小説『ソードアート・オンライン〜『猛獣使い』の少年〜』
作者:クロコト()

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SIDEカイト



俺は例のごとく空から降っていた。

が、いつもよりも遥かに高かった。

だって雲の上だもん。下は真っ白だぜ!

「ひゃっほぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

「キュウゥゥゥゥゥゥ!!!!」

俺は雲の中を叫びながら落ちていく。

「でたぁ!?」

語尾がおかしくなった。

それもそのはず。


だって下には







































何も無いんだから。





















「し、しぬぅぅぅぅぅ!!!!」

「キュウゥゥゥゥ!!!」


こんな事は初めてだったが、いつも通りローズを呼んだ。

「ローズゥゥゥゥゥ!!たすけてぇぇぇぇぇ!!」

・・・・・・・・いつも通りとは程遠いかも・・・・・・?

「ギャオォォォォ!!」

どさっ!

「あいた!」

「キュッ!」

ローズの背中に着地することが出来た。

「おぉ!ローズ!!ありがとな!!」

「キュキュウゥゥ!!」

「ガルアッ!」

ローズにお礼を言っておく。

感謝を忘れたら人間終わりだ。うん。

「さて・・・・・・・・なんでいきなり圏外なんだ?」

見渡す限り海ばっか。陸地なんて殆ど無い。

「ん?海ばっか?・・・・・・・・ローズ。お前泳げるか?」

「ガルゥ・・・・・」

しょんぼりするローズ。

「そうだよな・・・・・泳いだこと無いよな・・・・・」

俺はどうしたものかと考え出した。

おれ自身の泳ぎが得意と言うわけではない。泳げないわけではないが・・・・・・

「ローズ。下に行っておろしてくれ。」

「ガルゥ?」

ローズは首をかしげながらも従ってくれた。

「よし・・・・・そりゃ!」

ザッバーン!!

俺は海に飛び込んだ。


「ぷはぁ!!さて・・・・・俺の予想が正しければ・・・・・」

俺は息を思いっきり吸い(実際はやる必要は無いのだが)海の底を見た。


そこには


「(やっぱり・・・・・水の中に街がある。)」

やはり俺たちは圏外に飛ばされたのではなく、しっかりと圏内にいたのだ。

俺は顔を水から上げ、どうやっていこうか考えた。

「う〜ん・・・・・泳ぐのはムリっぽいし・・・・・どうやって・・・・・・」

俺が悩んでいると下から何かが近づいてくるのが分かった。

「なんだろう・・・・?」

俺がもう一度海の底を見ようとした。





そのとき。




「ぷはぁ!!ねぇ!君だれ!?」

一人の少女が話しかけてきた。

「俺はカイト。よろしくな」

「私はサラ!人魚なんだ!よろしくね!!」

彼女――サラの話を聞くに、街に行きたいのなら遠くにある洞窟から地下を通って行くしかないそうだ。

「ん〜・・・・・その洞窟ってどっち?」

「えっと・・・・・あっち!」

そういってサラは俺から見て左側を指差した。

「ありがと。それじゃあそっちに行くよ。」

俺がローズに乗っていこうとしたら

「サラ、なにしてるのです?」

もう一人誰かが出てきた。

「ローラさん・・・・・」

ローラと呼ばれた人は俺を見るや否や明らかな営業スマイルをした

「おやおや。旅のお方ですか?もしかして街に御用でも?でもゴメンナサイ。
 下の街に行くにはあちらにある洞窟を通ってきてもらうしかないのです。」

サラと逆の方向を指差しながらローラさんは言う。

明らかにサラといっていることが違う。

俺は二人を見比べた。

サラは明らかに心配している顔。

ローラは完全な作り笑顔。

どっちを信じるかなんて決まっている。

「そうですか・・・・・・じゃあ洞窟から行きますね」

「早くいらしてくださいね?お待ちしております」

「ま、待ってるからね!!」

「ありがと。じゃあ行ってきます」

俺はローズに乗ってサラが指差した方向に飛んでいった。





SIDE OUT









SIDEサラ


カイトが飛んでいってしまった。

カイト・・・・・・・・・・・そっちは危ないよ・・・・・・・

私が言った事は全部本当。

ローラさんが言った事は全部嘘。

ローラさんを信じるといつまで経っても街には着かない。

私の行った道に行くといつかは街にたどり着く。

今までも行った旅人はいた。けれど誰一人街には辿り着かなかった

なぜなら、あそこには・・・・・・・・

「サラ。彼を信じましょう・・・・・」

「ローラさん・・・・・・」

「大丈夫ですよ。彼は『()()()』に選ばれた人ですから」

それに・・・・とローラさんが続ける

「彼は私の嘘を見破ってあちらに行ったのです。きっと危険なのも分かっていたでしょう」

「え・・・・・・・」

分かってた・・・?分かってたのにあっちに行ったの?

「ですから、きっと彼は街に来る。早く戻って準備をしましょ?」

「・・・・・・・・はい!」


・・・・・・・・・・・カイト!私、待ってるからね!!






SIDE OUT







SIDEカイト



ローズに乗ってサラが指差した方向に飛んでいっている。

サラが心配そうな顔をしていたのはおそらくこっちが危険だから。

ローラのほうに行けばおそらく楽なのだろう。

けれど、ココに来た目的を忘れてはいけない。

「ここは『使い魔の森』だ。きっとテイムするモンスターがこっちにいるはず・・・・・・・・」

俺はただの勘に頼り、こっちに来た。

暫く飛んでいると陸地が見えてきた。

ローズに着地をしてもらい、洞窟まで歩いていった。





歩くこと数分。

洞窟が見えた。

「小さいな・・・・・・」

レックスも入れないぞ?

