第6話 鉱山区での戦い
第1層をクリアしてから5日が経過した。
俺とアスナは相変わらず、2人で戦っている。俺はLABで手に入れたソードオブブルーオーシャンを最大強化した。秘薬クエで手に入れ、強化したアニールブレード+6よりも遥かに強力なので、強化する事にした。
コルなどはこの5日間の間、秘薬クエを何回も受けて、自殺行為ではあるが、実つきのリトルぺネントの実を割り、花つきのリトルネントを狩りまくって≪リトルぺネント≫の胚珠を集めて、アニールブレードにした。
アスナはこの第2層の情報を集めてもらっている。
俺がアスナの分の≪リトルぺネント≫の胚珠を集めている間にこの第2層…鉱山の迷宮区の情報…ガイドブックにない情報がないかを集めてもらっている。
んで、俺は今、第2層にある街…鋼鉄の街、アイアンメディスに戻ってきている。
アスナとは道具屋の前で待ち合わせしている。
「あ、レン!」
道具屋にいたアスナが俺に気付き、手を振る。
「アスナ。情報集め、お疲れ。これ、アスナの分のアニールブレードな」
メインメニューのアイテム・装備欄を開き、アスナにトレードして送る。
「ありがと」
その後、俺とアスナはアニールブレードを売り、コルにした。
SAOの世界にはリアルにあるレストランやカフェなどがあり、俺とアスナはカフェで昼食をとる。
その際、アスナが集めた情報を教えてもらう。
「情報屋のアルゴに聞いたの。ここ、第2層の鉱山迷宮区に仕掛け扉があるらしいの。そこで第2層で手に入る珍しい鉱石があるんだって」
俺は飲んでいるコーヒーのカップを置く。
「鉱石?」
「ええ。まだ、2層なのに珍しいって言ってた。ただ、その仕掛け扉がどこにあるかわからないって。鉱石の名前は≪ジオストーン≫。この鉱石、βテスター時代にもあったらしいけど、誰も手に入れることができなかったんだって」
「……それなのに鉱石の事を知っているとは…さすがだな」
どこからそんな情報を手に入れたのか気になるけどな。
「それでレン。この後、その鉱石を見つけに行ってみない?」
「それはいいな。その鉱石がレアモンスターのアイテムドロップなのかそれとも何故か売っているピッケルを使って掘るのか…わからないけど、行ってみる価値はあるな。手に入れば武器にしてもらう事も出来るし」
「よーし!頑張ろう!レベル上げにもなるしね!」
俺がレベル10で、アスナは7。スキルも順調に習得して言っている。
下位のスキルもいくつか習得したしな。
「なら、そろそろここを出て準備するか」
「そうね。善は急げって言うし」
俺とアスナはカフェを出て、道具屋でポーションなどを買い、迷宮区へ向かった。
〜第2層 鉱山区〜
鉱山のような構造になっているからかコウモリやストーンマンなどのモンスターが多く出てくる。
ストーンマンはかなり固く、2人で倒すのが基本となってきている。固い分、経験値がコウモリより多くもらえてうれしいけどな。
「はぁああああ!」
ソードスキル:ホリゾンタルで一撃入れる。ストーンマンは僅かに体勢を崩す。
「スイッチ!」
体勢の崩れたストーンマンにアスナがソードスキル:リニアーで突き刺す。
ストーンマンはそのまま無数のポリゴンをまき散らしながら消えた。
「ふぅ…」
「これで何体目だよストーンマンは…」
ここに来るまで軽く10体近くストーンマンと遭遇している。
けど、おかしい。最初は1体だったのが奥に行くにつれて2体・3体と増えているのだ。
「…もしかして」
俺は剣を鞘に収めたまま壁を叩く。
カンカン カンカン カンカン カンカーン!
「むっ、ここだけ響くな」
剣を収めた鞘を背中に戻し、俺は壁を手で触る。
「何しているの?」
「ここだけ他と音が響いていた。この辺りに空洞がある。漫画とかによくある仕掛けとかだ……あった」
他の壁の石と違うのを見つけた。そこを押すと
ゴゴゴゴゴゴ……ガタン
目の前にあった壁が左右に割れ、中から
シュルルルル…ガシッ!
「へっ…?」
「えっ…?」
左右に割れた壁の中からロープ状の物が俺とアスナの身体を引っ張り、壁の中に入れて消えた。
そして、壁が閉まるのが見えた。
「ちぃ!」
俺はアスナの手を掴み、抱き寄せる。
「レ、レン///」
「しっかり俺に掴まっていろよ!」
「う、うん///」
ギュゥ
俺のコートを掴むアスナ。
壁の中は空洞かと思ったが、滑り台みたいになっていた。
滑り台のようなのが続いて、光が見えた。
「出口か!」
「よかった!」
安心する俺とアスナだったが、
光の先に出てみると……
「えっ?」
「へっ?」
空中に投げだされた。
「うわあああああああああ!」
「きゃあああああああああ!」
悲鳴を上げる俺とアスナ。
そして、地面にぶつかりそうになると俺はアスナにダメージが行かないようにアスナの体を強く抱きしめる。
ドサッ!
