小説『ソードアート・オンライン〜『猛獣使い』の少年〜』
作者:クロコト()

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SIDEカイト


海洋地帯に滞在して三日。



俺はココに来て思ったことがある。

それは、ココのNPCが外の、いや他のダンジョンのNPCと完全に違うということだ。

自我がある、とでも言うべきかも知れない。

そうじゃなかったら、俺と会話が成り立つはずが無い。

「カイト?どうしたの?」

とまぁこんな風にいろいろと聞いてくるのだ。

「いや、そろそろ帰らないとな〜と思って・・・・」

「えぇ〜!帰っちゃうの〜!?」

なぜかサラが悲しそうな顔をする。

「外で待たせてる人がいるんだよ。」

そういうと急にサラが頬を膨らました。

「・・・・・・それって女の子?」

「ん?あぁ・・・・・そうだけど?」

そう答えるとさらに頬を膨らました。

「・・・・・・・・・・・・・・・・(ジトー)」

「ど、どうしたんだ?」

サラがジト目でにらんでくる。

一体どうしたんだ??

「私も・・・・・・」

「ん?何か言ったか?」

「私も連れてって!!」

「はぁ!?」

そんなことできるわけ無いだろ!?NPCなんだから!!

俺が断ろうとしたら

「カイトさん・・・・・」

「何ですか、ローラさん?」

ローラさんが話しかけてきた。

「すこしいいですか?」

「はぁ・・・・・いいですが?」

俺はサラを置いてローラさんについていった。

「で?話でもあるんですか?」

「・・・・・・・・・・・ぜひ、サラを連れて行ってあげてください。」

急に頭を下げるローラさん。

「え・・・・・・・・でも・・・・・・・・」

「・・・・・・・・カイトさん。私たちは確かにNPCです。」

「っ!?」

NPCが自分のことをNPCって自覚している!?

「けれど、私たちは本来モンスターとしてフィールドに出るはずの存在だったのです。」

「え!?」

そんなことってありえるのか?

「このゲームがデスゲームとなったと同時になぜか急な方向転換が行われ、私たちに搭載されていたAIが、他のものとは違うとても高度なものになったのです。」

そういう理由だったのか・・・・・

感情模倣システムでも搭載されていない限り会話のキャッチボールなどムリだ。

「ですから、とても理性的で頭のいいモンスターだと思ってください。」

「・・・・・・・・・・・・俺にサラをテイムしろと・・・・・・・・?」

「まぁ、直球で言えばそうなります。」

・・・・・・・・・・・・でも・・・・

「ですが、足がなければ大変ですよ?陸地ばかりですので・・・・・」

「足なら大丈夫です。サラはすでに準備をしてますから。」

そうなのか?・・・・・・人魚姫の原作みたいに最後に泡になるなんて展開はいやだぞ?

「ですので、どうか連れて行ってあげてください。」

またそういって頭を深く下げるローラさん。

「・・・・・・・・・分かりました。連れて行きます。」

「―っ!あ、ありがとうございます!!」

安心したのか急に泣き出すローラさん

「えっと・・・・・・泣かないでくださいよ・・・・」

「そうですね・・・・・・・・でもうれしくて・・・・・・」

嬉しい?何でだ?