「ローズ。お前小さくなれたよな?」

「ガウ!!」


ローズが小さくなっていき、肩に乗るぐらいにまでなった。

これで連れて行けるが、技の威力はどうなるんだ?

「ローズ、あの岩に向かって【ブレス】だ」

「ガルアァァァァァァ!!」

ローズの口からもとの大きさのときと同じくらいの大きさの火球がでた。

「おぉ!!小さくなっても大丈夫なのか!!」

これは心強い。

「じゃあ、行こう!!」

「ガウ!!」

俺たちは洞窟へ入っていった。



























―――海底洞窟【珊瑚の森】―――

「綺麗だな・・・・・」

ダンジョンに入ってもう2時間が経つ。

俺は様々な色の綺麗な珊瑚があるところに来ていた。

「それにしても、ホントにここは推奨レベルが85なのか・・・・・?」

出てくるモンスターは確かに硬いし、経験値も高い。POP率も半端無い

現に俺のレベルは87になった。

だが、攻撃力だけだったら砂漠地帯にいた≪デザートウルフ≫のほうが高い気がする。

「何かがある・・・・・・絶対に・・・・・」

俺はさらに気を引き締めて奥へと足を進めた










あれから数分、さらに奥へと進んでいたら大きな湖のようなものがあった。


「何だココ?・・・・・・もしかして・・・・・・ボス部屋?」

だが、俺の予想は大きく外れたようだった。

まだ、奥へと続く道がある。

俺がさらに奥へと行こうとしたそのとき


ザッパァァァン!!


「がっはっはっ!!大量大量!!」

湖の中から頭に王冠を乗せ、魚の入った網と三つ又の槍を持ったふんどしのジジイが飛び出してきた。

「ん!?おぬし!!」

「あ、やべ・・・・・・気付かれた・・・・」

のっしのっしとこちらに近づいてくる変態(じじい)

「おぬし!良くぞココまで来れたものじゃ!!ガハハハハ!!!」

バシッ!バシッ!と背中を叩いてくる。

「いてっ!痛いって!」

だがHPバーを見ても体力が減っていない。

「・・・・・・・・・なぁ・・・・あんた名前は?」

俺はある名前が浮かんでいたのだが、信じたくはなかった。

「わしか?ワシは“ポセイドン”!!このあたりで王をやっている!!」

「はぁ!?ポセイドン!?」

こんな豪快なジジイがあのギリシア神話の海の神様なのか!?

「ガハハハハ!!そんなことより!!何でおぬしはどうしてココに来たのだ?!」

「海の下にあった街に行くためだよ!」

「街?おぉ!!アトランティスにきてくれるのか!!それは嬉しいのぅ!!」

・・・・・・・・もう驚かないぞ・・・・・・絶対に驚かないからな!!

「だが、ワシが送っていくわけにはいかんからのぅ・・・・・」

「・・・・・・・この奥にはなにがいるんだ?」

「この奥にいるのは“海龍神リヴァイアサン”!とんでもない化け物じゃぞ!!ガハハハハ!!」

「リヴァイアサンか・・・・・・・・・」

厳しいかもな・・・・・・・・

「何じゃ?おぬし。驚かぬのか?」

「ん?まぁな。こんな事は日常茶飯事だし。」

伝説の魔獣が出てくるのなんてこの世界じゃ当たり前だしな。

「ほぉ!!そうか!!おぬしは大変勇気ある若者だったらしいな!!」

そういうとジジイが突然手に持っていた槍をこっちに渡してきた。

「勇気あるおぬしに対する少しばかりの餞別じゃ!受け取れぃ!!」

「お、おう!ありがとな!!」

確かポセイドンが持っていた槍ってトライデントだよな・・・・・

「その槍の名は【海神槍トリアイナ】ワシの宝じゃ!大切にするのじゃぞ!!」

そういってまた変態は海に飛び込んだ。

「・・・・・・・・トリアイナ・・・・・・・・確かギリシア語のトライデントの事だったよな・・・・・」

俺はその装備の詳細を見て驚愕した。

「何だよこれ・・・・・・・・」

今の装備である『裏切りの槍』も相当強いがこの槍は別格だった。

攻撃力が『裏切りの槍』の倍で、さらに固有スキルまでついている。

「【海神の加護】、【海神の怒り】・・・・・・・この二つはやばすぎるな・・・・・・・・」

説明すると

【海神の怒り】:槍を相手に向かって振る事で発動。相手に向かって大量の水流が放出され、相手に攻撃する

【海神の加護】:バトルヒーリングの強化版。5秒で1000体力が回復。

と言う感じだ。

「だけど、この【素潜り】と【人魚族】ってのは何なんだ?」

【素潜り】は水の中でも戦闘することが出来るようになるスキル

【人魚族】は水に入ると俊敏度が3倍になり、息継ぎの必要がなくなるスキル。

だそうだ。


「これより上の階層で水ばっかのエリアでもあるのか?」

水に潜る必要なんて・・・・・・・・・

「・・・・・・・・ココで使うのか?」

こんなに水ばっかだし、街が海に沈んでた。

きっと何かのフラグだろう。そう結論付けることにして、奥へと向かった。




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あとがき

どうも、クロコトです。

今回登場したサラ、ローラはNPCです。

旅人の件は話を進める上での設定です。

実際にあそこに行ったのはカイトが初めてです。

【トリアイナ】ですが・・・・・強すぎましたでしょうか?

【素潜り】と【人魚族】は次回役に立ちます。

お楽しみに。




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