小説『ソードアートオンライン〜2つのスキルを持つ蒼の剣士〜』
作者:レイフォン()

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第5話 第1層フロアボス討伐


ゲーム開始から1ヶ月が経ち、そして、2千人のプレイヤーが死に…第1層もクリアされていない現在……。
βテスターが道具屋でβテスト時代の情報を書き記したガイドブックなどを無料でもらい、情報を見る限りでは攻略人数が多ければ攻略できると俺は思った。


だが、βテストの時とは違い復活なしの挑戦となるからかβテスター達も簡単には攻略に行かない。
その間、俺とアスナはレベル上げ・スキルの習得、熟練度上げ、武器の強化をしていた。
アスナは片手直剣のスキルを習得したことでレイピアを装備できるようになり、レイピアの強化を行った。
俺も秘薬クエで手に入れたアニールブレードを+6まで強化することができ、現状の武器の中では最高レベルの物となっている。拾ったカトラスやダガーなども余裕があり、熟練度は上げている。
レベルが上がればスキルスロットが1つ習得する事もあり、いい感じになっている。


そして、俺とアスナは今、第一層迷宮区前のトールバーナという街にいる。
ここで、コルに余裕がある俺達は俺は回復ポーションなどを買っていると、


「ねぇ、レン」


カウンターを見ているアスナが俺を呼ぶ。


「どうした?」


「これ、やってみたら?レン、ダーツは得意でしょ?」


そう言われて俺はカウンターに行くとそこには色々と文字が書かれたダーツが置かれていた。


「いらっしゃい」


NPCが俺に言う。


「ランダムダーツはいかがかな?一回5000コルだよ。運が悪ければ追加でコルを取るけど、運が良ければいいアイテムをあげるよ」


そう言われ、俺は5000コルを払う。


「毎度。1回だけだからね。頑張んな」


そう言いながら俺に矢を1つ渡して、ダーツボードが高速回転する。


「はやっ!?」


いや、よく考えたらここは現実じゃないんだ。この世界ならではの…即ち、


俺はダーツを投げる体勢を取り、溜め…投げる。


グサッ!


矢がボードに刺さり、回転が止まる。


刺さった場所に書かれている文字は…


「「レアアイテム。パーティーの場合は2人まで」」


そう、書かれているのを俺とアスナは読む。


「おめでとう。一等賞だよ」


そう言って俺とアスナにブレスレットを1つずつ渡す。


「名前はヴァルユ・ブレスだ」


メインメニューからアイテムストレージを見て、ヴァルユ・ブレスの固有能力を見ると取得経験値倍と書かれていた。


これを見て俺とアスナは互いに顔を見合う。アスナも驚いているようだ。まさか序盤でこんなアイテムが手に入るとは思っていなかったからな。


俺達はブレスを装備し、店を出る。


そして、今日の目的の場所へと向かう。





今日は2022年12月2日。トールバーナの広場で第1層攻略会議が行われる事になっているので、俺達はそれに参加しに行く。







俺達が広場に着くとそこには既に30人近いプレイヤーが集まっていた。
その広場は劇場のステージのようになっていて、中央にこの場の会議の主催者と観客席のような岩の椅子に各々自由に座っている。俺とアスナも近くの座る。


「はーい! それでは始めさせてもらいまーす!」


パンッパンッと手を叩いてプレイヤー達の意識をこちらに向けさて告げるのは、今回の主催者である。


武具を見る限り、集まっているプレイヤーの誰よりもしっかりしているのが分かる。
俺とアスナの装備は武器とブレスレット、それにアイテムドロップで手に入れたアイアンアーマーに変えてある。


「今日は俺の呼びかけに応じてくれて、ありがとう! 俺はディアベル。職業は……気持ち的に騎士(ナイト)やってます!」


ディアベルと名乗った男が軽く自己紹介したとき、少しだけ笑いが起きた。


「ジョブシステムなんて無いだろw」


そう、誰かが言うとディアベルは確かにと言いながら真剣な表情をする。


「今日!オレ達のパーティは、あの塔の最上階でボスの部屋を発見した!」


その途端、プレイヤー達が少し驚いた。続けて、ディアベルが声を上げた。


「オレ達はボスを倒し、第2層に到達して、このデスゲームを…いつかきっとクリアできるって事を、はじまりの街で待っている人に伝えなくちゃならない!それが、今、この場所にいるオレ達の義務なんだ!そうだろ!みんな!!」