「ぐっ!」
HPケージが一気にレッドになった。アスナはイエローで止まる。
「いってぇ〜〜アスナ、大丈夫?!」
「う、うん。レンが守ってくれたか……ら?」
今の俺の状態を言おう。強く抱きしめていたアスナであったが、アスナのその…小さすぎず大き過ぎな柔らかいものが俺の胸元に押し付けられていた。
アスナもそれが分かると顔を真っ赤にして俺から離れる。
「あ、ありがとうレン。助かったわ」
「き、気にしないでくれ」
俺とアスナは回復ポーションを飲んでHPをMaxにし、辺りを見渡す。
「ここって…」
「ああ。俺達の目的地だな」
俺達のいる場所は松明で明りがしっかり確保されている所だった。
辺りには普通の鉱石やらが落ちている。他には珍しい植物などもあった。
「色んな鉱石が転がっていたり、壁から出てきているな」
「うん。こんなに鉱石があるなんてね」
「とにかくあるだけのピッケルを使って鉱石とか掘るか」
俺とアスナは二手に分かれてピッケルで鉱石を掘ることにした。
〜2時間後〜
持ってきていたピッケルの耐久力が0になり、無数のポリゴンとなって砕け散る。
掘り終えた俺とアスナは最初の場所で落ち合う。
「ここ…本当に第2層なのか?明らかに場違いな感じだな」
「私も思ったよ。でも、第2層の鉱山からきたんだし…ここだって第2層なんじゃないかな?」
確かに。俺粗見たら第2層に見えないが、別の層に行くにはフロアボスを倒していくのがこの世界の基本。
なら、問題ないか。
「アスナ、どんくらい鉱石手に入った?俺は…
・ブロンズインゴット×10
・アイアンインゴット×3
・シルバーインゴット×5
・レッドストーン×3
・グラシメスメタル×3
・古びた塊×5
・ジオストーン×4
って感じだな」
「狙ってた鉱石手に入ったんだレンも。私は…
・ブロンズインゴット×4
・アイアンインゴット×5
・シルバーインゴット×4
・グロウストーン×5
・古びた塊×2
・ジオストーン×2
だよ。数じゃあレンの方が多いね」
俺が持っていない鉱石を手に入れたか。にしても、色んな鉱石があるんだな。
これだけあれば、新しい武器を作れるが……なるべく鍛冶スキルを持っているプレイヤーを探して作ってもらおう。特にこの…古びた塊が気になるな。某ハンティングゲームに出てくるのに似ているな。
「さて、そろそろ帰ろうかアスナ。転移結晶もあるし」
「そうね。今じゃ、なかなか帰るものじゃないけど…私達買ったからね」
そう、街を出る前に未知に包まれている鉱山の仕掛け扉で何が起こるか分からないので、値が張るが買った。
「「転移!アイアンメディス!」」
……あれ?転移しない?
「おかしいな。転移結晶の使い方はこれでいいはずだが…」
「変ね」
……もしかして、
「ここって、結晶無効化空間か?」
「何その…結晶無効化空間って」
「その名の通り、ある一定の空間では結晶が使えないってことだ。つまり。ここから出るには何か、イベントがあるってことだ」
そう、アスナと話していると
ヒュゥ〜〜〜〜〜〜ン…ドスン!
後ろから何かが音がした。
俺達はゆっくり後ろを見ると…
「ゴォオオオオオオオオオオオ!」
巨大なストーンマンがいた。
カーソルが巨大ストーンマンの名前を表示する。
【The Big Golem】…巨大なゴーレムか。HPケージは2つか。レアモンスターか。
「どうやらここはあいつを倒さないと出れないみたいだな」
シャキン
「だね」
シャキン
剣とレイピアを抜いて俺とアスナは構える。
「さぁ〜て。石でできているゴーレムってのは石がいくつもが組み合わさって出来る。弱点は石同士がくっついている間を攻撃…てのが他のゲームでやるんだが……あのゴーレム。接合部分もあるし、目があるな」
*(参考はデジモンのゴーレモンと思って下さい。ゴーレモンに接合部分が多いと思ってね)
「なら、接合部分と目を狙う?けど、目はどう見ても当てにくいと思うけど」
「足を俺が体術スキルで攻撃して体勢を崩す。アスナはスイッチして、体勢を崩したゴーレムの目を攻撃してくれ」
「わかったわ」
作戦を話し、行動を開始する!
「行くぜええええええええ!」
「ウゴオオオオオオオオオ!」
ゴーレムは大きな腕で攻撃してくるが、大ぶりなので簡単に避ける。
ゴーレムの股下をくぐって、体術スキル:鎧崩しで脚の関節部分を蹴る。
ドゴン!