「私たちは基本的にはココから出られません。ですから、せめてサラにだけは外の世界を知ってほしいと思っているのです」

―――っ!そんなことを思っていたのか・・・・・

「分かりました。サラにいろんな景色を見せましょう。」

「カイト〜!まだぁ〜?」

サラが遠くから呼んでいる。

「あら、待ちくたびれたようですね・・・・・・よろしくお願いしますよ?」

「勿論。任せておいてください。」

その言葉を聞いて安心したのか、ローラさんが涙を目に浮かべながら去っていった。

「カイト〜何話してたの〜?」

サラが聞いてくる。

「・・・・・・・サラ・・・・・・・俺と来るか?」

「―――っ!行く!!」

一気に俺の目の高さまで泳ぐサラ。

よっぽど嬉しかったのか目が輝いている。

「じゃあ今から行くけどいいか?」

「うん!準備はしてたんだよ!!」

そういってドコからかリュックとペンダントを取り出した

「?そのペンダントは?」

「これを身につけるとヒレが足になるんだよ!すごいでしょ?」

「へぇ〜そうなのか。それはすごいな。」

なるほど・・・・・これのことだったのか・・・・

「早くいこ!!」

「おいおい、挨拶はいいのか?」

「昨日の内に全部やっといたの!!」

・・・・・・・・ついていく気満々だったんだな

「じゃあ行くか?」

「うん!!」

「私も忘れないで下さいよ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・忘れるわけ無いよセラ」

「何なんですか!?今の間は!!!」

「・・・・・・・じゃあいこっか!」

「うん!!」

「無視しないでください!!」

俺たちは白のドームに戻っていった。


SIDE OUT









SIDEアスナ


「・・・・・・・・・・・・(ソワソワ)」

カイト君ともう三日も連絡が取れない。

「もしかして・・・・・・・・」

最悪の想像をしてしまいそうになるがありえないと頭を振る

だってあのカイト君だもん。

きっと「ちわ〜っす!」とか言って戻ってくるに決まってる。

「ちわ〜っす!!」

ほら、ちょうどこんな風に・・・・・って!!

「カイト君!!」

カイト君が帰ってきた!!

「おじゃましま〜す♪」

「お邪魔します!」

女の子を二人連れて。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あの〜アスナさん?なんでむくれてるんでしょうか・・・・・・?」

「・・・・・・私がすっごく心配してたのにカイト君は女の子と遊んでたんだぁ〜・・・・・・ふ〜ん・・・・・・」

「いやいやいや・・・・・・こいつらはテイムしたんだぜ?」

「ふ〜ん・・・・・美少女をテイムして来るんだ〜・・・・・ふ〜ん・・・・」

「なんでそんなに怒ってらっしゃるので・・・・・?」

「・・・・・・・・そんなの決まってるじゃない・・・・・心配したんだからね・・・・・?」

私の目にはいつの間にかうっすらと涙がたまっていた。

「あの〜・・・・・私たちはお邪魔ですか・・・・?」

藍色の髪をした子が聞いてくる。

「いや、大丈夫だよ。セラは気にしないで?」

その少女――セラというらしい子こ頭を撫でるカイト

「ふにゃ〜・・・・・気持ちいいですぅ〜・・・・・」

カイト君に頭を撫でられて気持ちよさそうに目を細めている。

・・・・・・いいなぁ・・・・・私はまだされたことが無いのに・・・・・・・

「ねぇ、カイト。この人は?彼女??」

「ふぇっ!?か、彼女!?」

そ、そんな風に見えるのかな・・・・?それなら少し嬉しいかも・・・・・・

「違うよ。この人はアスナ。俺の上司さ。」

・・・・・・・・そんなに真っ向から否定しなくても・・・・・

「それにアスナは俺になんか興味ないんだよ、たぶん。」

「・・・・・・・・・・・鈍感(ボソッ)」

「ん?なんか言ったか?」

カイト君が聞き返してくる。

「な、なんでもないよ。」

私はあわてて否定する。

「そうなの・・・・・?私はサラ。よろしくね?」

「私はセラです。よろしくお願いします♪」

「私はアスナです。よろしくね、セラちゃん、サラちゃん」

私たちはそれぞれ握手をする。

するとサラちゃんが近づいてきて、耳元で呟いた。

「・・・・・・・・・頑張ってね?私の恋は報われないけど、あなたの恋はきっと報われるから・・・・」

――――っ!!サラちゃん・・・・

「・・・・・・・・・うん・・・・・・・ありがとね・・・・・・」

「自己紹介は終わったか?」

カイト君が聞いてくる。

あ、そうだ。

「カイト君。キリト君が呼んでたよ?」

「キリトが?なんで?」

「何でもギルドの槍使いの女の子にレクチャーして欲しいとか・・・・・」

また女の子・・・・・・ライバル多いかも・・・・・?

「あぁ〜サチのことかな?怖がりっぽかったからなぁ〜」

「早いとこ行ってあげたら?」

「そうだな・・・・・それとアスナ、今度の日曜・・・さ・・・・ヒマ?」

「ん〜・・・・・うん。ヒマだよ?」

でもいきなりどうしたんだろ・・・・・?