言い終わると、一瞬の静寂の後、拍手や口笛等が鳴らされた。
俺とアスナは笑顔で、頷き合い、ディアベルを見る。


「OK。それじゃぁ、さっそくだけど、これから攻略会議を始めたいと思う。まずは6人のパーティを組んでみてくれ。フロアボスはただのパーティーじゃ太刀打ちできない。パーティーを束ねた連結(レイド)を使うんだ!」」


「「えっ…」」


固まる俺とアスナ。周りは次々と6人パーティーを作っていく。
見た感じ、6人になっている所は仲間同士のようだ。


「俺達は2人だな」


「そうだね」


元々パーティー組んでいるからな俺達。


「よーし、そろそろ組み終わったかな? じゃあ――」


「ちょう待ってんか!?」


ディアベルが頃合いを見て声をかけるが、それを遮る声が聞こえた。
一斉にプレイヤー達が声のした方を見ると独特な髪とちょび髭を生やした男が、身軽そうに観客席をポンポン飛び降りて、ディアベルの隣に立つ。


「ワイはキバオウ言うもんや。ボスと戦う前に、言わせてもらいたいことがある!」


いきなりこの場に出てきたキバオウという男が自己紹介をした後に、キッと俺達プレイヤーを睨みつける。


「この中に、死んでいった2000人に詫び入れなアカン奴がおるはずや!!」


続いてそう告げたキバオウがプレイヤー達に向けて指を指すと、戸惑ったようなどよめきがおきる。


「キバオウさん。君の言う奴らとはつまり、元ベータテスターの事、かな?」


「決まっとるやないか! ベータ上がり共は、こん糞ゲームがはじまったその日に、初心者(ビーナー)を見捨てて消えおった。奴らは旨い狩場やら、ボロいクエストを独り占めして、自分らだけポンポン強なってその後もず〜っと知らんぷりや!」


そして、一間置いて、キバオウは俺達プレイヤーの方を向いて、再び声を上げた。


「こん中にもおるはずやで!ベータ上がりの奴等が!!
そいつ等に土下座させて!貯め込んだ金やアイテムを吐きだしてもらわな、パーティメンバーとして、命は預けられんし、預かれん!!」


腕を組みながら言うキバオウ。そんな彼に俺は思う事があり、手を上げる。


「ディアベル。発言いいか?」


「えっ?ああ、どうぞ」


俺はディアベルに許可をもらい、その場から立ちあがり、キバオウの前に立つ。


「俺はレンと言うものだ。キバオウだっけ?あんたの言い分は分かる」


「せやろ!「だが…」なんや!?」


俺は一息し、言う。


「これからフロアボスの攻略に向かうって時に、戦力となるプレイヤーの武具を渡すと戦力が大幅に、勝率が下がる事を意味しているんだけど……どうかな?」


「うっ、それは……」


俺の言う事に言葉が出ないキバオウ。すると、


「発言いいか?」


後ろから太い声が聞こえてきた。後ろを向くと髪の無い、大きな人が、手を上げていた。
その人は立ちあがり、背中の武器を見るに、斧使いのようだ。


そして、その男は立ち上がるとキバオウのもとへ向かい、俺の隣に立つ。
キバオウはその人を見て、少しだけ後ずさった。


「オレの名はエギルだ。キバオウさん、アンタの言いたいことはつまり……
元βテスターが面倒を見なかったから、ビギナーがたくさん死んだ……その責任をとって謝罪・賠償しろ……と言う事だな?」


「…そ…そうや!」


エギルと名乗った男の質問に、キバオウは短く答えた。


すると、今度はエギルはポケットから、小さな本のようなものを取りだした。
あれ、あれって確かガイドブック?