鎧崩しは固い相手の防御力を一時的にダウンさせることができる。
今回は大きく、思いゴーレムにはうってつけだ。
「スイッチ!」
体勢を崩すゴーレムは倒れ込み、顔が地面にぶつかる。
「はぁあああ!」
そこをアスナがソードスキル:カドラプル・ペインの4連撃を食らわす。
「グゴオオオオオオオオ!」
苦しいのか悲鳴を上げるゴーレム。俺はつかさず、ジャンプし、
「スイッチ!これも食らえや!
体術スキル:龍牙はジャンプと共に両足を使い、龍の牙のように相手を蹴るスキルだ。
ドスン!
鈍い音が響き、ゴーレムの頭が地面に埋まる。
「うわー、あの巨体の頭が…」
アスナはこの光景を見て、引いていた。
俺はゴーレムの頭の上に乗り、そのまま
「潰れろ!」
体術スキル:鎧崩しをゴーレムの首の接合部分を素手で攻撃する。
ズドーン!
接合部分を殴った瞬間、ゴーレムが爆発を起こした。
爆風で俺はアスナの隣まで吹き飛ぶ。
「ケホ、ケホ! レン!大丈夫!」
「おう、爆風でHPがイエローまで来たぞ…」
俺は回復ポーションでHPを回復させる。
煙が散るとそこには…
「グオオオオオオオオ!」
ゴーレムが立っていた……大きさと石が半分ほどになって。
「ゴガアアアアア!」
ゴーレムが先ほどとは段違いの速さで俺達に迫る。
「アスナ!」
「えっ!?きゃ!」
アスナの頭を掴み、伏せる。無論、俺も伏せる。
俺とアスナの頭があった場所をゴーレムが過ぎていき、
シュドーン!
壁にぶつかった。
「あ、あぶねぇ」
何だあの早さ。
「身体のサイズが半分になっているから早くなったのね」
「ああ。だが」
「グガアアアアアア!」
壁に突っ込んでいったゴーレムが再び突進してくる。が、俺達は簡単に避ける。
「どうやらHPが2割になるとあーなるみたいだな」
「ええ。早いけど動きは単調ね」
そう、動きが単調だと見切るのは簡単だ。
「さ〜て、あれをやるか」
俺は鞘を背中から外し、剣を収め、抜刀の態勢を取る。
「それって…」
「アスナ。下がっていろ」
「え、ええ…」
アスナが俺から少し離れる。それと同時にゴーレムが俺めがけて突進してくる。
俺も抜刀の状態で姿勢を低くしながら走る。
「ゴグオオオオオオオオオ!」
「……ここだぁああああ!」
ゴーレムの腕が当たらない程度の姿勢で身体を回転し、剣を抜く。
システム外スキル:抜刀術・斬閃
高速の居合でゴーレムの腹部を斬り、そのまま体術スキルで蹴りあげる。
「グガアアアアアアアアアア!」
ゴーレムのサイズが半分になったおかげで蹴りあげる事が出来たぜ。
ゴーレムは蹴り飛ばされて、そのまま地面に叩きつけられ、HPが0になり無数のポリゴン片となり、砕け散る。
カチャン
剣を鞘におさめ、鞘を背中に戻す。
経験値とコル、ドロップアイテムがある。アイテム名は≪ゴーレムの欠片≫≪ゴーレムの石≫最後に≪石巨人の盾≫と言うのだ。
能力値とスキルを見ると片手剣用盾。スキルはダメージ半減と書かれているが……俺、盾は使わないんだよな。
アスナも困った表情でいる。パーティーなので経験値やドロップアイテムは同じだったりする。
そして、
シュルルルル…ガシッ!
「これは…」
「もしかして…」
ここに来た時と同じ事が起きている。ロープ状のものが俺達を掴んでいる。
シュルルルル!
「うおぉ?!」
「きゃあ!」
ロープに引っ張られ、ロープが出ている扉に吸いこまれる。
ぽい!
「いって!」
「あいた!」
投げ出された場所は鉱山区の入り口だった。時間は夜の7時だった。
「何か…疲れた」
「同じく…」
俺達は転移結晶を取り出し、
「「転移…アイアンメディス」」
街に戻る俺達である。
街に戻った俺達は手に入れた鉱石などはまだ、使わずにいようと言う事に決めた。
今日、手に入れた鉱石はブロンズやアイアンインゴット以外はレベルの高い鉱石と俺は判断し、腕のある鍛冶士に頼むようにしようと思うからだ。
鍛冶スキルの低いものやNPCに任せて、変なのが出来たらいやだからだ。
そう、決めると俺達は晩飯を食べ、今日の疲れを取るために別々の部屋で寝るのであった。
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はい、今回は完全オリジナル編でした!
このまま原作などを書くのもつまらないと思ったので書いてみました。
鉱石などの名前はアニメ「心の温度」で出てきた〜インゴットの名前からオリジナル鉱石を考えました。
一部、MHネタの鉱石やあるゲームの鉱石の名前を使っています。
これらの鉱石はあるキャラと出会った時に使おうと思っています。
ゴーレムに関しては文中で述べたようにゴーレモンに独自の改良を加えたものです。