小説『ソードアート・オンライン〜『猛獣使い』の少年〜』
作者:クロコト()

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SIDEアスナ

カイト君が海洋地帯に行ってから1日が過ぎた。

でも、まだ帰ってこない。

何回も黒鉄宮に見に行ったが名前に横線は入っていなかった。

つまりまだ死んではいないということなのだが・・・・・・

「どうしたんだね、アスナ君?」

「団長・・・・・・」

団長が話しかけてきた。

「カイト君の事が心配なのかね?」

「・・・・・・・・・はい」

当然だ。

カイト君が強いのは良く知ってる。

けれど、それは自分より周りのレベルが低いからであって

自分よりレベルの高いダンジョンで狩りをしている所なんて見たことが無い。

「大丈夫。彼ならきっと戻ってくる。」

「そうでしょうか・・・・」

「今の私たちにはカイト君が戻ってくることを信じるしかないんだ。」

「そう・・・・・・・・そうですよね・・・・・・」

カイト君・・・・・・・・・・私待ってるからね?ちゃんと戻ってこなきゃイヤだよ?

私は空を見上げて心の中で呟いた。





SIDE OUT





SIDEカイト


「これ以上奥は無い・・・・・・」

つまりココがダンジョンの最深部と言うことになるのだが・・・・・

「・・・・・・・・・何も起こらない?」

道は複雑ではなかった。だから間違えることも無い。

「・・・・・・・・・・周りが水・・・・・・深そうだな・・・・・・」

このフィールドの形は半径200mほどの円形の陸地の周りに湖が広がっている。

しかも、その湖は底が見えない。相当深いと思われる。

「・・・・・・・・・・・【素潜り】と【人魚族】・・・・・・・」

俺は装備している槍≪海神槍トリアイナ≫のよく分からないスキルを思い出した。

「この底に何かいるかもしれない」

もしかしたらポセイドンの言っていた≪海龍神リヴァイアサン≫がいるかもしれない。

「・・・・・・・・よし」

俺は槍を構え、思い切り海に飛びこんだ。



ザッバーン!


飛び込んですぐ、俺の体に変化が起きだした。

俺の体が強く光だし、光が収まったときには

「はぁ!?あ、足がぁ!?」

足がイルカの尾ひれのようになっていた

「息も苦しくないし・・・・・・・結構便利だな、これ・・・・・・」

あくまでもココだけで、だが。

「しっかし・・・・・・綺麗だな・・・・・・・・」

水の透明度が高く、50m先までくっきり見える。

海底洞窟なので光が入らないが、自発的に光を発する鉱石≪シャインロック≫のおかげで真っ暗というわけではなかった。

その光が水の中で反射してキラキラ光っている。

「さて・・・・・・・・海底に向かうか・・・・・・」

俺は思いっきり尾ひれを動かした。

ビュンッ!!!

【人魚族】の効果のおかげで思いのほか早く海底に着く事ができた。

そこにいたのは・・・・・・・

「ま、マジかよ・・・・・・・・」

「グゴゴゴゴ・・・・・・・・」

馬鹿みたいにでかい――口をあけたらローズも一口で食べられてしまうぐらい大きい龍のようなものがいた。


――――海龍神リヴァイアサンだ。

だが、がっつり寝ている。

「いびきまでかいてるよ・・・・・・・・」

「グガァ?」

「あ、やべ・・・・・・・・起きた・・・・・・・」

やつの目が、ばっちり俺の姿を捉えている。

つまりこれって・・・・・・

「グガァァァァァァ!!!」

「やっぱりぃぃぃぃぃ!!!」

バガァァン!!

「嘘だろ!?シャインロックを噛み砕きやがった!!」

幾つかあった内の一番強く光っていたシャインロックが噛み砕かれた。

そのせいで一気に視界が悪くなる。だが、見えないほどではない。

「こんなのってアリなのか!?」

「ゴオォォォォォォ・・・・・・」

リヴァイアサンが物凄い勢いで水を吸い込んでいる。

「これってドラゴンお得意の【ブレス】の予備動作・・・・・?」

そこまで考えて、俺は思い切り横に泳ぎ始めた。

もう奴は3秒ほど水を飲み込んだ。

細長かった身体の一部が物凄く膨らんでいる。

「グガアァァ!!」


ドオォォォォン!!