「じゃあ、この前の続きしよ?レベ上げ」

「それって・・・・・・・埋め合わせのつもり?」

「いや、嫌ならいいんだぞ?俺が一人でどっか行ってるから。」

「い、嫌なわけ無いよ!行く!必ず行く!!ぜっっったい行く!!!」

「お、おう・・・・・」

カイト君から誘ってくれてうれしくて、思わず力が入ってしまった。

すっごくはずかしい・・・・・・

「見せ付けてくれますねぇ〜♪」

「そうだね〜羨ましいな〜」

「もうっ!からかわないの!!」

恥ずかしいじゃない!!

「じゃあキリトのとこに行ってくるよ。」

「あ、そうだね・・・いってらっしゃい」

「いってきま〜す!」

カイト君は二人を連れて行ってしまった。

「さて、カイト君に早く追いつかなくちゃ!!」

私はレベル上げをするために迷宮に向かった。


SIDE OUT




SIDEカイト


俺はキリトに呼ばれたらしく11層のタフトに来ている。

だが、キリトの居場所が分からない。

「う〜ん・・・・・クラン!」

「ワフッ!!」

「キリトを【尾行】できるか?」

「ワンッ!!」

クランの【尾行】を使えばすぐに見つけられる。

「ワオォォォン!!」

クランが遠吠えをした。

「見つかったのか?」

そう聞くとクランが頷いた。

「じゃあ、行こうか。セラ、サラ。」

「何ですか?」

「なに〜?ってすっご〜い!!なにこのコ!」

「紹介は後でしてやる。とにかく乗れ。」

俺は二人を抱えてクランに飛び乗った。

「クラン!行け!!」

「ワオォォォン!!」

「きゃあぁぁぁぁ!?」

「わあぁぁぁぁ!?」


クランが全速力でキリトのいると思われる方角に向かった。




SIDE OUT



SIDEキリト

俺は『月夜の黒猫団』のみんなと一緒に20層のひだまりの森に来ていた。

ちなみに今は安全区域にて休憩中である。

「ねぇ、キリト。本当に僕達が攻略組に入れるのかな・・・・・?」

『月夜の黒猫団』リーダーのケイタが不安そうに聞いてくる。

「大丈夫だって。君たちは絶対に強くなる。そのために俺が居るんだから。」

「でもキリト・・・・・君はいいの?」

今度はサチが聞いてくる。

「いいって・・・・・何が?」

「攻略をほっといていいの?ってこと。」

なるほど・・・・・・俺が嫌々付き合ってるんじゃないかってことかな?

「大丈夫だよ。前線にはカイトがいるし、俺一人が抜けたってたいした問題じゃないよ。」

カイトやヒースクリフの強さは明らかにおかしい。

あいつら二人で第百層まで攻略できてしまうのではないか?と思うくらいに。

「でも・・・・カイトと連絡が取れないんでしょ?もう二日になるよ?」

「大丈夫。カイトは生きてるって。あいつはそう簡単には死なないよ。」

ココまで話して突然・・・・・・・・

「ひゃっほぉぉぉぉぉぉ!!!」

「きゃあぁぁぁぁぁ!?」

「速いぃぃぃぃぃ!!!」

大変に聞き覚えのある声と誰のものかよく分からない声が通過した。それはもう超スピードで。

「おっと通り過ぎた!クランもどれ!!」

通り過ぎた人物は俺が良く知っている人物だった。

「カイト・・・・・・相変わらずだな・・・・・・・」

「よう、キリト。久しぶりだな!」

「あぁ・・・・・それより後ろの二人は?」

クランの速さに目を回しているが・・・・

「こいつらか?新しくテイムした使い魔たちだ。」

使い魔?連れていられるのは一匹だけだったはずだが・・・・・・

「こっちの藍色の髪の子がセラ。んで、こっちの水色の髪の子がサラ。名前が似てるけど気にしない方向で。」

「なぁ・・・・・・なんで二人も連れてるんだ?」

「あ〜それはたぶんサラがNPCだからだ。うん。」

ふ〜んそうかNPCか・・・・・・・・・・は?

