小説『ソードアート・オンライン〜『猛獣使い』の少年〜』
作者:クロコト()

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SIDEカイト



俺は最前線の街に来て情報を集めていた。



俺が外に出てきて分かったことは3つ。



一つ目:最前線が18層であること。

二つ目:『血盟騎士団』と言う攻略ギルドの副団長がアスナであること。

三つ目:そのギルドのリーダーが俺と同じユニークスキルを持っていること。


以上だ。


「四ヶ月で18層か・・・・・・」

みんな頑張ってんだろうけど、やっぱりすこし遅い。

「こんなペースじゃ5年以内に100層までいけないぞ・・・・・?」

俺は今日あるという攻略会議をすっぽかして自分でやったほうが早いと結論を出し、

18層の迷宮区に足を運んだ。


















―18層ボス部屋前―

「・・・・・・・・・・簡単すぎんだろ!!!」

地図情報が手に入っていたからかもしれないがココまで来るのにそう何日もかかるものなのか?

「いや・・・・・俺が強すぎるんだな。たぶん」

69だもんな。安全マージンを取りすぎてんだよな。

「さ〜て・・・・どんなボスが出てくるのかなぁ?」

俺はドアを開け、中をのぞいてみた。


そこには・・・・・・




「ギャオォォォォォォ!!!」


一匹の全長60mの大亀が居た。


「【The Magma tortois】か・・・・・」

直訳で熔岩陸亀か・・・・・

「とりあえずでかいな。」

こいつ相手にリオじゃ心もとない。

俺は思い切り息を吸い、叫んだ。

「クラン!!」

最近分かったのだが、使い魔の名前を呼ぶと前の使い魔を残したままそいつだけ来てくれるみたいなのだ。

「ワオォォォォン!」

約一秒後、クランが来た。

「クラン!【アイス・エイジ】!」

「ワンッ!」

クランの周りに冷気が集まっていく。

「ワオォォォォォォン!!!」

クランから冷気が放たれてボスの足が凍る!



が、しかし



ジュワァァァァァ・・・・・・


「やっぱり駄目か!!」

マグマっつーぐらいだから相当熱いんだろう。

クランじゃ駄目か・・・・・・じゃあやっぱり俺がやるしかないか。

「ファラオ!」

『お呼びですか?』

「のわっ!?はえぇよ!!」

呼んでまだ一秒もたって無いぞ!?

『細かいことは気にしては駄目です。』

「ギャオォォォ!!!」


ドオォン!!


亀の口から熔岩が出てきた。

「噴火したぁ!?」

俺は急いで避けてファラオに命令した。

「ファラオ!【呪縛】!!」

『分かりました!!』

ファラオの目が赤く光る。

それと同時に

「ギャッ!?」

相手の体に鎖が巻きついた。

『成功です!これでアイツは3分間スキルが使えません!!』

「流石だぜ!!」

俺は一気に前に出て構えを取った。

それと同時に槍が特大のライトエフェクトを帯びる。

「オリャアァァァァァァァァ!!!」

俺は『瞬迅槍』の上位スキル『滅龍槍』を放った。

『瞬迅槍』と同じ一点集中型だが、威力と攻撃範囲は桁違い。

これを使えば一分と言う長い硬直時間と引き換えにこの階層のモンスターぐらいなら一撃で倒せる。

たとえボスでもひとたまりも無いだろう。

「グギャアァァァァァァァ!?」

四段あったHPバーが一気に二段と半分減った。

「ファラオ!【呪いの言霊】!!」

『了解です!』

俺の指示でファラオが相手に呪いをかける。

「ギャッ!?」

『やりました!!レベル4の毒です!』

「なっ!?毒!?」

ランダムだから仕方が無いけど・・・・・・・

「ギャオォォォォ!!」

亀の尻尾が俺に迫る。


ブンッ!!


だが、その攻撃は俺には当たらなかった。

「助かったぜ、クオン」

「ワフッ!」

クオンが俺を咥えて避けてくれたのだ。


「おっし!!一分経った!!」

もう一回『滅龍槍』を放てば終わり。

だが、こいつには『冷却時間』なるものがあり、使った後にはすぐに使えないのだ。


「こうなったら・・・・・ナーガ!!」

「キシャアァァァァァ!!」

クランと同じ約一秒後に来た。

「ナーガ!【毒液】だ!黄色いのな!!」

「シャアァァァ!!」

ビュッ!!