「うわあぁぁぁぁ!?」

水の中にいるのに目に見えるくらいの水の塊が放出された。

俺は三倍にプッシュされた俊敏度補正をフル活用してさらに逃げた。



ドゴオォォォォォン!!!



「なっ!?何だよあの威力!?」

ぶつかった海底がなくなったぞ!?

「・・・・・ん?あれって・・・・・・・」

逃げ回っていたら何処かで見たことがあるような槍が奴の胴体に刺さっているのを見つけた。

「・・・・・・・・あのクソジジイ・・・・・」

刺さっていたのは、豪快ふんどしオヤジこと海の神ポセイドンの持っていたトリアイナ。

俺が持っているのと同じだ。

「けど・・・・・・でかいな。」

リヴァイアサンの全長が800m、胴体の太さが直径約9m。

そんな巨体に刺さっていても目に見えるほどに大きい。

おそらく俺の槍の60倍はあるだろう。

「・・・・・・アイツもしかしして・・・・・・」


―――――俺じゃなくてトリアイナを見てた・・・・・?

確かに背中に背負ってはいたけど・・・・・・・

「そういえば若干目が血走ってる気がするな・・・・・・・」

「グガアァァァァァァァ!!!」

奴がさっきのブレスとは違い沢山の水球を飛ばしてきた。

「だぁ!!ちったぁおとなしくしろ!!」

俺は固有スキル【海神の怒り】を発動。

トリアイナの先から水流が槍のような形で放出された。

「グガァッ!?」

俺が狙ったのはリヴァイアサン―――――ではなく

「当たれぇぇぇぇ!!」

―――――トリアイナだった。

パリィィィン・・・・・

俺の攻撃が当たり、刺さっていた槍がポリゴンになって散った。

「グガァァァ・・・・・ガウ?」

身体にあった違和感がなくなったのか首をかしげている。

「これでもう痛く無いだろ?」

俺は通じるはずも無い言葉をリヴァイアサンにかけた。

すると

「ガウッ♪」

「わっぷ!」

顔をなめてきた。


当然目の前には見慣れたアイコンが出ている。


「ん〜・・・・名前は・・・・・・・・・セラにしよう。」

女っぽいがドラゴンの性別なんて分からない。

「ガルゥ♪」

気に入ってくれたのかすごく嬉しそうだった。

「さて・・・・・アトランティスに行かなきゃ」

俺がこの言葉を呟いたと同時にセラの身体が光りだした。

「?一体なんだ?」

光が収まり、セラがいた場所にいたのは

「こんにちはっ♪」

「え・・・・・えぇぇぇぇぇぇ!?」

綺麗な藍色の髪に雪のような白い肌を持った推定14歳の美少女がいた。

「・・・・・・・・・・・・・・」

俺は開いた口が閉じられなかった。

ローズやクランのように小型化するなら分かるがまさか人型になるとは思ってなかった。

「ご主人様?どうしたんですか?」

「ご、ご主人様ぁ!?」

「はいっ♪ご主人様です!!」

確かにテイムしたけども!!

「頼むからご主人様はやめてくれ・・・・・・」

そんな風に呼ばれてるところをアスナに見られたら俺は死んでしまう!

・・・・・・・・・ん?なんでアスナが出てきたんだ?

俺が考えていると

「うぅ・・・・・・ではどうやってお呼びしたら・・・・?」

セラが上目遣いでこっちこっちを見てきた。

う、上目遣いでこっちを見るな!!ドキッとするじゃないか!!