「NPC!?」

「うん、NPC。ノンプレイヤーキャラクターだよ。」

「へぇ〜NPCもテイムできるんだ〜」

「・・・・・・・・サチ・・・・・普通は出来ないぞ?」

「私はただのNPCじゃないんだよ!!」

「こいつらは元々はフィールドに出るはずだったんだと。」

「へぇ〜そんなこともあるのか」

「まぁそんなことはどうでもいい。俺を呼んだ理由は?」

おっと、そうだった。

「サチとササマル、後できればケイタにも少し槍の使い方を教えてやってくれ。俺じゃ分からん」

「?なんで??充分つよいじゃん」

「槍の使い方だ。剣技(ソードスキル)はうまくで来て当たり前。システムがアシストしてくれるんだからな」

「あ〜つまり俺のシステム外スキルを教えろと?」

「まぁそこまでしてくれとはいわない。けど、槍の構え方とかいろいろあるだろ?」

「う〜ん・・・・・・・じいちゃんは実戦主義だったからな・・・・・俺のは殆どオリジナルだぞ?」

「それで良い。どうせ現実に戻ったら槍を握る機会は殆ど無いんだから」

今の平和なご時勢で槍なんて物騒なものは持つ機会があるはずが無い。

「それもそうだな。じゃあ基本だけ。槍の先は常に相手に向けておく。重心は低く、体は振り子。これだけでOK」

「・・・・・・・・俺の言ったことと殆ど変わらないんだが?」

「あ〜実戦あるのみってことで・・・・・ダンジョンに行こう!」

俺たちはカイトについていきひだまりの森の奥へと向かった。








「キシャアァァ!!」

この辺りにいる大型カマキリ“キラーマンティス”がでた。

「うお!?カマキリ!?でっけぇ!!」

「・・・・・・・・・気持ち悪いです・・・・」

「へぇ〜!これがカマキリかぁ〜!!かっこいい〜!!」

セラの反応は分かるが、サラは女の子としてどうなんだ・・・・?

「もっと腰を落として、慣れてきたら自分のやりやすいように形を変えるんだよ?」

「そりゃ!!」

「キシャア!?」

ササマルがマンティスの鎌を斬りおとした。

今までは出来なかったのに、やはりちゃんとしたコーチがいると違う。

だが、やはりサチは怖がって前に出れない。

「サチ?怖がってたら攻略組には入れないぞ?怖いなら遠くからサポートに徹するのも手だけどね〜」

「サポートって何するの?」

「後ろからちくちく突く」

「私、それが良い!!」

喜ぶサチ。だが・・・・

「おいおい、サチ?強くなりたいって言ったのはどの口だったっけ?」

サチは強くなりたいといっていた。みんなの役に立ちたい。足手まといはイヤだ、と。

カイトに教えてもらうことになったのもサチの意見だ。

「うっ・・・・・・でも、怖いものは怖いんだもん!!」

「それはそうだが・・・・・・・・・・・」

「キリト、ムリにサチを前衛に出す必要は無いと思うぞ?今の段階で苦労してるのか?」

「いや・・・・・・・特に苦労はしてないが・・・・・・」

「ならいいじゃん」

むぅ・・・・・・・それもそうかもな・・・・・・サチには死んで欲しくないし・・・・・・

「そんなことより、今お前たちのレベルっていくつ?何階層まで安全マージンは取ってるわけ?」

確か今の最前線は24階層。もうすぐ25階層にいけそうだと聞いた。

「えっと・・・・・・・・22階層ぐらいかな?」

つまり今俺を除いた『黒猫団』の平均レベルは30を超えているということだ。

「うん。じゃあ俺専用の狩場行ってみる?その代わり他言無用でよろしく」

カイト専用・・・・・・つまり

「みんなを『使い魔の森』に連れて行くのか?」

「『使い魔の森』?どこにあるの??」

サチが聞いてくる。

「第一層だよ。はじまりの街の近く。効率はついてこれば分かるよ」

「ぜひ行きたいね。『百獣王』専用の狩場ってのが気になるしね・・・・みんなは?」

「ケイタがいいならいいよ」

俺が答えると

『異議な〜し!!』

他のみんなで声をそろえていった。

「じゃあとりあえずはじまりの街に行こう。」




俺たちはみんなそろって第一層まで降りていった。








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あとがき


どうもクロコトです。

昨日はすいませんでした。いつの間にか寝ていました。

書きかけだったのを修正しながら書き上げました。

これからは受験勉強もしていかないといけないので更新が不定期になるかもです。

ご了承ください。



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