「このガイドブック……アンタももらっただろ。道具屋で無料配布してるからな」


「もらたで……それがなんや!」


キバオウの返事をする。


そして、エギルは続けた。


「配布していたのは、元βテスター達だ」


その言葉が響いた途端、いっせいにざわめきはじめた。
キバオウの方は少しうめいていた。


そして、エギルは周りの方を向き、声を上げた。


「いいか。情報は誰にでも手に入れられたんだ。なのに、たくさんのプレイヤーが死んだ。その失敗をふまえて、オレ達は、どうボスに挑むべきなのか。それが、この場で論議されると、オレは思っていたんだがな」


そう言うと、周りは徐々に落ち着いていった。


そして、言い終えたエギルはキバオウを見る。俺も同じようにみると、


「フン…」


と鼻を鳴らすと、皆と同じように段差に座った。エギルもキバオウの隣に座った。
俺はアスナの隣に戻る。


ディアベルはそれを確認すると、ガイドブックを取り出して声を上げた。


「よし。じゃぁ、再開していいかな。ボスの情報だが、実はさきほど、例のガイドブックの最新版は配布された」


その途端、ざわめきが起きた。キバオウも少し反応した。
そして、ディアベルは続けた。


「それによると、ボスの名前はILLfang(イルファング) tha(ザ) Kobold(コボルド) Lord(ロード)。それと、Ruin(ルイン) Kobold(コボルド) Sentinel(センチネル)という取り巻きがいる。ボスの武器は斧とバックラー、四段あるHPバーの最後の一段がレッドゾーンに入ると曲刀カテゴリーのタルワールに武器を持ち替え、攻撃パターンも変わる、という事だ」


その話が終わると、ざわめきはどんどん大きくなっていった。


「うわぁ……」


「すげぇな…」


等の声が聞こえた。


俺は再び、手を上げる。


「レン君、何かな?」


「1つ疑問が残るんだが、こんなふざけたゲームを始めた茅場 晶彦がβテスト時代と同じようにするのだろうか?簡単にフロアを攻略させるとは俺には思えない。もしかしたら、その情報にもない動きなどをするかもしれないから用心した方がいいのではないか?と言うのが俺の言いたい事だ。あー後、ガイドブックの最後の一文にも『この情報はベータテスト時点のモノなので変更されている場合がある』って書いてあったからそれを見てそう思ったんだ」


俺が言い終えるとディアベルは考える仕草をし、頷く。


「確かにそうかもしれないな。皆、情報通りに行かない事もあるかもしれない!十分に注意していこう!作戦会議は以上だ。最後に、アイテム分配についてだが…金は全員で均等割り、経験値はモンスターを倒したパーティのもの。アイテムはゲットした人のものとする。依存は無いかな?」


話が終わると、周りを少し見てみた。見た感じ…その質問に全員OKを出したようだ。


「よし。明日は朝10時に出発する!では、解散!」


ディアベルの解散宣言を聞き、俺とアスナは広場から離れる。




「さて、どうするよ。明日に備えて今日はもう、フィールドに出ない方がいいし」


「その前にこのブレスレットがちゃんと機能するか確認しに行かない?」


…確かに。ちゃんと書かれていても機能しなかったら意味がないしな。


「よし、軽くやるにいこう」


「うん」


ブレスレットの機能確認をしに行く俺達であった。











確認の結果から言うとブレスレットはしっかり機能した。
なので、俺達は街に戻ってきた。時間はすでに夜になっている。周りを見渡すと先ほど広場で見たプレイヤー達がちらほら見える。


腹が減っているので俺達は静かな裏路地に回り、そこでパンを食べる。
その際、工夫として1個前の村で受けられるクエストの報酬で手に入れたクリームを1つ出す。このクエも何回もやったので、クリームの数はそこそこある。が、節約のため、1つを2人で分けて食べる。