「ふ、普通にカイトでいいよ。あと、敬語もなしでよろしく」

「・・・・・分かりました。言葉遣いは直りませんがカイトさんと呼ばせていただきます。」

「・・・・・・うん。それでいいよ」

出来れば敬語も無しにして欲しかったが、直らないなら仕方が無い。

「では、カイトさん!アトランティスまでお送りします!着いて来て下さい!!」

「あぁ・・・・・・よろしく頼むよ・・・・」

俺は何処かからする不思議な気配に怯えながらセラについていった。




SIDE OUT


SIDEサラ

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ソワソワ)」

カイトが洞窟に行ってからもう一日。

早くても二日はかかるダンジョンだけど心配でしょうがない。

「サラ。少しは落ち着いたらどうです?」

ローラさんが話しかけてきた。

「で、でも・・・・・心配なものは心配です!!」

「ガハハハハ!!あやつなら大丈夫じゃ!!トリアイナも渡したしな!!」

ポセイドン様がいらっしゃった

「ポセイドン様!?それは本当なのですか!?」

トリアイナがあればココまですぐ来ることができる!!

「勿論!!だが・・・・な〜んか忘れてる気がするんじゃよ・・・・」

「なにか・・・・・・でございますか?」

ローラさんが聞く。

「昔のぅ・・・・リヴァイアサンにトリアイナをさした気がするんじゃ。もしかしたらそのままじゃったかもな!!」

ガハハハハ!と豪快に笑われるポセイドン様

「それっていつごろですか・・・?」

私が聞く。

確かリヴァイアサンが活発に活動するようになったのは確か一ヶ月前だったはず・・・・・・・・・・

「ん〜・・・・確か一ヶ月前じゃ!!」

「なっ!?」

「それではリヴァイアサンが活動を活発化したのは・・・・」

ローラさんが聞く

「うむ!おそらくワシのせいじゃな!!ガハハハハ!!」

ガハハハ!じゃ無いですよ!!旅人がこれなかったのってアナタのせいじゃないですか!!!

「・・・・・あなた?」

「ガハハ―――っ!?オトヒメ・・・・・?」

オトヒメ様!?なぜこんなところに!?

「確かに自由にすることは許していますが、そこまでして良いとはいっておりませんよ?」

も、物凄く笑顔が冷たいです・・・・・・

「オ、オトヒメや・・・・・怖い・・・・・ぞ?」

「少しこちらにいらして下さいな。お話がありますので」

「ヒィ!?・・・・・・・きょ、拒否権は・・・・・?」

「あると思ってるのですか?」

ガシッ!とポセイドン様の肩をつかむオトヒメ様

「ヒィィィィ!!」

ズルズルと引きずられていくポセイドン様

ポセイドン様・・・・・先ほどまでの豪快さがなくなっていますよ・・・・?











ポセイドン様が連れて行かれて数分後――



「お〜い!!サラー?」

「カイト!!」

カイトが来た。

「カイトさ〜ん!早いですよぉ〜!!」

―――――美少女を連れて。

・・・・・・・・・・・・・・・・・アノコハダレ?

「よう!サラ!」

「ネェカイト?ソノコハダレ?」

「こ、この子か・・・・?この子はセラ。リヴァイアサンだよ。」

少し冷や汗を流すカイト。

ドウシタノカナ?ワタシハコンナニモエガオナノニ

・・・・・・・・・ん?今確かに・・・・・・

「リヴァイアサン!?」

「はい!よろしくお願いします♪」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

私はさっきまでの怒りが嘘のように吹っ飛んでしまった。



SIDE OUT







オマケ


――カイトがセラの変化に驚いていた頃アスナは――

「―――っ!?」

「どうしたのかね?アスナ君」

「・・・・・・・いえ、別に・・・・・(カイト君がすごい美少女とであった気がする・・・・!)」

女の勘は大変に怖いです。

カイトの運命やいかに!?

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あとがき

どうもクロコトです

カイトが感じていた気配はアスナのものです。

恋する乙女の直感ってやつです。

そして今回、一気にカイトの周りに女の子が増えました。

でもご心配なく。

タグ通り、ヒロインはアスナです。

リヴァイアサンの事はやりすぎたと思っております。

ですが、後悔はしておりません!!

ハーレムにはなりませんので期待はしないで下さい。




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