ナーガの口から大量の麻痺毒が放出された。

「ゴアッ!!」

毒によって亀の動きが止まる。

「よし!!効いてるぞ!!」

俺は前に飛び出して攻撃を始めた。

毒にも罹っているので体力がどんどん減っていっていく。

もうそろそろ【呪縛】をして3分経つ。

パリィン!

鎖が壊れるが、麻痺で動けていない。

「ラストォォ!!」

俺は『瞬迅槍』で亀の腹を貫いた

「ギャオォォォォォ・・・・・・・・」


パリーン!


18層フロアボスがポリゴンとなり散っていった。


「ふぅ・・・・・・終わった・・・・・」

「キュウゥゥゥ!!」

「わっぷっ!!」

リオが顔に飛びついてきた。

「君は一体誰なのかね?」

―――――っ!?み、見られた!?

沢山の使い魔を使ってるところを見られた!?

俺はリオを顔から引っぺがして声をかけてきた奴の顔を見た

「・・・・・・・・だれ?」

「質問を質問で返すのかね・・・・・まぁいい。私はヒースクリフ。血盟騎士団の団長だ」

―――っ!?血盟騎士団!?ッてことはココには・・・・・・・

「カイト君!?」

「アスナ!?」

やっぱりアスナが居た。良く見ると後ろには沢山のプレイヤーがいた。

攻略会議ってどうやって攻略するかを話し合うだけじゃないの!?

今日中にココに来るとは思っても無かったぜ・・・・・・・・・

「おや。君たちは知り合いなのかね?」

「は、はい。第一層攻略のときにパーティーを・・・・・」

覚えててくれたのね〜。結構嬉しいかも・・・・・

「では、カイト君だったか?ここにいるモンスターたちは何かね?」

うぐっ!いきなりそこかよ・・・・・

「・・・・・・・・言わなきゃだめか?」

「そうだね。」

「出来れば言いたくないんだけど?」

そりゃそうだ。スキル情報はこの世界では命の次に大事なものだ。

おいそれと人に話すものではない。

「・・・・・・・・・なら私とデュエルをしよう。私が勝ったら君には・・・・・」

「話すのか?」

俺はこいつの言葉を遮って予想していた言葉を言った。

が、こいつは俺の予想を大きく超えたことを言った。

「いや、血盟騎士団に入ってもらう。」

「はぁ!?」

なんつったこいつ!?俺がギルドに!?

しかも血盟騎士団だって!?

「ちょっと団長!そんな簡単に決めていいんですか!?」

「いいのだよ。彼はこのフロアのボスをソロで倒したのだ。充分だろう?」

実際はソロじゃないけどね〜

「そ、それはそうですが・・・・・・」

口ごもるアスナ。

てか、ギルドって堅苦しくないのか?そんなのいやだぞ?

「待ってくれ。それには条件がある。」

「ふむ・・・・・なんだね?」

「もしギルドに入ることになっても俺は自由にやらせてもらう。下にはついてやるが従わない。
 これが条件だ。だが、攻略はやるぞ?」

攻略が進まないのは困るしな・・・・・流石に攻略には参加する。

「・・・・・・・・・・いいだろう。その条件を飲もう。」

よし。これで今まで通り・・・・・・・・とまでは行かないがある程度の自由は確保できた。

「じゃあ、やろうか。」

俺はメニューを操作してデュエルを申し込んだ。


カウントダウンが始まった。

方式は勿論【初撃決着モード】だ。


「全力でいいんだな?」

俺がヒースクリフに聞く。

「あぁ、勿論。私も全力で行く。」

このやり取りの後、【DUEL】の文字が出た。

「ふん!」

ヒースクリフが盾で殴ってくる・・・・・・って盾ぇ!?