パンを食べ終えると人の人が声を掛けてきた。


「ちょっといいかい、お2人さん」


エギルだった。


「エギル…だったよな」


「ああ。お前はレンだったな。そっちの彼女は?」


エギルがアスナを見る。


「私はアスナって言います。よろしくね、エギルさん」


「おう!明日の攻略、頑張ろうぜ!」


話しをし終えるとエギルは去っていった。


「さて、明日に備えて今日は寝るか」


「そうだね!明日は……最初のフロア攻略なんだから」


ぐっと手に力を入れるアスナ。


「頑張ろう」


そう言って俺達は宿に戻った。











〜翌日〜


朝10時に会議の行われた場所へと集まり、人数を確認し終えるとオレ達は、迷宮区…塔の一番上へと向かった。


道中、自分達の役目を話し合いながら進み、そして、ついに……ボスの部屋の扉の前へとたどりついた。


ディアベルは扉の前で振り向くと、剣を地面に突き立てた。


「聞いてくれ、みんな。オレから言う事は、たった1つだ」


そして、ディアメルは右手をグッと握ると俺達に言った。


「勝とうぜ!」


『おっ―――!』


「行くぞ!」


そして、ディアベルはそう言うと、部屋の扉を押した。


すると、扉はほぼ自動的に動き、完全に開いた。


部屋の中はかなり広かった。そして、奥の方に玉座が見え、その玉座には何かが座っていた。その横には巨大な斧が見えた。


開いた扉をディアベルと、それに続いて何人かが入った時、部屋の中が一気に明るくなった。
と、その途端、玉座に座っていた奴が斧を構えながらジャンプし


玉座から少し離れた位置へと着地し、大きな叫び声を上げた。


その叫び声の主は巨大な赤い体、腹には何かの紋章があり、腰には斧とは違う武器を携えている。
…この巨体がコボルト?其ゲームだとオーガとかに分類されるだろ!?


そして、巨体の頭の上に文字現れる。


【ILLFANG THE KOBOLD LORD】
イルファング・ザ・コボルト・ロード。コボルトの中の頂点に立つであろう。
コイツが第1層のフロアボス…俺達の狙いだった奴だ。


そして、ボスが吠えると同時に、とりまきのモンスターが4体ほど現れた。
そいつらの頭の上にも文字が現れ、HPバーも表示された。


【Ruin Kobold Sentinel】
ルイン・コボルト・センチネル……鎧を着た小さなコボルトだ。
その手には鈍器のような武器を持っている。


そして、ボスを含めた5体は、一斉にコチラに突っ込んできた。


それと同時にディアベルも叫んだ。


「攻撃、開始!!」


その声が上がると、一斉にパーティのほとんどが突っ込んで行った。


まずはキバオウが、とりまきの1体と激突した。そして、他のメンバーもとりまき、ボスと戦闘を開始した。
そこにディアベルの正確な指示が飛ぶ。


「A隊、C隊、スイッチ!!」


指示をしているとボスが攻撃の構えを見せた。


それを見ると、すぐにディアベルの指示が皆に飛ぶ。


「来るぞ!B隊ブロック!!」


そして、エギルとキバオウがソードスキルでボスの攻撃をはじき返した。


「C隊、ガードしつつ、スイッチの準備!……いまだ!」


その声が上がると、待ちかまえていたプレイヤーが戦闘の中に入って行った。


「後退しつつ、側面を突く用意!D,E,F隊、センチネルを近づけるな!」


そして、ついにコチラにも指示が飛んできた。


「「了解!」」


俺達にも指示が来る。


「はっ!」


俺が剣でセンチネルを弾き飛ばし、


「スイッチ!」


「ええ!」


アスナは素早い動きでセンチネルに近づき、ソードスキル:カドラプル・ペインの4連続の突きを食らわす。


「ナイス!」


そう言う俺の頭上にセンチネルが現れ、


「邪魔」


シュシュシュン!


