視線を戻させると、柔らかそうな草の間に、一本の芽が伸び始めているところだった。若芽は普通の花の成長速度の何倍もの速さで成長していき、やがて先端に大きなつぼみを結んだ。蕾は内部から真珠色の光を放っている。


俺とシリカが見守る中、徐々にその先端がほころんで、しゃらんという音と共につぼみが開いた。ほぉ、これが『プネウマの花』か。ここに来るまでに見たどの花よりも綺麗だな。


呆然とし、花を見るシリカ。背中を叩く。


「レ、レンさん?」


「ほれ。何のためにここまで来たんだよ」


「は、はい!」


シリカが意を決したように頷き返し花にそっと手をのばした。細い茎に彼女が触れた瞬間、花は氷のように砕けシリカの手に光る花だけが残った。


シリカがその花の表面をそっと指でなでる。すると、ネームウインドウが音も無く開いた。そこに書かれた名前は『プネウマの花』だ。間違いないな。これでピナを復活させることができる。


「おめでとうさん」


「ありがとうございます!!」


今のシリカの笑顔は、俺が彼女にあってから最も可愛い笑顔だった。……シリカのような妹がいたらこんな感じに笑うのかな?……妹か。直葉ちゃんは元気にしているかな?最後にあったのは1年前だったか?




―――――――――――――――――


はい、最新話更新です!
最後辺に直葉との知り合いフラグを書いてみました。
コメにリーファは出るの?ってありましたけど、ここで知り合いというのを書いておこうと思いました!
さて、次回……オレンジギルドが悲惨な目に合うことでしょう。

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