「クオン!!」

俺はクオンを呼び、その背に乗って攻撃を回避する。

「ファラオ!【呪いの言霊】!その後【呪縛】!」

『了解です!!!』

ファラオの攻撃でヒースクリフが毒になり、体に鎖が巻きついた。

「ちぃ!!ナーガ!【毒液】だ!黄色いの!!」

ナーガが口から毒液を出すが、ヒースクリフが避けてしまった。

アイツは全力で良いと言ったんだ。死なない程度に本気で行こう。

「ローズ!フラン!アリア!」

「ギャオォォォォ!!」

「ピイィィィィ!!」

「「「ワオォォォォン!」」」

三匹が同時に来た。

流石にレックスやエリンだと殺してしまう可能性が出てくるので呼ばなかった。


「なっ!?一体何匹テイムしてるの!?」

アスナが驚いている。

そりゃそうだ。こんなに使い魔を持ってるビーストテイマーなんて俺しか居ないからな。


「ローズ!【ブレス】!フラン!【咆哮】!アリア【フレアショット】!」

俺は一気に三匹に指示を飛ばす。

「「「ガアァァァァァァァ!!」」」

「ピイィィィ!!」

「グルアァァァァァ!!」

フランの咆哮で動けなくして、アリアとローズの攻撃で一気に体力を削る!

ローズの【ブレス】はPKには使えないから殺してしまう心配も無い。


ドガアァァァァァン!!


ヒースクリフがいた場所に攻撃がヒットした。

「よっしゃぁ!」

俺は喜んだが、すぐに不思議に思った。

―――なんで終わらないんだ?

いまだにデュエルは続いている。

つまり今の攻撃が当たって無いということだ。

「こちらだよ。」

「ぐはぁ!?」

いつの間にか後ろにいたヒースクリフに斬られた。

「くっ!」

俺は体勢を立て直して距離をとった。

なんでだ!?確かにフランの咆哮は効いていたはず!!

俺は理解不能な現象に戸惑いながらも、出し惜しみをしている場合じゃないと思った

「エリン!!」

「キュアァァァァァァァ!!!」

エリンが来たと同時に俺は指示を出した。

「エリン!【荒天】!そして【落雷】!!」

「キュアァァァァァァァ!!!」

ボスの部屋の中が嵐になり、ヒースクリフに雷が落ちる。


ドガアァァァン!!


「これならどうだ!?」

「くっ・・・・・」

今度こそヒースクリフに攻撃が当たった。

だが、

「なっ!?なんでそれしか減らないんだよ!?」

ヒースクリフの体力は1割減っただけだった。

「あいにくと、非常に硬いのでね。」

硬い!?そんな次元じゃないだろ!?

この攻撃はレベル57時点の俺でも4割体力を持ってかれた。

どう考えても俺よりレベルの低いアイツが1割程度で済むはずが無い!!

「どうする?まだ続けるかね?」

いつの間にかヒースクリフの体についていた鎖がなくなっている。

「・・・・・・・・・・・・・・・・いや、止めとくよ。降参だ。」

俺の投了でこのデュエルは終了した。

このままやってもきっと俺に勝ち目は無い。そう思ったからだ。

周りにいたギャラリーから歓声が聞こえる。

「では、今日から君はアスナ君直属の部下だ。よろしく頼むよ?」

「はぁ!?アスナ直属!?俺の条件を忘れたのか!?」

「忘れてなどいないよ。君は自由にしてくれて構わない。」

全然自由に出来る気がしないんですけども!?