剣と短剣で切り裂き、無数のポリゴン片となって砕け散った。。


倒し、ボスを見るとコボルトがひと際大きく吠えた。


HPバーを見ると、4段あるバーの一番最後が赤くなっていた。武器が変わる、合図だな。


その途端、ボスは右手の斧、左手のバックラーを放り投げた。斧は地面に突き刺さり、バックラーは地面に転がった。


「情報通りみたいやなぁ」


キバオウがボソリとつぶやいた。


そして、


「下がれ!オレが出る!!」


ディアベルがキバオウの横を武器を構えながら通り抜けた。


だが、ちょっと待て。


「ディアベル!ここはパーティーで囲んで戦うのがセオリーじゃないのか!」


俺が声を上げて言うとディアベルの横顔……その口元に少しだけ笑みが浮かんだのが見えた。


ディアベルは集団の前に出ると、ソードスキルのモーションを起こした。


その右手に持った片手剣が黄色い、まばゆい光を放つ。


それと同時に、ボスも腰に携えた武器の柄をガシッと掴んで……抜いた。
それは、恐ろしく大きい【太刀】だった。


ん!?タルバールって確か曲刀じゃなかったか!?
俺は過去にプレイしたゲームの敵キャラを思い出す。タルバールはあんな太刀のような形状じゃなかったはずだぞ!?


俺が声を上げて言おうとしたが……遅かった。


ボスは武器を構えて大きくジャンプした。
そして、部屋の柱の一部に着くと、柱から柱へと超高速のジャンプで動きまわった。


おいおい、あの巨体でこの動きかよ。


その動きに油断したディアベルの上から重たい一撃を浴びせた。


ディアベルの体が宙を飛んだ。その体には深い斬撃の跡がついた。


「うぁああああ!!」


と、叫びながら飛ぶディアベルだったが、ボスの攻撃は続いた。


またもや超高速でディアベルのすぐ横まで移動すると、その背中にもう一度、重たい一撃をお見舞いし、ディアベルの体は集団の上を飛びこえ、地面へと叩きつけられた。


「ディアベルはん!!」


キバオウのむなしい叫び声が響いたが、すぐその近くにボスは移動し大きく吠えた。それに思わずキバオウはボスの方を振り向いた。


「おい!そこのプレイヤー!ディアベルを回復させてくれ!君が一番近い!」


俺はディアベルの近くにいたプレイヤーに言う。


「は、はい!」


そのプレイヤーは急いで、ディアベルの元に行く。それを見た俺はボスを見る。


「アスナ。手順はセンチネルと同じだ!俺が奴の武器を弾く!だからすかさずスイッチしてくれ」


「わかった」


走りながら、少しだけ会話をし、ボスへと突っ込んで行く。


ボスも、オレ達が突っ込んでくるのを見ると、赤い目をギラリと光らせ野太刀を腰に構え、ソードスキルを発動させた。


それを見た俺はソードスキル:ホリゾンタルでボスの一撃をはじき返した。


「スイッチ!!」


それと同時に俺が叫ぶび、アスナは突っ込んでいく。


ボスの目がカッと開かれた……まずい!


「アスナ!そのまま行け!」


俺は左手でベルトに刺しておいた短剣を投げる。


「グルゥ!?」


短剣はボスの目に当たり、怯んだ隙をソードスキル:リニアーでボスを吹き飛ばす。


それを見て、俺は走りだし、落ちている短剣を拾う。


「次が来るぞ!」


俺はボスの攻撃をはじいて、その隙をアスナが攻撃を与える。


再び、ボスが攻撃の構えを見せ、そこを俺が突っ込み、1撃、2撃と防御するがもう1撃来た。


「舐めるな!」


俺は片足でジャンプし、それを避けながらボスの顔に回し蹴りを食らわす。怯んだボスに、


「おぉらあ!!」


という掛け声と共に、エギルが両手斧でボスを吹き飛ばす。


それに続いてキバオウ達他のプレイヤー達が攻撃を加える。


ボスのHPはもう、2,3割ほどしか残っていない。


「アスナ!最後の攻撃、一緒に頼む!」


「了解!」


と叫びながら、近づき、立ち上がったボスのソードスキルを俺がはじき、アスナがすかさずソードスキルを与え、怯んだところに、今度は俺が斬り裂いた。そして、ついに、ボスのHPバーが数ドットの位置まで来た。
これが最後の一撃……!!と思いながら、剣を大きく構えた。


「「はぁあああああああぁぁぁぁぁぁ!!」」


そして、大きく声を上げながら、俺が左から右へ横一線、アスナは下から上へと縦一線に斬り裂いた。
ボスは、そのデカイ体に十字のラインを残しながら、宙を飛んだ。


そして、大きくその体は輝くと、空中で無数のポリゴンをまき散らしながら……消滅した。







ボスフロアが一瞬の沈黙…






その直後、


『やったぁぁぁぁぁ!!!!!!!』


俺とアスナを除いた全員が大きく叫び声を上げた。


空中には【Congratulation!!】とシステムメッセージが表示された。


みんなが健闘をたたえ合い、ある者は腕組みをしながら喜んでいた。


そんな中、俺は地面に膝を落として、肩で息をしていた。


その途端、ボスの部屋が暗くなった。戦闘が終わり、照明が消えたのだ。
と、その時、俺の視界にシステムメッセージが表示された。


【You got the last attacking bonus!】


ボスに最後の一撃を与えた者に贈られるラストアタックボーナスのメッセージ。


そして、新たなメッセージがその上に表示された。


【BONUSITEM ソードオブブルーオーシャン&コートオブブルーオーシャン】


…意味は蒼い海の剣とコート…か。それにレベルも上がったか。


そう思っている時、すぐ横から声が聞こえた。


「お疲れ様レン」


その後ろからエギルが近づいてきた。


「2人共、見事な剣技だった。Congratulation……この勝利は、アンタ等のものだ」


そう言われた俺は言う。


「いいや。これはここにいる俺達全員の勝利だ。1人1人いたからこそ成し得た事だと俺は思う」


俺がそう言うと、集団からも賞賛の声が上がった。


それを見てたら、思わず顔がゆるんでしまった。


そんな中、


「ディアベルはん」


キバオウが疑いの目でディアベルを睨んで見ていた。


「何であの時、パーティーで囲って攻撃しなかったんや?」


そう言われたディアベルは表情が曇る。


「あんたはんは何かを狙ってたんやな!?あんた、わいらに隠し事してたんやろ!!」


そう、キバオウが言うと確かにと言う声がした。そして、


「きっと、アイツ等、元βテスターだ!だから、ボスの攻撃パターンも全部知ってたんだ!知ってて隠してたんだ!!他にもいるんだろぅ!!βテスター共…出てこいよ!!」


そう言うが、出てこない。この場にいる元βテスターはディアベルだけのようだ。


「……すまない」


そう言いながらディアベルはここから去っていった。











ディアベルが去った後、キバオウ達も去っていき、俺とアスナはエギルとフレンド登録をした。


「何か…凄い事になったね」


「ああ。だが、気にすることはないだろ。ディアベルは本気でこのゲームを攻略しようとしてたんだ。俺達のようにそう思う人物が現れるさ」


そう言いながら俺はラストアタックボーナスで手に入れたソードオブブルーオーシャンとコートオブブルーオーシャンをメインメニューを操作して装備する。


すると、背中にあった剣と鞘が消え、新たに真っ蒼で黒い線が入った剣と鞘が現れ、同じような色のコートが現れる。


「うわー、色が蒼と黒だけって…そう言えばレンって蒼と黒の色が好きだっけ」


「おうよ!俺好みだぜ!さぁアスナ、第2層へ行こう」


アスナの手を握って言う。


「ええ!」


扉を右手で押した。そして、扉は、半ば自動的に開いた。


俺達は新たな一歩、進むのだ。













――――――――――――


といった感じでアニメ編などを入れてみました!
ただ、レンはキリトのようにβテスターじゃないので、必然的にディアベルが……まぁ気にしないで行きます!
それと、ラストアタックボーナスの装備ですが、原作ではコートオブミッドナイトでしたが、タイトルが蒼の剣士なので、コートの色を蒼い海としたブルーオーシャンなどにしてみました。剣とコートをセットにしたのも作者オリジナルです!
SAOでは武器や防具などの名前はあまり、出てきていないので簡単に考えてみました。
それと最初の方にあったダーツとかは……作者の遊び心です!賞品も作者が何となくで考えたものでもあります。

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