「さて・・・・・君のその力は何なのかね?」

早速ですか・・・・・

「・・・・・・・・ココじゃ教えたくない。何処か別の場所に行こう」

「私もいいかしら?」

アスナが言ってきた。

「アスナは副団長だったよな?なら教えてやるよ。まぁどうせ明日にはアインクラッド中に広がるんだろうけどな」

「いいじゃない。いま聞きたいんだもん」

「じゃあ次の門をアクティベートしてからな?」

俺たちは次の階層へと向かった。
















―第19階層NPCレストラン【シルフェイドカフェ】―

「さて、説明してもらおうか?」

向かい側に座るヒースクリフが聞いてきた。

「そうよ。あの力は何なの?」

ヒースクリフの隣に座っているアスナも聞いてきた。

周りには一応誰もいない。団長権限で締め出してもらった。


「・・・・・・・・・・・あんたと同じユニークスキルだよ・・・・・・・」

俺はヒースクリフを見ながら言った。

「なっ!?ユニークスキル!?」

アスナはひどく驚いているが、ヒースクリフはそうでもなさそうだ。

「ふむ・・・・・・スキル名は?」

「『猛獣使い』・・・・・っていうか驚かないんだな。」

「いや、これでもひどく驚いているよ?」

うそだ。うそつきがここにいる。

「そんなことはどうでもいいじゃないか。で、効果は?」

「テイムビースト数無限、ボス級モンスターのテイム権限、テイムイベントの発生確率の上昇」

俺は全部は答えなかったが、これだけ言えば充分だろう。

「ふむ・・・・・・・・反則級だな。」

「・・・・・・・あんたにだけは言われたくないぜ・・・・・・・」

あんなに硬いんだからな・・・・・・・

「ちょっとまって。何でユニークスキルだって分かったの?」

「この能力を手に入れたときに茅場晶彦からメッセージが届いたんだ」

「なっ!?茅場晶彦!?」

アスナがまた驚く。

今日は驚いてばっかだなお前・・・・・

「そのメッセージによると、『猛獣使い』はSAOで最初のビーストテイマーになる必要があるんだと。」

「最初の・・・・・・だから君だけなのか。」

「その通りだ。」

「ねぇ、カイト君。今何匹テイムしてるの?」

「・・・・・・・・言うべき?」

「うん。聞きたい。どんなのがいるの?」

グイグイ来るねぇ、アスナちゃん。

「あそこに居たやつのほかにもう一匹居る。」

「ほう・・・・・それは?強いにかね?」

「強いよ。単純な攻撃力だけだったら俺がテイムした奴の中で一番だな。」

「そんなになの?」

「あぁ・・・・でも、あんなに硬いなら呼べばよかったかな・・・・・?」

俺はチラッとヒースクリフを見る。

「止めてくれ。あの落雷より強いのは流石に死んでしまう。」

「あんたなら大丈夫そうだけどな。」

「じゃあこれで私からは最後。今までドコにいたの?」

うぐっ!一番聞かれたくないとこを・・・・・・・・

「・・・・・・・・・・ノーコメ「だめだよ?」・・・・分かったから剣をしまってくれ。」

そんなに綺麗な笑顔で言われると逆に怖いじゃないか。

「で、ドコにいたの?」

「・・・・・・・・・・第一層」

「・・・・・・・・・へ?」

アスナがぽかんとしてる。流石のヒースクリフも眉をしかめている。

「・・・・・・・・第一層のドコだね?」

「はじまりの街の南の方にある森の奥」

「そこであの子達をテイムしたの?」

「・・・・・・・・・あぁ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・今のレベルはいくつだね?」

「69・・・・・・あ。」

つい正直に言ってしまった。はっと思ったがもう遅い。

「はぁ!?何なのよそれ!?反則じゃない!!」

「これでもこいつに負けたんだからな?俺よりこいつのほうが反則だと思うぞ?」

「その狩場に案内してくれるかね?」

ヒースクリフが聞いてくる。

まぁ当然だよな。俺が18層時点で69なんだから、相当効率がいいと思うよな。

「あんたとアスナになら。」

「何で私と団長なの?」

まぁ、そう来るよな。

「効率は確かにいい。だけどその分危険なんだよ。POP率が以上に高いからな。」

「なるほど。」

アスナが納得する。

「もういいだろ?狩場のこととメッセージのこと以外は情報やに売っても構わないから。」

「あぁ、そうだね。じゃあこれからよろしく頼むよ?」

「あぁ・・・・・よろしくな団長さん」

「ビシバシいくからね?」

「来ないでくれると嬉しいなぁ・・・・・?」

「ムリ♪」

「・・・・・・・・そんな笑顔で言わないでもいいじゃんよ・・・・・・」



こうして俺は血盟騎士団に入ることとなった。




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あとがき

どうもクロコトです。


すいません!非常にだらだらと書いたくせにサチたちが出てきませんでした!!

次回も時間を飛ばします。一ヶ月ほど。

そして今度こそ黒猫団を出す!

これが目標です。


そして、カイトの血盟騎士団入りです。

こうしないと、カイトが黒猫団に入らない理由が見つからなかったので・・・・

黒猫団に入ると僕の力じゃアスナとくっつけることが難しくなると思ったので。

スキルもばらしちゃいましたが『使い魔の森』の事はばらしていません。

まぁ、カイトが居ないと入れないですけどね。

マッピングできないし。


では、使い魔の案募集中ですのでどんどん教えてください。




・・・・・・・・・テイムしたときの名前を考えなくちゃ・・・・・・


-14-
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